地獄の日常は悲劇か喜劇か?〜誰も悪くない、だけど私たちは争いあう。それが運命だから!〜

紅芋

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肉喰い

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 今日も男は新たなご馳走を頬張り満足気にニタリと笑う。
 目の前に残っているのは骨の欠片だけ。
 積み重なって様々な悲壮の表情を浮かべる死を迎えたそれはもう何も感じない。
 そうだ、しょせんは死を迎えたら何もないのだ。
 それを自分は実演しているだけだ、それ以外の他はない。
 偏食家の自分は同族を喰らうことで力を手に入れた。
 さあ、自分は何処まで力を手に入れて何処まで力を知らしめれるのか?
 それが楽しみだ。
 さあ、始まる、力を懸けた勝負が……。



~~~~



「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 殺は顔を顰めて盛大に溜め息をつく。
 度重なる連続失踪事件、それまでなら仕事は人殺し課に回らない。
 だが今回は人殺し課に挑戦状が届き犯人しか知り得ない情報が書かれていたのだ。
 これは悪戯ではないと判断が下され無視が出来ない状況になった次第である。

「それで挑戦状とやらには何が書かれているんだ?」

「溜め息が出る程に頭の悪い内容ですよ」

 頭の悪い内容という言葉に陽は首を傾げて疑問符を上げる。
 三馬鹿の御影とサトリとMは不謹慎にも挑戦状の内容が気になり騒いでいる。
 早く読み上げろよとサトリが囃せば殺は余計に頭を悩ませてしまう。

「では読みますよ」

「おー!!」

「……同族を喰らい力を手に入れた俺にお前等は立ち向かえるか?誰が強いか力勝負をしよう。敗者に待ってる定めは死のみ」

「シンプルな内容だな……」

 殺が頭が悪い内容と言っただけはあると陽は納得してしまう。
 だがこの内容で失踪者がどんな結末を迎えたのかが嫌と言う程わかってしまう。
 同族食い……失踪者は結局は無残に食い荒らされて犯人の胃袋に入って綺麗に消化されたのだ。

 なんて残酷なことか……何の罪もない普通の人生を歩んできた者がいきなり殺されて食べられるなんて、残酷としか言い様がない。
 被害者はどんな思いで挑戦状を送ってきた頭の悪い犯人に殺されて食べられたのか……それはもう誰にもわからない感情であることは確かなのだろう。

 殺は犯人に怒りを覚えながらも早く解決することを心に決めて手紙に書いてある、おそらく犯人が居る場所に行くことを決意した。
 それにしても自分の居場所まで手紙に書くとはなんと自信のある犯人なのか……。

「しっつれいしまーす!」

 聴き慣れた声が人殺し課に響き渡る。
 その声に殺は条件反射で敬意を示す体勢をとる。
 殺がこんなに敬意を示す者は一人しかいない。

「閻魔大王……如何しました?」

「ふっふーん!手紙のことで来たんだ!」

 挑戦状のことで閻魔は心配で来たというのが明らかにわかってしまう。
 落ち着いてないのか先程から辺りを見回したり殺と目を合わせたり逸らしたりで挙動不審だ。
 やはり職場の皆は家族と考える閻魔からしたら今回の事件で、人殺し課の皆が怪我をしたりするのが心配なのだろう。
 閻魔大王はそういう方だ、だからこそ彼を大将として皆は慕うのだ。

「手紙のこととは?」

「それは……」

 ……特に意味はなく人殺し課にきたということなのだろう。
 心配性と言えばそこまでだが命が関わるとなると当たり前だ。
 この王は優し過ぎる。

「きっと無事に帰ってみせます」

「……!うん!」

 無事に帰るという言葉に閻魔大王は安心する。
 心配性だが仲間の強い言葉を信じない程に信頼関係が無いわけではないからだ。
 閻魔大王は笑顔で「無理をしないでね」と笑う。
 この笑顔を、皆の笑顔を大切に守りたいが為に戦いに出る。

「今回も絶対的に大丈夫じゃ!」

「さっさと終わらそうぜ」

 そうやって戦いの準備をする彼らの目は真剣で闘志に満ち溢れていた。
 普通の日常を取り戻すが為に戦いに挑む。

「さあ、行きましょう」

「「「「了解!!」」」」

 日常は取り戻されるのか?
 それは彼ら次第。



~~~~



 肉が食べたい。
 新鮮で活きがいい肉が。
 肉を食べて力を得た俺は最強?
 力を手に入れた俺に敵は無い。
 だから世界も俺が手に入れるんだ。
 それが定め。
 運命の定め。
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