地獄の日常は悲劇か喜劇か?〜誰も悪くない、だけど私たちは争いあう。それが運命だから!〜

紅芋

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幹部登場

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「ここですか……」

 そう言う殺は現在、街の路地裏を片っ端から探していき、見事に異空間の入り口に辿り着いたというところだ。
 異空間への入り口は妙に風が通っていて、何故だか足が竦む。
 だがしかし、この中に入らないと話は始まらない。

「行きますか……」

 そうやって殺は異空間の入り口に勢いよく飛び込んだ。





~~~~


「ここは?」

 妖力の詰まった深海のような空中をおりていく。
 地面に音が鳴る様にカンっとつけば殺は一人の黄色い頭巾の者と向き合った。
 だが敵は一人ではない。
 向き合っているのが一人なだけで、殺は囲まれていた。

「貴方が敵大将ですか?」

 殺は訊ねる。
 すると向き合っている一人が黄色い頭巾を剥いだ。
 男か女かよくわからない体型と見た目。
 黄色い目が殺を捉える。

「私が大将とは……偉く出世したものだ」

「やはり罠か……早く美咲さんの所へ行かなければ」

「私から逃げられるとでも?」

 敵は殺に一つのクナイを投げて攻撃をする。
 それを殺は手で掴んでは不敵に笑う。

「貴方を倒さなければ出られないでしょう?ならば戦います」

「ふふっ、よろしい。そして先に名乗っておく!私の名は美羅だ!」

「かかって来なさい!」

 戦闘が開始する。
 お互いが刀で斬り合い、防ぎ合う。
 その斬撃は速いもので、誰も視認出来なかった。
 高速で斬り合う。
 やがて二人は空まで舞い上がり、空中で火花を散らした。

 空中での斬り合いが続く。
 続くかと思っていた。
 だが殺は美羅を殴り飛ばす。

「ガッ!?」

「降参ですか?」

 殺の挑発の様な言葉に美羅は怒りを露わにする。
 そうして落ちるのを踏み止まり、空中で踏ん張った。
 美羅は怒りながら笑う。
 それも憎い地獄の者を早く葬りたい為か。

「いけっ!」

「は、何を……!?」

 美羅の周りには複数の銃が浮かび上がっていた。
 その銃はどれも殺を捉える。
 そうして殺に向かって銃が撃たれた。

「くっ!」

「いけいけー!」

 だが殺は複数の銃弾を弾き返す。
 高速で刀を振り回し、自分に襲いかかる全ての銃弾を防いでしまった。
 美羅はそれを見て呆然とする。
 己が最強と思っていた武器での攻撃が防がれたのだから。

「なっ!?……まだまだ!」

 美羅は第二弾を撃ち始める。
 だが殺は今度は銃弾がくる前に足で空を蹴った。
 すると蹴りによって巻き起こった風が銃弾を弾いていく。
 そうしてその銃弾は美羅の方に高速で飛んでいった。

「くっ!」

 美羅は自分が地面におりることで銃弾を避けた。
 だがしかし、それを殺が許す筈がない。

「はあっ!」

「うわっ!」

 殺は地面に凄まじい速さでおりてきて美羅を殴ろうとしていた。
 だが美羅が避けたことで地面だけが崩れることになる。
 更に殺は蹴りを美羅にくらわそうとする。
 美羅はそれを焦りながら避け、飛んでから殺に銃で攻撃した。

 殺の攻撃によって出来た煙で殺が如何なっているかが見えない。
 だが煙が晴れた頃に殺が笑っていて無傷だったことがわかった。

 美羅は焦り、殺に銃を持って攻撃をし様とする。
 更に殺の背後にも銃を用意して。
 これで殺は至近距離からの攻撃は避けられない筈だった。

「死に晒せ!」

「……」

 無言の殺は銃弾が撃たれる前に横へと逸れた。
 殺がいなくなったそこには美羅しかおらず、美羅が銃弾の餌食になることになった。

「ぎゃっ!まだだ!」

 そう言う美羅は鎖を放ち、殺の腕を拘束した。
 鎖で殺を振り回して痛みを覚えさせてから殺そうとしたのだろう。
 だが殺は美羅の思い通りにはならなかった。
 逆に美羅を振り回し、壁へ激突させたのだ。
 美羅が壁にぶつかっている間に殺は鎖の拘束を外す。

 すると、その時に美羅が双刀を持って現れたのだ。
 二刀流で殺を襲う。
 殺は本格的に此奴を殺さねばならない状況に追い込まれてきた。
 その時だった。

「やれぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「なっ!?」

 殺の上空に巨大な光の球が降ってきたのだ。
 如何やら他の頭巾の者の術らしかった。
 殺は光の球を防ぎたい一心だったが美羅が攻撃をやめないので片手で美羅、もう片方で光の球を相手することになる。

 光の球が殺の刀に触れる。
 その重みで殺の地面が軋んでいく。

「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!」

 殺が光に包まれる。

「やったか……?」

 美羅は不安そうにする。
 何せこの術は最終手段だったからだ。
 最終手段が効かなければ、もう打つ手はない。

 カラン、カラン。

 下駄の音が響く。
 それは黄色い頭巾の者を絶望させるのには充分だった。

「あ……あ……」

「さあ、死んでもらいましょうかね」

「いっ、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」

 殺は残酷にも優しい笑顔を浮かべ一瞬で、その場にいた敵の全員の首を斬りとり服に生臭い臭いをつけた。

「さあ、美咲さんの下へ行かねば」

 そう言う殺は一っ飛びで異空間を飛び越えていった。



~~~~



 殺が美羅と戦っている間のこと。

「殺は大丈夫かな……?」

「やっぱり御影はついて行くべきだったんじゃねーの?」

「うーむ、確かに」

「でも、もう遅いですわよ!」

「いや、アタイが殺様を追いましょうか?」

 皆がやいのやいのと言っているその時。

 ドサッ……。

 何かが倒れた音がした。
 皆は急いで音の方向を向く。
 するとそこには血を垂らして倒れている美咲と、鋭い爪を赤く染め上げた黄色い頭の女の子が立っていた。

「美咲ちゃん!?貴方は何者ですの?!」

「私の名は沙羅。黄色い頭巾をまとめている。所謂、大将か?」

 大将と聞いて皆がやはり罠だったかと思った。
 それと同時に殺の期待を裏切ってしまったとも考え、己の無力さに嘆いた。

 だが皆は気づく。
 美咲はまだ生きているということに。
 そして沙羅はそれに気づいていない。

 ならばまだ勝機はある。
 沙羅を倒して美咲を助ける。
 それが最善策。

「あっはは!復讐は成し遂げた!あとは地獄の者よ!死ぬがいい!」

「美咲の仇!」

 皆は美咲が死んでいる風を装って刀を手に取った。

 さあ、最後に笑うのは黄色い頭巾の者か?地獄の使者か?はたまた……。


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