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事の発端、とある者の真名
しおりを挟む嗚呼、面倒な者たちが現れた。
私の邪魔をする者……そんな奴等は全員、殺せば良いよね!
きゃはははは!
少女は笑う。
愉快とでも言う様にに笑う。
その姿は誰が、如何見ても狂っている。
普通の世界、日常が歪んでゆく。
平和だった筈の世界は誰によって壊されるのか……。
さあさあ、皆様!どうぞご覧ください!
最後に笑うのは復讐を誓う者か……。
はたまた平和を願う者か……。
「……埒があかない!」
最初は一人しかいなかった部下が大量に殺たちの目の前に立ちはだかる。
だが強さは圧倒的に殺と陽の方が強いのか、案外あっさりと一人一人ノックアウトされていく。
正直なところを言うと部下は傷つけたくないのだが覚悟を決めたのだから、真相に辿り着く為に部下を倒していかなければならない。
其にしても……。
「数が多過ぎる!」
いったいどれだけ行方不明になっていたのかが痛いほど分かってしまう。
体力の消耗戦。
部下を一人一人、殴って気絶させる。
陽は部下の腹を狙って足蹴りをしていた。
部下は気絶していく、泡を噴いて白目を剥いて倒れた。
数が多い部下、其がどんどん減っていく。
だが疲れるの一言に尽きる状況とは正にこれだ。
順調に部下を倒していくなか殺はあることに気がついた。
「首に彼岸花の模様……?」
それを見た瞬間に殺はあることを思い出した。
嗚呼、なるほど!
彼は謎を解いたかの様に怪しげな笑みを浮かべる。
そして部下たちと殴り合いで戦っている陽に向かって叫んだ。
「貴方の見立て通り、これは裏切りではありませんでした!!」
彼岸花の家紋……。
これは或る一族の家紋だ。
そう、忘れさられた一族の……。
部下はまだ、襲いかかってくる。
それを只管に捌いていく。
すると部下の手があらぬ方向に曲がって陽に向かって攻撃を繰り出してきた。
それをいち早く見抜いた殺は陽を押しのけて部下の拳に刃を突き刺す。
「痛いよォォォォォォォ!!」
部下は泣きだしながらも攻撃を重ねてくる。
まるで軸のない人形の様にぐねぐねと手足が曲がっていく。
痛い、痛い。
そう繰り返す部下の声などお構いなしに殺は部下を殴る。
部下が急に自我を取り戻したのは部下を操っていた犯人の作戦だろう。
情が湧く様にする為の作戦。
だがそんなことは殺には通じない。
若干、陽には通用しているが……。
殺は逆に部下たちを解放する為に戦いを繰り広げる。
何せ、この術は部下たちを気絶させない限り解けないとわかったから。
勝手に地獄の妖を式神として扱うには無理がある。
何故なら、人間界の妖は契約したら式神に出来るが、地獄や天界の妖は契約自体は出来ないのだ。
何故かと言うと人間が妖と契約を結ぶのは、大抵は悪事の為。
それがあるからこそ地獄の獄卒など、人間に罰を与える者が、人間の悪事に手を貸してはならないからだ。
それと天界の者は高貴な者。そんな者と人間も釣り合わない。
ならば何故、式神に出来たかって?
其は無理矢理に対象の体を支配する術をかけ、契約に近い状態を作り出す。
正式な式神ではないが、式神と同じ様な状況になるから式神という扱いでいいのだ。
すると後方から大きな声が響いた。
よく聞き慣れた声、無駄に威勢のいい五月蝿い声が。
これはとうとう戦場が終わる時が来る。
「おーい!」
「援軍ですわよ!」
「其奴らの考えていることは読み取ったから状況はわかってるぜ!」
やっと味方が登場か……。
ヒーローは遅れてやってくると言うが、彼らはヒーローには当てはまらない。
ヒーローでもないんだから遅れるな。
そう思いながら殺と陽は「遅い!」と叫んだ。
それでも彼らは何にもダメージを食らわずに、「ごめんなさい!」と謝るだけだ。
皆がそれぞれの戦い方、呪術、遠距離からの攻撃、斬撃のスキルを利用して戦いに挑む。
さあ反撃といこうじゃないか。
どれくらい経っただろうか?
殺たちは気絶している部下を見下ろす。
早く処置をしてあげないと。
そう考えながらゆっくりと地面に座る。
見つめる先はほとんど気絶している部下たちだ。
皆が処置を施そうとしている中で、一人違うことをする者が居た。
殺は部下の一人を思いっきり平手打ちして起こす。
「おい!殺?!」
「状況を訊く為です。他意はありません」
部下の頬が痛々しく赤く染まる。
だが殺がとった行動は無駄ではなかった様だ。
部下が目を覚ます。
目を覚ました部下は殴られた腹と、叩かれた頬を無意識におさえながら、キョロキョロと辺りを見回した。
「痛い……。あれ?殺様?体が自由……!」
「やっと戻りましたか」
殺は安心して自然と部下の頭を撫でていた。
そしてサトリの方を向いて「もう全て分かりましたよね」そう言葉を述べた。
もちろんサトリは「おう!わかったぜ!」と答える。
犯人が分かれば犠牲者の共通点も分かるものだ。
殺はこれはまた厄介な事件に遭遇したなと太陽がゆっくりと登る空をずっと見つめ続けた。
犯人が分かったんだね!
いやー、閻魔さんは心配していたんだよ!
動機は犯人さんに直接聞いてきてね。
犯行動機まで説明するのは面倒だからね!
そう考えながら閻魔は子供の様な笑みを浮かべてお茶をゆっくりと啜りながら飲んだ。
閻魔は陽の光が射し込まない部屋で太陽を憧れる。
閻魔は一人、昔のことを思い出す。
全ての元凶、自分にとって愛おしかった親代わりを。
……これらの事件が起きる様になったのは、全てあの鬼が消えた忌まわしき日の所為だ。
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