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12.真実は残酷で……
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「本当に会うのか?」
大貴は何度も聞いた。
その度に迷う。
だが、一縷の望みを懸けて、俺は意思を変えなかった。
夏依が母さんに呼び出された数日後、俺は大貴にあることを頼んだ。
最初、大貴は断った、と言うよりも反対した。
だが、引き下がらない俺に負けてくれた。
『夏依の両親に会わせてほしい――』
まずは父親。
大貴自身会いたくないようだったが、夏依が偶然会った父親に忘れられていたことに傷つき、俺のプロポーズを拒んだことを話すと、連絡してくれた。
数年ぶりの息子からの電話に、父親はすんなりと会いに来た。
一週間後の週末、指定したカフェで、俺と大貴はわざと別々の席に、大貴は入口に背を向け、俺は入口に向かって座った。
店に入って来た時、俺はすぐに彼が父親だとわかった。
カジュアルスーツに整えられた髪、伸びた背筋、堂々とした佇まい。
大貴に似ている。
そして、じっと見ていた。
俺に気が付き、その視線に少し不快そうな表情をしてから店内を見回して、大貴の元に向かう。
息子のことはわかるんだな、と思った。
それから、ムカついた。
夏依のことはわからなかったのに――!
「久しぶりだな」
父親はそう言って、大貴の正面に座った。
大貴の父親を見る目は、とてもそうとは思えないほど鋭く、今も消えない憎しみがまざまざと感じられた。
「元気か?」
大貴がその問いに答えるより先に、店員が注文を聞きに来て、父親は「コーヒーでいいか?」と息子に聞いた。
「ホット三つ」
そう言ったのは、俺。
店員が立ち去り、俺は大貴の隣に座った。
「初めまして、篠井といいます。大貴の友人で、夏依の恋人です」
「夏依……?」
父親が怪訝そうな表情で俺を見る。
「今日は、俺が大貴に頼んで、あなたを呼び出してもらいました」
「理由は?」
「離婚の理由が知りたくて」
父親の眉間に皺が寄る。
「なぜ、きみにそんなことを話さなければいけない?」
「夏依が――」
「――息子には聞く権利があるだろう?」
大貴のこんなに怒りに満ちた声を、初めて聞いた。
だが、父親は平然としている。
「お前は知っているだろう」
「夫婦揃って不倫して、子供にバレたから」
父親がちらりと俺を見て、だが俺の表情から既に知っていると察して、大貴に視線を戻す。
「……そうだ」
「本当にそれだけか?」
「どういう――」
「――俺にバレても平然としてた」
「……」
「すまなそうにするわけでもない、口止めするでもない。まるで――」
店員がコーヒーを運んできて、三人の前に置いた。
騒がしい店内の中で、俺たち三人の空間が切り取られたように静かで、カップがソーサとぶつかるカチャという小さな音も良く聞こえた。
「ごゆっくりどうぞ」と言って店員が立ち去ると、大貴が口を開いた。
「俺がバラすのを待ってたんじゃないのか?」
「どうしてそんなことを――」
「――自分が悪者になりたくなかったんだろう!? あんたは最後まで、俺にも夏依にも謝らなかった!」
「……」
父親は表情を変えず、コーヒーに手を伸ばす。
一口飲んで、ふぅと息を吐き、カップを置いた。
「今更聞いてどうする」
「――っ! 俺は――」
「――少し前、夏依と会ったことを知っていますか?」
感情的になっている大貴を制止して、俺は言った。
「あなたは小学生くらいの女の子と一緒にいたそうです」
「娘と出かけることはよく――」
「――夏依とは出かけたことがなかったのに?」
父親が椅子に背を預け、腕を組む。
「なにが言いたい」
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