60 / 181
二日目
二日目:昼⑩
しおりを挟む
「ちょっとトイレに行ってくるね」
僕は嘘をついて、二階堂と宇佐霧の元を離れた。
そして文房具コーナーで油性マジックを調達し、こっそりポケットに入れてからまた二人のところに戻った。こっちに酒があると宇佐霧に言われ、ついて行くと酒屋かってくらいラインナップが豊富だった。
「これ全部タダで飲み放題っすよ!」
うひょーと雄たけびを上げながら、宇佐霧は奇妙な踊りを踊る。
「君、もしかしてもうすでに飲んでる?」
「ちょっとね」
そう言う彼の手には、空のウィスキーボトルが握られていた。
酒が飲めるのはありがたい。だが、アルコールが体内に入れば気が緩む。ボロが出やすくなるのも事実だ。つまり、この男は自分が『バリタチではない』と僕に伝えているのではないか。僕は、宇佐霧に信用されているのか。もしくは、試されているのか。
なら、僕もそれに答えよう。
いつも飲んでいる銘柄の缶ビールを手に取り、プルタブをひっぱって開ける。プシュッと、気持ちのいい音がした。僕は、ビールを喉に流し込む。
「ぬるいから、あんまおいしくないな」
「冷蔵庫に入れとくといいっすよ」
そういえば、食堂のキッチンには大きな冷蔵庫があった。僕は缶ビールをひとケース買い物かごに入れると、倉庫の出口に向かって歩き出した。
「お、さっそく冷やしに行くんすね」
「あっ……」
数歩歩いて、僕は気づいた。
「二階堂くんがいない」
僕は嘘をついて、二階堂と宇佐霧の元を離れた。
そして文房具コーナーで油性マジックを調達し、こっそりポケットに入れてからまた二人のところに戻った。こっちに酒があると宇佐霧に言われ、ついて行くと酒屋かってくらいラインナップが豊富だった。
「これ全部タダで飲み放題っすよ!」
うひょーと雄たけびを上げながら、宇佐霧は奇妙な踊りを踊る。
「君、もしかしてもうすでに飲んでる?」
「ちょっとね」
そう言う彼の手には、空のウィスキーボトルが握られていた。
酒が飲めるのはありがたい。だが、アルコールが体内に入れば気が緩む。ボロが出やすくなるのも事実だ。つまり、この男は自分が『バリタチではない』と僕に伝えているのではないか。僕は、宇佐霧に信用されているのか。もしくは、試されているのか。
なら、僕もそれに答えよう。
いつも飲んでいる銘柄の缶ビールを手に取り、プルタブをひっぱって開ける。プシュッと、気持ちのいい音がした。僕は、ビールを喉に流し込む。
「ぬるいから、あんまおいしくないな」
「冷蔵庫に入れとくといいっすよ」
そういえば、食堂のキッチンには大きな冷蔵庫があった。僕は缶ビールをひとケース買い物かごに入れると、倉庫の出口に向かって歩き出した。
「お、さっそく冷やしに行くんすね」
「あっ……」
数歩歩いて、僕は気づいた。
「二階堂くんがいない」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる