復讐溺愛 ～御曹司の罠～

番外編＊甘いお仕置き

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　倉ビルが経営権を譲渡すると記者発表されたのは、週明けの月曜夜。

　譲渡先は海外企業で、トーウン社内では今回のプロジェクトを足掛かりに海外進出もあるのではと盛り上がっている。

　そんな中で、私と皇丞の結婚式が執り行われた。

　最終的にウエディングドレスを決めたのは私で、皇丞には試着した姿を見せなかった。

　当日までのお楽しみ、と言って。

　だから、ここ一週間は私のドレス姿を楽しみにそわそわしていた皇丞は、式当日の朝になって私が隠し持っていた妊娠検査薬を見つけて大騒ぎ。

　病院に行くだの式を延期するだのと騒いでいたけれど、なんとか言い聞かせて式場に連行した。

　妊娠していたらと心配する彼は、私の準備中もそばにいると言ってきかなかったが、お義母さまにあっさり追い出されていた。

　そして、いざドレス姿を見せたら、今度は違う意味で私のそばから離れなくなってしまった。

「綺麗すぎて誰にも見せたくない」なんて両親四人の前で言うもんだから、恥ずかしくって堪らない。

　とはいえ、皇丞だって格好いい。

　夫婦揃って色ボケしていると笑われるのがオチだから、言わなかったけれど。

　一緒に写真を撮ろうと俵さんや栗山課長と並ぶのすら許さないものだから、結局笑われたけれど。

　そして、妊娠検査薬が見つかってから十三時間後。

　私は検査薬片手に、広いスイートルームを行ったり来たりしている夫の様子を窺っていた。

「梓、まだか！？」

　トイレに入って数秒から、もう五回は聞かれた。

　四回目に聞かれた時は「まだ」と言いながらドアの隙間から彼の様子を見ていたのだが、さすがにこれ以上焦らすのは可哀想かと、トイレから出た。

「どうだった！？」

　検査薬を見せる。

　皇丞の手には検査薬の説明書。

　三日後、トーウンコーポレーションでは、専務直轄で社内保育園設立プロジェクトが発足した。


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