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7 彼女の素顔
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だから、腹が立った。
まさに、はらわたが煮えくり返りよう。
「パート勤務の堀藤彩さんの正社員途用を検討してくださいませんか」
部内会議の冒頭、金曜日の送別会の話から、人員補充についてにスライドし、千堂が言った。
「堀藤? ああ、真面目で優秀だと聞いているよ」
「はい。責任感があって、仕事も早いです。最近では指示がなくても動いてくれますし。今は事務をしてもらっていますが、営業を覚えてもらいたいと思っています」
そう言った千堂が、チラリと俺を見た。
「彼女には、ぜひ僕の補佐を務めてもらいたいです」
こいつ、俺と彩の関係に気づいてる――?
「堀藤は正社員途用を希望しているのか?」
「まだ確認していませんが、小学生のお子さんが二人いるシングルマザーですし、条件を考えると断らないと思います」
「子供がいるなら、残業や出張は無理なんじゃないか?」
「ご両親と同居ですから、大丈夫だと思います」
他の男が、特に千堂が彩のことを話すのが、気に入らない。
嫉妬や独占欲なんて、柄じゃない。
柄じゃないが……。
「それなら、結婚や妊娠で簡単に退職される心配もなさそうだな。千堂、彼女に意思確認をしてくれ。その上で、人事に話してみよう」
「わかりました」と言って、千堂がまた俺を見た。
やっぱり、知って――!
彩が、仕事ができるのは事実だ。千堂が純粋に戦力として彼女の正社員途用を提案しても、不思議はない。だが、千堂の彩を見る目を知っていれば、そうは思えない。
彩も言っていたが、千堂の彼女への感情は憧れに毛が生えたようなものだろうと思っていた。五歳の年齢差は今時珍しくもないが、恋愛感情とは少し違うように感じていた。
けれど、千堂の俺を見る目は明らかに敵意を含んでいる。
社内ではろくに話もしないのに、どうしてバレた?
いや、それより、本気なのか――?
彩との関係を後ろめたく感じることはないが、噂の的になるのは本意ではない。
『彩に好きな男が出来たら、関係は終わり』
自分の言葉を呪う。
『私が本気になったらどうする?』
彩の言葉が現実になればいいと願う。
彩の将来に何かを約束できるわけでもないのに。
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