107 / 167
黒い存在
しおりを挟む「此奴ら!数は多いが弱えぞ!」
「適当に刀をぶん回せば勝てますね!」
殺たちは刀を振るう。
刀で斬り刻まれた異形なる者たちは奇声を発して、みるみる消えていく。
その際に異形な者たちは謎の呪符を残していった。
「何で僕にだけなんだよ?!」
殺とサトリは自分たちが無視されているのをいいことに攻撃を繰り返すだけだったから良い。
だが陽は相手から攻撃を受けているのだ。
苦労は他の者と比べ物にならない。
だが勿論のことだが敵は弱い、だから陽は無傷である。
殺たちは夜の静かな街で乱闘を起こす。
異形たちを斬り刻んでいった刀は最早、血に塗れて真っ赤に染まっていた。
だが、どれだけ赤く紅く染まろうが彼らには知ったこっちゃない。
彼らは止まらない。
いつも敵を倒しては前に進む。
それが彼らなのだ。
戦いは続いていく。
殺たちが戦っている間に異形なる者たちがまるで最初から居たかのようにぞろぞろと湧いて出てくるのだ。
が敵だっていつまでも無限に湧いてくる訳がない。
いつか終わりが来るものだ。
「敵の数が減ってきたのぅ!勝利はもうすぐじゃ!」
「面倒くさかったですわ!」
最後の異形を倒せば人殺し課はあることに気づく。
それは異形が残していった謎の呪符だ。
殺はゆっくりとかがみ呪符を手に取る。
「これは……いったい?」
だが呪術に詳しい御影は即座に気づいた。
その呪符の正体に……。
「これは……式神じゃな」
「なら、これを操っていた真犯人が居るってことか」
異形なる者たちが犯人ではない。
それを操っていた者が真の犯人だ。
殺たちは呪符に戻った異形たちに話しは聞けないと判断して、これから如何するかと考える。
すると殺にはある案が浮かんできた。
「サトリ兄さん!この呪符の残留思念を読み取れますか?」
「え?……出来なくはないけど」
サトリの発言を聞き殺はニヤリと笑う。
そうして今度は御影の方へと向く。
「御影兄さん、サトリ兄さんが読んで犯人を特定します。特定したら御影兄さんには居場所を探してもらいます」
「……なるほど!了解じゃ!」
御影は良き笑顔でそう答える。
この二人はいつでも頼りになるものだ。
殺は安心して後のことを二人に任せる。
そうして女殺しの犯人を取っ捕まえることだけを考えた。
~~~~
「殺……」
「何ですか?犯人の居場所がわかったのですか?」
御影は暫しの間だが無言になる。
だがすぐに口を開いた。
「犯人は近くに居る……」
「ほう……、案外近くだったのですね」
殺は犯人の居場所がわかったことに少し安堵する。
何せ近くに居るならば好都合、今日中に終わらせられると思ったからだ。
そう思えば後は行動あるのみだ。
殺は犯人が居る場所を御影に聞いて、その場所へ向かう準備をする。
「早く行きますよ!」
「「「「了解!」」」」
そう言って彼らは紅い夜の闇に消え去っていった。
~~~~
嗚呼、私が敬愛するあの方の邪魔をするなんて許せない。
そうやって少女は暗い街中で己が刃を抜き出す。
その刀は蒼く荘厳な輝きを放っていて見る者を吸い寄せてしまいそうだ。
一人の少女はこれから来るであろう……いや、誘い込んだ敵を待ち笑みを浮かべる。
「見つけましたよ」
嗚呼、もう来たか。
案外早かったものだと少女は笑う。
その笑みが殺たちを苛立たせるとわかっていて笑う。
「こんばんは、初めまして。私は詩織(しおり)という者です」
黒の髪を揺らす垂れ目の愛らしい少女は自らの名を名乗った。
だが殺は自己紹介など如何でも良いといった態度をとる。
ただ一つ気になることを詩織に訊ねる。
「何故、貴方は女性ではない陽も狙ったのですか?」
詩織は複雑そうな顔をする。
そうして言葉を放っていった。
「私にもわからないです。でもあの方が殺せと言った……。私には未だ彼の方の考えがわからない……」
「は?あの方?」
詩織は急に目つきが鋭くなる。
それに皆が疑問を抱いた時だった。
「私には未だあの方の考えがわからない。ならば今、あの方の命令を聞けば何かがわかるかもしれない!だから女性と死神さん……死んでもらいますよ!」
少女は一瞬で陽の目の前に立ちはだかる。
陽が攻撃を防ごうとした時だった。
「させるか!」
金属がぶつかり合う音が響いた。
己が刃を抜き、陽を守ったのは隣に居た御影であった。
「御影!」
「ここは任せるんじゃ!」
御影は詩織を勢いで弾き飛ばして余裕の笑みを浮かべた。
その笑みが詩織に火を付けた。
「絶対に殺す……」
「ならば殺してみよ、儂を殺した者は未だに見たことはないがのぅ」
さあさあ、勝負が始まった。
敬愛する者を守る為に戦う者、ただ仲間を守りたいが為に戦う者……、何方が勝つか?
~~~~
殺殿……私は貴方の隣に。
私たちを邪魔する者は何人たりとも許しません。
貴方の為だったらどんな犠牲でもはらいます。
貴方の為なら私は何だって出来るのですから……。
だから私を選んで。
ねぇ、お願い。
殺殿。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる