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化け物同士の衝突
しおりを挟む「「殺してやるよ……」」
彼らはそう呟いた。
二人は笑顔でお互いを見つめる。
それはそれはドス黒い笑みを浮かべてだ。
瞬間に砲牙は壁まで殴り飛ばされる。
一瞬で壁に減り込んだかと思った時だった。
「甘いよ」
壁が破壊されたことで立ち上った煙を一瞬で掻き消して砲牙は殺の前に立ち刀を振りかざす。
それと同時に殺は刀を抜き砲牙の初撃を見事に防いでみせた。
防いだ際の衝撃波が広い裁判所を揺らす。
風が駆け巡る。
「なんで俺の攻撃が防げるの?」
「何故でしょうね?」
彼等は戯けながら連続して刀で斬ろうとする。
命がかかっているのに何故、笑顔なのか?
それは強がりなのか、はたまた本当に楽しんでいるのか。
力任せに刀が振り乱れる、ぶつかり合う刀からは火花が散り、刀を持つ手が痺れる。
だが痺れる様な感覚すらも二人は気にしない。
それが当たり前の様に思って寧ろ楽しんでいる。
そうだ、やはり二人は楽しんでいるのだ。
命がかかった昂ぶる戦い程、彼等は興奮を覚えて血を求める。
化け物としか言い表せられない。
砲牙はニヤリと笑う。
殺は瞬間に手首に鋭い痛みを感じた。
刀の攻撃を受けていないのに何故か手首が真っ赤に染まる。
「ばーか」
そう笑う砲牙の袖からはナイフが見えた。
仕込みナイフとはまた面倒だと殺は溜め息を吐く。
砲牙は爽やかな笑顔でナイフを手に取り殺の顔に突き立て様とする。
眼前までナイフが迫ってきたのを寸前のところで腕を掴み、食い止め、ケタケタ笑う男の腹を蹴り飛ばす。
腹に蹴りが入った男は一瞬だが苦悶の表情を浮かべて笑みを崩した。
それが悔しいのか男は大量のナイフを手に取り叫ぶ。
「死ねぇぇぇぇぇえ!!!」
怒りに身を任せて投げられた重いナイフを殺は弾く。
だが予想以上にナイフが重い、それは本当にナイフなのかと聞きたくなる程に。
ガッ!
何かが崩れる音が聞こえて上を向く。
どうやら砲牙は柱にもナイフを投げていたらしい。
柱は亀裂が走り、ガタリと音を立て、すぐに殺の方向へと崩れていく。
砲牙は「潰されろ!!」などと笑っている。
だが殺も簡単に負ける訳にはいかないのだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
倒れてくる柱を掴み砲牙の方へ投げ飛ばす。
だがそれも見透かしていたかの様に砲牙は避けて殺の腕に笑いながら蹴りを入れる。
「残念、折れないか」
殺の腕は折れずに逆に砲牙の足が掴まれて折られ様とする。
だが砲牙は刀を持ち上体を起こして攻撃をする。
その攻撃急いでを左腕で受け止めた殺に傷がついた。
鮮血が殺の眼を染め上げる。
「紅色が赤色だー!」
そう言い終わる前に砲牙は殺の顔面を殴ろうとする。
殺も砲牙を殴る体勢を整えて攻撃を繰り出す。
「「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」」
同時に殴られた二人は同時に吹き飛んでしまった。
「ぐふっ!」
「がっ!」
殺と砲牙は頬に痛みを覚えながらも大きく飛ばされることはなかった。
二人は足を地につけ踏ん張り、床を削って飛ばされることを防いだ。
床は無残なまでに形を変える。
少しだけ鼻血が垂れる。
口の中に広がる鉄の味に不快感を覚えながら立ち上がった。
地面が削られる程の威力の攻撃をお互いに繰り広げながらも次の攻撃準備を整える。
「うらぁぁぁぁぁぁ!」
「死んでください……!」
ドカンと爆発音が響く。
一瞬でお互いのもとまで駆け抜け斬撃をくらわす。
砲牙の斬撃は黒い光が包み、殺の斬撃は紅い闇が包んでいた。
赤と黒の幻想的な光景に他の者が居たならばこう言うだろう。
『美しい』と。
延々と彼等はお互いを殺そうとする。
それが普通の様に、殺しが当たり前な様に彼等は殺し合いをする。
それはとても恐ろしく昂ぶるものだ。
生と死の狭間を体感しながら生きようと相手を殺そうとする。
それは自然界では当たり前なことで残忍なことだった。
「うー、あれ?私は?」
「や……あ。起きた……のかい……?」
気を失っていた従者が目を覚ます。
すぐ様、従者は目の前の閻魔が血に染まっていることに気づき駆け寄る。
「閻魔大王!いったい何が?!」
「君は……危険だから私の……後ろへ下がってなさい」
従者は危険という言葉に気づく。
建物が酷く壊れていることに、そして眼前の化け物の戦いに……。
演舞の様に美しく、自然界の残忍な摂理をあらわしている様な戦いに思わず息を呑む。
「これは……?!」
「私にも、状況は掴めない。だけど……君は守るから」
従者は危険な状況なのがすぐにわかり閻魔の指示に従う。
「それにしても……これは……まるで化け物だ」
あまりの狂気を感じる戦い。
二人はあまりにも強すぎた、強すぎて恐れられていた。
「ここまでやってもダメージがあまり入らないなんて……でも殺す」
「だから死ぬのは貴方ですよ」
殺は砲牙を精一杯の力で殴る。
壁にまでまたもや吹き飛ばされた彼は怒りの表情を浮かべた。
「もう終わりだ……殺す」
さあ、まだまだ勝負はこれからだ。
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