楽園 ~きみのいる場所~

深冬 芽以

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3.許し

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 なかなか諦めない楽に、何となく気圧される。どう言えば諦めてくれるのか考えるが、俺の身体のこと以外の説得力のありそうな理由が浮かばない。

「……いいよ。行ってみたらわかるけど、ホントに大変だから。一人でも上がっていくの大変なのに、俺を支えながらじゃ楽も大変だから」

「大丈夫です。本当に大変だったら、次は悠久さんが支えなしで歩けるようになるまで行きませんから。それに――」

 今度は楽が俺の顔を覗き込む。

「悠久さんの顔を見たら、お祖母さまもお母様も喜んでくれますよ」

「そんなわけないだろ。こんな身体になって、女に支えてもらわなきゃ何も出来ない俺なんて見ても、喜んだり――」

「喜びます! 車椅子でも足がなくても、きっと喜んでくれます。大変な事故に遭ったのに、生きていてくれたってことだけで、十分喜んでくれますから」

 どうしてこんなに必死なのか、とちょっと引くくらい必死で説得され、頑なに拒んでいる理由を忘れてしまうほど。

「足……あるし」

 なんでもいいから、何か言おうとして出た言葉は、恥ずかしいほど子供っぽい言い草だった。

 楽は俺が頷くのを待っている。

 最初に給料のことや生活費のことを話した時もそうだったが、楽は見かけによらず我が強い。

 きちんと理由づけて反論してくるから、気づけば彼女のペースだ。それでいて、強引すぎることはないし、今も、俺がどうしても行きたくないと言えばきっと引き下がるのだろう。



 行きたくないんだから、そう言えばいい。



「ドライブデートのついでに……なら?」

「え?」

「墓参りはあくまでもついで、だから」

 あっさり説き伏せられるのは悔しいから、彼女を困らせてやろうと思った。デート、なんて言えば、きっと名前の時のように顔を真っ赤にするのだろう。

 俺にS気はないが、楽の困ったような恥ずかしそうな顔は、ツボにハマった。

「デート、しよ」

 案の定、楽は耳まで真っ赤にして俯いた。うなじも赤い。

 無性に可愛くて、抱き寄せたくなった。

 実際に、そうしようとした。

 左手なら、動く。

 左手を畳に置いて身体を支え、楽の方に身体を傾けていた俺は、身体を真っ直ぐにしてから左手を持ち上げた。が、その時には彼女は顔を上げていた。

「わかりました。お墓参りデートしましょう!」



 墓参りデートって……。



 色気のないネーミングに、思わず高速で瞬きをしてしまった。漫画ならズコッとか文字入りでコケそうだ。

「じゃあ、早速レンタカーを調べますね」

 そう言うと、楽は楽しそうに和室を出て行った。

 俺と楽では目的が大きく違うようだが、とにかく彼女と外出できるのは俺も嬉しかった。
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