続・最後の男

深冬 芽以

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18 まさかのデキ婚!?

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 スピーカーにしているかのような大音量が鼓膜を振動させ、思わずスマホを耳から離した。

「千堂課長がコーヒーをこぼして靴下が汚れたから、脱いで着替えに行ってください、って言ったの。私が片付けたのは零れたコーヒー! めちゃくちゃ如何わしい言い回ししないで」

『ふざけんな! そもそも、どうしてお前が千堂の家でコーヒー飲んでんだよ!』

「これには訳が……。後で話すから――」

 さすがに本人の許可なく話せることではない。が、やはり、智也に通用するはずもなく。

『今すぐに話せ!』

「今は――」

「溝口さんですか!?」

 気づけばシャワーの音は止み、デニムからスウェットに履き替えた千堂課長が背後に立っていた。

「溝口さんにも……聞いてもらっていいですか?」

「え? 私は……構わないですけど……」

「お願いします」

 と、いうわけで、今度はスピーカーで通話中のスマホをテーブルの真ん中に置き、私と課長はコーヒーのカップを片手に座った。

 まずは、智也にこの状況の説明から。

 千堂課長が東京出張に行った木曜の午後。私は病院から帰って来た凪子さんから妊娠していたと報告を受けた。私は嬉しかったけれど、『おめでとう』と言うのを躊躇った。それは、凪子さんの表情がそうさせたから。

 凪子さんは病院で、妊娠の事実と、お腹の子供が双子であること、高齢出産の上に双子となると、無事に出産できる確率がかなり低いことを告げられたという。

 それを聞いて、私は言った。

『おめでとう』と。

 確率が低かろうと、今、この瞬間には、確かに二つの心臓が動いている。それは、間違いなく喜ばしいことだ。

 凪子さんは涙を浮かべた。

 そこまでは、良かった。

 問題は、そこから。

 金曜日。

 凪子さんの悪阻が本格化して、仕事を休んだ。私は仕事帰りに彼女のマンションに行き、さっぱりしたものを作った。本当に少しだけれど、食べてくれた。

 そして、昨日。

 出張から帰った千堂課長は何も知らず、東京土産を渡そうと凪子さんのマンションに行き、青白い顔をした彼女を目の当たりにした。

 当然、どうしたのかと心配する。

 で、家に足を踏み入れた瞬間、理由もなく追い出された。

 しばらく会いたくない、とだけ言われて。

 千堂課長はパニックになり、何度も凪子さんに電話をしたり、メッセージを送ったりした。が、もちろん一切反応がない。

 私はてっきり、凪子さんが出張から帰った課長に話しているものと思っていた。だから、土曜ではなく日曜の今日、様子を見に行った。

 そこで、凪子さんの家の前で狼狽えている課長に出くわした。
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