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5.濡れない身体
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しおりを挟む「で? 本当のところはどうなんですか?」
長いキスの後、鶴本くんが聞いた。
「なにが?」
「不感症って全く感じないってこと?」
「それ、また今度にしない?」
休日の朝の話題として、どうかと思う。今更だけど。
「私、顔洗って――」
鶴本くんの足の間から抜け出そうと、私は向きを変えた。
けれど、鶴本くんが立てていた膝を伸ばし、私が逃げられないように交差した。
「ここまで話したんだから、ちゃんと話しましょうよ」
「けどっ、朝からする話じゃ――」
「今更でしょ」
ですよね……。
「こっちもしばらく収まらなそうなんで、話しちゃってください」
足だけでなく、腕も私に絡みつく。
鶴本くんの、硬くなったままのモノが腰に当たる。
「なら、離れた方が良くない?」
「どうせ話聞いてたらまた勃つんだから、このままで」
「けど……」
気になるなんてもんじゃない。
「で? 不感症って具体的には?」
話さなければ、放してくれそうにない。
鶴本くんの顔を見ながら話すより、こうして背を向けている今のうちに話してしまった方がいいのかもしれない。
「……ないの……」と、私は自分で自分の声が聞こえないほど、小さな声で呟いた。
もちろん、鶴本くんに聞こえるはずはない。
「え?」
「濡れ……ないの……」
「……」
沈黙。
背を向けていて良かった。
鶴本くんの反応を真正面から見る勇気はない。
これまでの彼氏たちはみんな、言った。
『こんなにエロい身体してんのに、感度悪りーな』
私に言わせれば、好きでエロい身体になったんじゃない。
それに、胸の大きさに興奮して、力任せに揉まれたり、顔を押し付けられたりして、感じると思う方がどうかと思う。
「全然?」
「え!?」
「全然濡れない?」
「全然……ではないけど……」
「挿れたら痛い?」
私は頷いた。
「一度だけ感じたって男の時は、濡れた?」
もう一度、頷く。
「じゃあ、気持ちの問題かな」
そうなんだろう。
けれど、これまでの彼氏たちも、最初は普通に見えたし、いい印象もあった。優しくて、好きだなと思えた。
それでも、濡れなかった。
「やっぱり、試してみていい?」
「え?」
「本当に濡れないか」
「今!?」
「うん、今」
私の腕ごと抱き締めていた鶴本くんの腕が解かれ、腕と腰の間から前に伸びてきた。
「けど、途中でやめられなくなりそうなんでしょ?」
「頑張ります」
耳元で囁かれ、ゾクッと寒気がする。
耳朶を咥えられ、舐められ、その水音が鼓膜を叩く。
太腿を撫でる彼の手が、熱い。
優しく、ゆっくりと、足の付け根に向かって動く。けれど、そこにはいかず、脇腹を伝ってTシャツの中へと侵入してきた。
「脱がせていい?」
「え? やだっ」
即答してしまった。
「じゃ、触っていい?」
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