バリタチ人狼ゲーム

泥人形

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四日目

四日目:朝⑪

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「チカレタ……」
 ひとまずどうにかなった。深く息を吐き出し、ベッドに倒れこむ僕をりんちゃんは小突いた。

「テメェがとっとと部屋出ねェから眼鏡に嗅ぎつけられンだよ」
「えぇ……」
 ここ、僕の部屋なのに~? と、不満を口に出したりはしない。だって昔から、りんちゃんは自己中なのだ。



「他の人に見られないように、念のため一人ずつ部屋を出て行った方がいいかもね」
「じゃあ出てけや」

 蹴り出された。僕の部屋なのにぃ~~~!






 廊下に出ると、あいかわらず猫多の腸と血とペンキの赤で気分が悪くなる。むせ返るようだった芳香剤のにおいは、今は少し落ち着いていて、かすかな鉄の匂いと臓物特有の匂いと控えめなラベンダーの不快なハーモニーを醸し出していた。

 これ、いつ腐るのだろうか……? 

 ここに拉致監禁される前、さいごに見たパソコン画面右下のカレンダーは十一月七日の深夜だったから、三日たった今日は十一月十日だろうか。死体が腐りにくい季節だからといって、そう何日も放置していればそのうち腐敗臭がしてくるだろう。だけど、言い出したら僕が片付けなければならなくなる。どうしたものか……。




 廊下を抜け、大広間に着いた。時刻は、もうすぐ七時。大広間には、誰もいなかった。

 朝食を取りに食堂に行くと、屑山が座っていた。アサイーボールとかいう小洒落たものを食べていて少しイラっとしたが、彼の表情は暗かった。


「屑山?」
 僕は、彼に話しかける。反応がない。

「おーい」
 肩をトントンと叩くと、そこで反応があった。

「うわぁ!」
 大げさに驚くなぁなんて思っていると、屑山はこちらを睨みつけて

「黒崎くん、やってくれたね……!」
「何のこと……?」

 彼の鋭い眼光は、しらばっくれるなよ、と僕を責め立てているようだった。しかし、その奥にはどこか余裕のなさが感じられた。
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