バリタチ人狼ゲーム

泥人形

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二日目

二日目:昼⑪

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 結論から言うと、彼はまだお菓子コーナーにいた。チョコレート菓子を手に取り、神妙そうな面持ちで黙りこくっていた。




「どうしたの? 二階堂くん」
 僕が心配して声をかけると、彼は

「あの……チョコレートって、食べても死にませんよね?」
「はぁ?」

 何言ってんだコイツみたいな顔をした宇佐霧を目だけで少しけん制して、僕は二階堂の発言の真意を探る。

 チョコレートに毒が盛られていると考えているのか、それとも……。




「犬にチョコ食べさせちゃダメって言うよね」
 まずは、直接的な表現は避け、雑談に持っていってはぐらかす。

「いや、人間が……というか、俺が」
 ここで僕は二階堂が言いたいことに気づき、宇佐霧は
「まさか誰かがチョコに毒を盛ったってことっすか!?」
 僕の数秒前に到達した。





 二階堂は、怯えと恐れと羞恥の混ざった様子でもじもじしながら、震える唇で言葉を紡ぐ。

「ちが……そういうわけじゃ……、あの……俺、パパとママにチョコレートは毒だから食べちゃダメって禁止されてて……その……、でも、みんな食べてるから……食べても、大丈夫、です……、よね……?」


 言い終わると、彼は真っ赤な顔をして俯いた。宇佐霧は泣きだした。

「か゛わいそうに゛なぁ゛ああ二階堂~~~! 毒親の元で育ったんだな~~! もう大丈夫だ、チョコいっぱい食えよぉおお~~~!!」

 某海賊漫画みたいに涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、ありったけのチョコレートを二階堂の買い物かごにぶち込んでいく。隣にあったたんきり飴もついでにぶち込んで、いらないからと二階堂に無言で棚に戻されていた。
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