解放の砦

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6章 男爵家の後始末

6-1 黒炭化する食事 ◆長兄ジャイール視点◆

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◆長兄ジャイール視点◆

 メルクイーン男爵家三男のリアムは家を出ていった。
 王都の魔法学園に入学するために。

 けれど。
 私はリアムの部屋を見た。
 家具や備品だけが残されていた。
 リアムの物は何も残っていない。
 クローゼットを開いたら、服どころか何もなかった。
 机の引き出しにもペン一本も入っていなかった。
 リアムは父に自分の洋服や文房具等の金額の請求をしたことがない。
 家事をしているのはリアムなのに、我々の生活費ですら父に請求するのを嫌がったことがある。
 リアムが持っている物はすべてリアムの物だ。
 この家の物だけリアムは明確に区別して部屋に置いていった。

 父やルアンがこの部屋の事実を知るのはいつになるのか。

 元々、リアムは成人したらこの家を出ていく気だったのだろう。
 自分が男爵家の跡継ぎだということも知らずに。
 この家になくてはならない存在だということも知らずに。

 リアムのすべての物がなくなっているということはそういうことだ。
 もうこの家に帰ってくる気はないという強い意志表示だ。




 リアムの出発日は何の問題もなかった。
 それもそうだ。
 リアムはすべての家事をいつものようにやってから出ていったのだから。

 翌朝から問題は現れた。
 リアムが三人で家事をしろと誓約魔法で縛っていくわけだ。
 私たちが家事ができないことを、そして家事を軽んじていることをリアムが見抜けないわけがない。

 あんなに豪語していたのだからと、父がルアン一人に家事を任せた。
 私が戻ってきて領地の仕事は問題ないと判断して、多少の時間は家事に割いてもいいと父はルアンに言った。
 多少の時間、と。
 それぐらいでできると思っていたのだ。
 ルアンは時間があればと言っていた。
 誓約魔法の刻印がテーブルに刻まれているので、何度でも再生して確認できる。

 時間さえあれば、私一人でも完璧にやってのける。

 うん、リアムが怒らなかったのが不思議なくらいの言葉だ。
 家事をやったこともないくせに、と。

 私はこっそりと家に戻ったとき、リアムがやっている家事をほんの少しやってみた。
 台所やかけ湯場の水を井戸から汲んでくるのも一苦労。一回だけで終わるものではなく、井戸に何度も往復しなければならない。
 洗濯物を取りこむことはできたが、アイロンはできなかった。そもそもアイロンの使い方がわからない。
 洗濯も近所の洗い場まで行くことも恥ずかしいと思ってしまう。が、遠くから見たがあの場にいる女性たちはかなり苦労して多くの洗濯物を洗っている。
 ホウキで部屋を掃いたが、リアムのように綺麗にすることはできない。
 食器は洗えたが、それだけだ。何か料理することもできなかった。
 薪で火をつけても、火加減が一定にならない。リアムはどのようにして調整して料理していたのか。

 家事は意外と労力も時間を使うし、技術も必要だ。
 しかも、毎日繰り返す。
 やったところで、この家では当たり前の行為だとして誰も褒めない。
 母もリアムも事も無げにやっていたから、父もルアンもその苦労を知りはしない。
 この家には使用人はいない。
 貴族の妻や子弟なら、家事をする必要すらないはずなのに。


 父が食堂のテーブルで唸っている。
 目の前に黒い物体が皿にのっていたからだ。
 あんなに豪語していたのだから、私もさすがに味は母やリアムに遠く及ばないにしても、食べられる物体は出て来ると思っていた。
 あの言葉は何の裏打ちもない自信だったか。

「申し訳ございません。薪の火が激し過ぎて焦がしてしまいました」

「ま、まあ、最初だからな。仕方ない」

 父はパン屋のパンだけを食べることにしたようだ。
 私もそうするしかない。

「昼食からルンル婆さんに頼みましょうか?」

 私は父に提案する。

「い、いや、ルアンも頑張っているのだから、もう少し様子を見よう」

 金を払うのを渋ったか?
 この父もルアンもこの状態で本当にどうにかなると思っているのか?

 さらに翌日には家がひどい状況になっていた。
 そもそも、彼らは床を掃くことすらできない。
 とりあえず食事以外は自分のことは自分でやる、自分の部屋は自分で掃除をすることになった。

 にもかかわらず。
 父とルアンの部屋がたった二日で崩壊している。
 着た服は脱いだまま。
 ベッドのシーツ等は乱れたまま。
 どうして、二日で床にこんなにもゴミが散乱するのか理解に苦しむ。

 けれど、二人の部屋には手は出さないことにした。
 母やリアムがどれだけの苦労をしていたか身をもって知る方が良い。

 とりあえず、食堂、台所、執務室等は掃除をしておく。
 ルアンに任せておいたら、すべてが汚部屋になってしまう。

 けれど、リアムのように綺麗にはならない。
 トイレなんて悪臭が漂う。
 リアムはどうやって掃除していたんだ?

