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黒い存在
しおりを挟む「此奴ら!数は多いが弱えぞ!」
「適当に刀をぶん回せば勝てますね!」
殺たちは刀を振るう。
刀で斬り刻まれた異形なる者たちは奇声を発して、みるみる消えていく。
その際に異形な者たちは謎の呪符を残していった。
「何で僕にだけなんだよ?!」
殺とサトリは自分たちが無視されているのをいいことに攻撃を繰り返すだけだったから良い。
だが陽は相手から攻撃を受けているのだ。
苦労は他の者と比べ物にならない。
だが勿論のことだが敵は弱い、だから陽は無傷である。
殺たちは夜の静かな街で乱闘を起こす。
異形たちを斬り刻んでいった刀は最早、血に塗れて真っ赤に染まっていた。
だが、どれだけ赤く紅く染まろうが彼らには知ったこっちゃない。
彼らは止まらない。
いつも敵を倒しては前に進む。
それが彼らなのだ。
戦いは続いていく。
殺たちが戦っている間に異形なる者たちがまるで最初から居たかのようにぞろぞろと湧いて出てくるのだ。
が敵だっていつまでも無限に湧いてくる訳がない。
いつか終わりが来るものだ。
「敵の数が減ってきたのぅ!勝利はもうすぐじゃ!」
「面倒くさかったですわ!」
最後の異形を倒せば人殺し課はあることに気づく。
それは異形が残していった謎の呪符だ。
殺はゆっくりとかがみ呪符を手に取る。
「これは……いったい?」
だが呪術に詳しい御影は即座に気づいた。
その呪符の正体に……。
「これは……式神じゃな」
「なら、これを操っていた真犯人が居るってことか」
異形なる者たちが犯人ではない。
それを操っていた者が真の犯人だ。
殺たちは呪符に戻った異形たちに話しは聞けないと判断して、これから如何するかと考える。
すると殺にはある案が浮かんできた。
「サトリ兄さん!この呪符の残留思念を読み取れますか?」
「え?……出来なくはないけど」
サトリの発言を聞き殺はニヤリと笑う。
そうして今度は御影の方へと向く。
「御影兄さん、サトリ兄さんが読んで犯人を特定します。特定したら御影兄さんには居場所を探してもらいます」
「……なるほど!了解じゃ!」
御影は良き笑顔でそう答える。
この二人はいつでも頼りになるものだ。
殺は安心して後のことを二人に任せる。
そうして女殺しの犯人を取っ捕まえることだけを考えた。
~~~~
「殺……」
「何ですか?犯人の居場所がわかったのですか?」
御影は暫しの間だが無言になる。
だがすぐに口を開いた。
「犯人は近くに居る……」
「ほう……、案外近くだったのですね」
殺は犯人の居場所がわかったことに少し安堵する。
何せ近くに居るならば好都合、今日中に終わらせられると思ったからだ。
そう思えば後は行動あるのみだ。
殺は犯人が居る場所を御影に聞いて、その場所へ向かう準備をする。
「早く行きますよ!」
「「「「了解!」」」」
そう言って彼らは紅い夜の闇に消え去っていった。
~~~~
嗚呼、私が敬愛するあの方の邪魔をするなんて許せない。
そうやって少女は暗い街中で己が刃を抜き出す。
その刀は蒼く荘厳な輝きを放っていて見る者を吸い寄せてしまいそうだ。
一人の少女はこれから来るであろう……いや、誘い込んだ敵を待ち笑みを浮かべる。
「見つけましたよ」
嗚呼、もう来たか。
案外早かったものだと少女は笑う。
その笑みが殺たちを苛立たせるとわかっていて笑う。
「こんばんは、初めまして。私は詩織(しおり)という者です」
黒の髪を揺らす垂れ目の愛らしい少女は自らの名を名乗った。
だが殺は自己紹介など如何でも良いといった態度をとる。
ただ一つ気になることを詩織に訊ねる。
「何故、貴方は女性ではない陽も狙ったのですか?」
詩織は複雑そうな顔をする。
そうして言葉を放っていった。
「私にもわからないです。でもあの方が殺せと言った……。私には未だ彼の方の考えがわからない……」
「は?あの方?」
詩織は急に目つきが鋭くなる。
それに皆が疑問を抱いた時だった。
「私には未だあの方の考えがわからない。ならば今、あの方の命令を聞けば何かがわかるかもしれない!だから女性と死神さん……死んでもらいますよ!」
少女は一瞬で陽の目の前に立ちはだかる。
陽が攻撃を防ごうとした時だった。
「させるか!」
金属がぶつかり合う音が響いた。
己が刃を抜き、陽を守ったのは隣に居た御影であった。
「御影!」
「ここは任せるんじゃ!」
御影は詩織を勢いで弾き飛ばして余裕の笑みを浮かべた。
その笑みが詩織に火を付けた。
「絶対に殺す……」
「ならば殺してみよ、儂を殺した者は未だに見たことはないがのぅ」
さあさあ、勝負が始まった。
敬愛する者を守る為に戦う者、ただ仲間を守りたいが為に戦う者……、何方が勝つか?
~~~~
殺殿……私は貴方の隣に。
私たちを邪魔する者は何人たりとも許しません。
貴方の為だったらどんな犠牲でもはらいます。
貴方の為なら私は何だって出来るのですから……。
だから私を選んで。
ねぇ、お願い。
殺殿。
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