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第二十章 狂気
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しおりを挟む結局、私は雄大さんに写真を見せた。
雄大さんは歯を食いしばって眉をひそめた。
「こんなもんで俺たちを別れさせられると思ってんのか……」
「私たちが別れたら……春日野さんは満足なのかな……」
いいだけくしゃくしゃになった写真は、雄大さんの手で破り捨てられた。
雄大さんが怒っているのがわかる。
春日野さんは、何がしたいのだろう。
こんなことをして、雄大さんが自分を愛してくれるだなんて思うほど、バカな女性ではないはず。
「玲のことは俺が――」
「しばらく、放っておきましょう」
「え?」
「相手にしなければ、そのうち諦めるかもしれないし」と言いながら、私は布団に潜りこんだ。
「けど――」
「出張から帰ったばかりなんだし、とりあえず週末はのんびりしよ」
雄大さんは納得のいかない様子で、私の頭を肩に乗せた。
明日、宇宙技術研究所との打ち合わせで春日野さんと会うことを、私は言わなかった。
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