地獄の日常は悲劇か喜劇か?〜誰も悪くない、だけど私たちは争いあう。それが運命だから!〜

紅芋

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女殺し

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 嗚呼、忌々しい。
 私以外の女共の目に殺殿の姿が映るなんて……。
 憎いったらありゃしません。
 それにあの男……男のくせに殺殿の恋人となるなんて。
 恨めしい、実に恨めしい。
 だけれども、もう大丈夫。
 殺殿の目が映す女性は私一人になります。
 そしてあの男……陽とかいう者も姿を消すでしょう。
 二度と殺殿と会うこともないでしょう。
 だって消えますからね。
 うふふふふふ。


~~~~


 とある昼間、人殺し課はこれから来るであろう依頼を解決すべく動こうとしていた。
 最近、夜の街で起こるようになった事件……残忍な連続殺人事件をなんとかする為に。

「依頼だよ」

 人殺し課の扉がゆっくりと開かれる。
 勿論のことだが、姿を見せたのは閻魔であった。
 閻魔はいつになく真剣な表情を浮かべていて、よほど今回の事件が大変なものだとわからされてしまう。
 閻魔は人殺し課の部屋へ入り依頼内容を語り始める。

「今回の依頼……もうわかってるよね」

「ええ、わかっています。件の連続殺人でしょう?あれは異常です」

 ただの連続殺人事件なら人殺し課はお呼びではない。
 だが、この事件は違った。
 死者が多過ぎるのだ。
 最初の殺人が行われてから、もう数日が経つ。
 この数日間の間にだ、死者が数百を超えたのだ。
 これは一日で終わった混合者事件の比にもならない数である。

 数日間でここまで殺せるとは相手は複数犯だ。
 でも何故、複数犯か連続殺人かってわかるかだって?
 理由は簡単だ。
 どれもこれも手口が同じだからだ。

 相手は被害者の目を鋭い刃で突き刺してから心臓をひと突きしているのである。
 それにしても何故、目を突き刺す必要があるのか?
 それは犯人にしかわかり得ないことだ。
 きっと犯人は目を潰したい理由があったのだろう。
 閻魔は重い口を開けて言葉を喋る。

「この事件……何か意味があるような気がしてならないんだ」

「意味?」

 意味?そう訊ねたが、その理由もなんとなくわかっていた。
 この事件の被害者には皆、共通点が一つだけあるからだ。
 そう、一つだけである。

「この事件、女性しか殺されていない」

 そうだ、実はこの事件の被害者は皆が女性なのだ。
 男性は一人も殺されてはいない。
 殺は前を向いて話を始める。

「それで、手がかりは?」

 だが閻魔はかつてないほどに暗い表情になっていった。
 そうして閻魔が話したことは人殺し課の皆が大抵は予想がついていた話だった。

「手がかりは無くてね……相手は夜に動くことだけが唯一の情報なんだ。つまりは君たちへの調査の依頼は……」

「囮になれってことでしょう?」

「……」

 閻魔は何も言えなかった。
 こういった事件は人殺し課に任せる。
 だが大切な家族を危険な目にあわせるだなんて……閻魔にはそれはそれは辛いことだった。
 だが彼らは笑った。

「そんなこと予想はついていましたわ!」

「僕らが解決しなければならないことなのですから別に怖くはありませんよ」

「御影が女に化けて、Mと一緒に囮になればいいんだな!」

「囮は一人で大丈夫じゃろう?!」

 彼らは普段通りであった。
 閻魔は自分にはとても強い家族が居ることをようやっと思い出す。
 彼らならやってくれる。
 きっと生きて帰ってきてくれる。
 閻魔は信じることにした。
 彼らを、人殺し課を。


~~~~


「夜までの時間潰しって何かある?」

「知りませんよ、サトリ兄さん」

 人殺し課は街の中を固まって歩いていた。
 昼間の街は人がとても多く人混みを避けて歩くスキルが身についていることに皆が感謝していた。

「昼飯……まだだったよな……」

 陽の発言に皆が己が腹の空腹に気づく。
 そういえば閻魔が来たのがちょうど昼飯の時間だったのだ。
 彼らは閻魔に『善は急げ』と急かされて勢いで街にくりだしたのである。

「そうじゃのう……何か食べるかのぅ」

「あそこに定食屋がありますわよ!」

「そこにしましょう」

 そう言って人殺し課の皆は小さな、小汚い定食屋へと入っていった。
 定食屋へと入ると皆が若干だが驚く。
 何故なら外観とはかなり違い綺麗に掃除されていたからだ。
 これは料理にも期待出来る。

 皆が料理を頼み、待っている間に今後は如何するかと話し合いをする。

「やっぱり御影も女に化けたら良いんじゃない?いざという時にMを守れるし」

「それならお主が適任じゃろう?合法ロリ」

「誰がロリだ?」

「お主じゃ」

「あぁ?!やんのかテメェ」

「んー?」

「店の中で喧嘩しないでください。まあ、サトリ兄さんの言うとおりです。いざという時にMを守れるようにしなければなりませんし」

「そうなのか……」

 殺が話しをまとめていく。
 やはりMに何かがあれば大変だということで御影も女性に化けて囮になることで話しはまとまった。
 そうして犯人が現れたところを建物に隠れている殺たちが捕まえて、全てを洗いざらい吐かせる寸法だ。

 そうこう話し合いをしていたら料理が運ばれる。
 運ばれてきた料理はどれも良い香りが漂っていて皆の腹から音が出るほどだった。

「くぅ~~!美味い!」

「小さな店じゃから料理に不安はあったが、要らぬ心配じゃったなぁ!」

 御飯を口の中にいっぱい詰め込んで幸せそうな顔をする御影とサトリに残りの三人は癒されつつも御飯を口の中へ放り込んでいった。
 この日は街の店を片っ端から訪ねて夜まで時間を潰すことに皆は決めた。


~~~~


 時刻は午前一時を刻む。
 昼間は沢山遊んだが、今は仕事の時間だ。
 それも命がかかった仕事である。
 最早、油断は出来ない。

「御影の女装……クオリティ高くないか?」

「狐だからな」

「腐っても九尾の狐ですからね」

 さりげなく殺は毒を吐くが、その目は真剣そのものだ。
 今、殺と陽とサトリは建物の影に隠れていて、Mと御影は道のど真ん中に立っている。

「……まだですの?」

 Mがそう呟いたその時だった。
 ヒュッと風切り音が聞こえてきた。
 音の方向に向けば刀を持った異形で歪んだ姿の者たちが立っていたのだった。

「殺!行くぞ!」

「はい!」

 殺と陽とサトリがMたちの前に立ちはだかる。
 すると異形なる者たちが刀を構えて襲ってきたのだ。
 それも陽だけにだ。

「はぁ?!何で僕にだけ?!女だけを襲うんじゃなかったのか?!」

「私も襲われてますわ!」

「儂も!」

 時間差でMと御影にも異形なる者たちが襲いにかかってくる。
 だがサトリと殺には興味がないといったようだった。
 やはり女だけ?では何故に陽まで?

 そう思っている暇はない。
 今は戦うしかないのだ。

「サトリ兄さん!戦いますよ!」

「おうよ!!」

 彼らは武器を手に取り戦う。
 はたして犯人から全てを聞きだせるのか?


~~~~


 嗚呼、彼の方の邪魔者は全て排除したい。
 私に手を差し伸べて救ってくれた存在の邪魔者を排除したい。
 あの日から貴方は私の全てでした。
 貴方の為なら何でもします。
 だから貴方も私の側に居てください。

 秦広王様……。
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