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これは裏切り?
しおりを挟む復讐だ。
我らを貶めた者への正義の鉄槌を下す時が来たのだ。
さあ、私の手駒たちよ存分に暴れなさい。
私の邪魔をする者はたとえ妖怪だろうと神だろうと関係ないんだから。
せいぜい頑張ってみせなさい。
ある平和な日のこと……いや、平和な筈だった世界。
「部下が失踪した!?ある地方で亡者が増えてる!?」
その異変には誰しもが目を向けた。
何せ同僚が姿を消してしまったのだ。
だから皆が血眼になって急いで同僚の行方を追っている。
それによって、閻魔以外の別の者からも人殺し課に依頼がきたのだ。
「どうか、うちの仲間を!」
別の課の者が頼む。
無碍に出来ないその願いを殺たちは只、聞いていた。
人殺し課の殺は仕事が忙しくなってしまった。
何せ亡者が増えてしまい、彼らを審議することをサポートしないといけないからだ。
日々、審議に明け暮れ、疲れていく殺の姿を見て人殺し課の者は心配そうに彼をサポートしている。
それと殺にとって大事な家族同然の同僚が頼んでくる。
どうか自分の仲間を見つけてくれと。
消えた仕事仲間も勿論、殺にとって大事な仲間。
殺は重い腰を上げ……否、軽い腰を上げて仲間を探すことにした。
「……はぁ、これはもう調べなければならないですね……」
そう言って殺は部下の詳細を調べることにする。
だが、その成果は特に得られずに八方塞りといったところで次第に殺は焦りを覚えはじめた。
なんの手掛かりも見つけられない……。
そうして過ぎ去っていく日常が続く。
殺は自分の心を落ち着かせる為にチョコレートを一口食べた。
口の中のチョコレートのように早くこんな事件が無くなれば良いのに……。
平和を願う彼は手元の資料を見ながらチョコレートを貪った。
そういえば、ある地方で亡者が急速に増えているという発言を殺は思い出した。
しかも亡者には一切記憶が無いという……。
大変な事件が二つも起こっている。
「頼もーー!!」
「うわ、閻魔大王……」
扉をバンっと音を立てて開けた閻魔を見て、殺はやっと来たかと思った。
閻魔の話したいことはわかる。
いや、わかるというより絶対に、この内容だと殺は自信があった。
「仲間の失踪の件と、亡者が増えていることを調べて!それと何故か仲間は人間界で目撃されてるよ!では、さらば!」
「やはりですか……」
これはもう二手に分かれて捜査するしかないなという結論に至り殺は人殺し課の皆に捜査をすることを告げる。
彼らはその一言を待ってましたと言わんばかりに笑顔を見せる。
何せ殺が仲間を頼るようになったのだ。
これには笑顔を見せない訳がない。
「なにをニヤニヤ笑っているのですか?」
「別に……」
陽が笑ったことに殺は少しだけだが不機嫌になる。
それを見た御影とサトリとMは微笑んで写真を撮っていた。
「さあ、本題に行きましょう……先ず私が人間の方を調査します。サポートは陽、貴方で」
「了解した」
「部下の方は御影兄さん、サトリ兄さん、Mで」
「「「了解」」」
こうして二手に分かれたことから捜査が始まった。
殺と陽は三人の報告もまとめる係にもなり忙しく働く。
閻魔からは人間界に行く許可を得て殺と陽の二人は世界を飛んでいった。
時空の歪みを創ってもらい、人間界に繋がる一本道を只歩く。
色鮮やかな炎に包まれて着いた先は亡者の増えた地方であった。
陽は心配そうに、この服装で良いのか?と訊いてくるが現代はコスプレと思われるだけだろう。
そのままで大丈夫だと伝える。
「そうか……」そう呟く彼は少し不安気だ。
何せ人間界に疎いのだから仕方がない。
そんな彼の頭を撫でてやる。
頭を撫でられた陽は少し嬉しそうにニヤけた、彼にとっては幸せなことなのだろう。
「さあ、聞き込みを始めましょうか……」
「ああ……」
そうやって彼らは二人、静かに歩みを進めた。
「全然成果が得られない!」
「焦りは禁物です。成果は必ずでます」
何日経ったのだろうか?
焦りは禁物と言っている張本人の殺も若干だが焦ってきている。
何せ仕事が溜まっていくからだ。
このままだと帰ったら仕事地獄……それだけは防ぎたい。
地獄の紅の夜とは違う青紫色の夜。
其の闇を纏い一旦だが帰ろうとした時だった。
殺にとっては聞き慣れた風切り音が響いた。
刀で風を斬るその音……。
人間が刀など持っている筈がない。
振り向いた先には……。
己の部下が白目を剥いて此方を見つめていた。
その時だった。
部下を捜査していた御影たちから連絡が入った。
「御影兄さん!!」
「殺!!儂らが仲間はお主のいる場所に集まっている!この事件は関連性がある!すぐに行く!」
他三人も人間界に来ていたのか。
地獄にも天界にも居なければ、残りは人間界だからか。
それにしても、この事件には関連性がある?じゃあ部下は人間を殺した?
殺の中で疑問が走る。
彼の頭は常に冷静だ。
悲しいことに今も……。
だからこそ、すぐにその部下の行為を裏切りとみなした。
部下が光の弾の弾幕を用い、攻撃を放つ。
その瞬間があまりにもゆっくりに見えて滑稽で殺は笑ってしまった。
裏切り者はちゃんと処罰しなければ。
それが彼の思考だ。
殺もさっと手早く刀を抜く。
攻撃を仕返すつもりだった。
だが彼は気づけば誰かに押し倒されていた。
押し倒したのはもちろん陽だった。
「……何故?何故止めた?」
殺の口調が変わる。
すると陽は少し自信がなさそうだが語った。
「僕には避けてくれと言っている様に見えたんだ……」
「は?」
避けてくれ?
あの状況で?あの表情で?
何故それが分かる?
殺は久しぶりに混乱した。
こんがらがった脳ではまともな判断が出来ない。
殺は酷く深く困った。
でも……もし陽が言っていることが本当だったら?
そうしたらまた謎が増える。
何故、攻撃をしたくないのにしたのか?
全てが謎で疑心暗鬼に陥る。
ふらふらと生きた心地がしない。
信用が出来なくなって、いつ、誰が、裏切りをするのか?はたまた裏切りではないのか?分からなくなる。
「はぁー……」
「殺……」
瞬間、手が暖かいものに包まれる。
気づけば殺は陽に手を握られていた。
「大丈夫のおまじないだ」
そう全てを見透かした様に彼は手を握り締める。
殺はその時に思い出した。
嗚呼、頼れる仲間が居たのだと……。
殺の覚悟は決まった。
部下を傷つけてでも真相に辿り着くと。
これ以上は被害者を増やさない様にと。
「さあ、かかって来なさい!」
……これは本当に裏切り?
~~~~
……おかしい。
件の亡者を調べても死の瞬間が見えない。
亡者本人に話を聞いても死の直前を覚えてないらしい。
これはもしかして危険な案件かな?
そう考えながら閻魔は書類に目を通す。
……なるほど。
そういうことか……。
でも殺ちゃんたちには教えない。
何せ人殺し課は独立した機関。
無闇に介入は御法度と自分が決めたのだから自ら其の法を犯さない。
さあ、人殺し課はこの事件を解決出来るか?
「閻魔さんは信じてるからね!」
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