 リアムは朝の短時間でさっと掃除していたように思えた。
 朝は早く起きて、アミールとともに食事をして、我々が食事をしている間に部屋の掃除を済ませる。
 どこまでも会いたくないという意志が垣間見れる。
 同じ家にいるのに、ここまで会わないのもリアムが時間をすべてズラしていたからだ。

 朝に食事の用意、各部屋の掃除も近所の洗い場での洗濯も済ませてから砦に向かっていた。
 そして、帰りが遅いのに、洗濯を取りこんで、アイロンをかけて、翌日の食事の下準備をしていた。
 パリッとしたシャツが用意されていることがこんなにありがたいことだとは、今の状況にならないと二人にもわからなかっただろう。
 母が亡くなってからはかけ湯場はかけ水場となっていたが、水は汲まれていた。


「こんなにもひどくなるものなんですねえ」

 家に来ていたアミールの家庭教師がポツリと呟いた。
 聞こえてしまった。
 私は家庭教師を見た。

「昨日、一昨日と私は休みでしたが、この家の現状は誰もリアムくんの家事を手伝っていなかったという証拠になりますねえ」

「ああ、その通りだ」

「誓約魔法の刻印を聞く限り、貴方は最善の受け答えをしているようです。けれど、少し遅かったようですね」

 五千万の借金の件だろうか。
 学ぶのが遅かった。
 その通りだ。

「とりあえずお伝えしておきますが、成長期の教え子の昼食ぐらいは何とかしてほしいとリアムくんからお願いされています。私がこちらに来るときには、アミールくんの昼食は栄養を考えた弁当をご用意いたしますが、一か月ほどでどうにかしていただきたいものです」

「恐れ入ります」

 この家庭教師は昼食にお弁当を持ってくる。その弁当をアミールにも用意してくれると言っているのだ。
 リアムは食事がままならない状況になるのも見越していた。

 父もルアンも成人している。
 多少栄養が偏ったところですぐにどうこうなるものではないが、アミールはまだまだ九歳。育ち盛りだ。ルアンの作った炭を食べさせていたら成長も止まってしまう。

 その二人の昼食はアミールの部屋で取ってもらうことにした。
 いつもは食堂で一緒に食べていたが、ルアンが作る食事の惨状を見せるわけにもいかない。
 ただ、そのことを伝えたとき、ルアンの顔がひどく歪んだ。

 一人だけ優遇されることに腹が立ったのか、それとも。
 父はその表情を見なかったのか、何も言わなかった。
 もはやルアンは救いようのない人間になってしまったのだろうか。
 貴族としても、家族としても、そんな感情を表に出すことは正解ではない。
 ルアンは私が掃除をしていることにさえ気づかない人間になってしまったのか。
 他者を見ることができなければ、領民を思いやる領主になるのは難しい。

 そもそも、この家では元々冒険者ではない私たちは必要のない人間なのだから。




 数日後。
 朝早く、俺は水汲みをしていた。
 もうそろそろ洗濯をしなければならないが、あの女性ばかりいる洗い場に行くのはかなり勇気がいる。
 毎朝、リアムが行っていたのに、行かせていたのに、今さらなのだが。

「おはようございます、お父様」

「おはよう、お前が水汲みをしてくれていたのか。ルアンは食事一つまともに作れないとは」

 父が表に出てきた。
 父もようやく家事の大変さを認識し始めた。
 ルアンは父の仕事を手伝う時間も取れないのに、家事を何一つ満足にはできていない。
 完璧な家事があったからこそ、その不出来が目立つ。

 一応、父は私の行動を目に入れていたようだ。
 ルアンのサポートをしている。いや、食事以外をやっているのは私な気がする。
 ルアンは食事をどうにかしようとかかりきりだ。
 それでも、私が生野菜のサラダを作れるだけ良い方だという状態である。

「肉もないですからね」

 そして、ようやく我々は気づく。
 ルアンの黒炭食事であっても気づく。

 リアムは野菜を八百屋で買っていた。近所の八百屋から毎月請求があるからだ。
 パン屋の請求、調味料、日用雑貨も決まった店からの請求がある。
 肉屋からの請求はない。
 だが、肉が毎日食卓に出ていた。
 その肉はどこから。

 考えればすぐに答えが出る。母やリアムが自分の狩って来た魔物を料理していたのだ。
 今、この家には冒険者がいない。
 砦で魔物を狩る人間がいない。
 その意味に愕然とする。
 市場で見た肉も卵も高い。
 その事実は知っていたはずなのに、その意味を知らなかった。

「砦に肉を融通してもらえないか、頼んでみるか」

 父が軽く言った。

「、、、魔物肉は高価な物です。母やリアムが自分で狩った魔物だからこそ、この家の食卓に並んでいた物です。購入するのならともかく、無償での提供はあり得ないことです」

「だ、だが、私は領主だぞ。そのぐらいの頼みは」

「お父様、我々は砦に何もしていません。本来なら領民の税金で砦の管理をしなければならないのに、母の時代から保養地の整備に回してしまいました。砦は我らに悪感情を抱くことはあっても、救いの手を差し伸べることはないでしょう」

「いや、リアムが砦の管理者なのだし」

「そうそう、砦の管理者なのに、メルクイーン男爵家はリアム・メルクイーンに砦の管理者としての報酬を一切払っていなかったよね」

 笑顔の青年がそこに立っていた。
 後ろには護衛らしき数人が立っている。

「なっ、悪徳商会長っ」

 つい、リアムが呼んでいた名称で呼んでしまった。
 私にお金を貸した張本人だ。父にこの人物が諸悪の根源だと言おうとした。
 が。

「ハーラット侯爵っ」

 父が深い礼、というより土下座状態になった。
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