【完結】擦れた桜章~自衛官だった私は、牢獄から日本の終わりを記録する~

@ヤマト

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53話 変化

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8月19日1415 国道

霞2曹が車両にて
司令部から指示を受けてきた
内容を伝え始めていた。

「現在の状況だが
3万の敵が上陸した事により
実質的に鳴門への攻撃は
不可能になった」

「無理な攻撃を仕掛けず
敵を包囲する形で
機動防御の後
陣地防御をする事になった」

霞2曹は地図を広げて
四国の東の部分の鳴門を
中心としてぐるっと半円を
描くように指でなぞった。

「ざっとこんな感じで防衛線を引く。
我々の担当はこの東かがわ市だ」

東かがわ市は防衛線の最北端に
あたる場所になる。

「我々は1430から東かがわ市に
向けて前進する。
その前に食料の受領と弾薬の
受領を終えておくぞ」

「それから紀伊3尉は回復するまで
絶対安静にして下さい!」

紀伊3尉が答えるように
静かに手を挙げた。

少しだけ小隊内で
笑いがこぼれた。

「それからな。
司令部にいって知った事だが
今回の上陸に関しては
実質的には防衛側の勝利らしい」

「敵はオレ達が分断殲滅を
行っている時に
陸自が上陸阻止が出来ない事を
見越した上で、このタイミングで
この上陸を行ってきた」

「だからほぼ海自単独で
上陸阻止をしたそうだ。」

「それでも三分の一の上陸を阻止
出来たんだからそう悲観した
もんでもない」

霞2曹が頭を掻いて笑った。
紀伊3尉からの報告を聞いた時の
自分の反応を恥じているのだろう。

だが、これは敵が明らかに
自衛隊の状況を理解した上
的確に判断を下し
時にはリスクのある作戦も辞さないと
いう事だ。

敵の司令官は
防衛目録にある陸海空の連携を意図的に
破壊してきている。

自衛隊はおそらく運用を誤っていない。

明らかに敵の司令官は相当な手腕だ。
それも陸海空を合わせた広い視点を持ち
現場レベルですら理解できる
すさまじい戦略家。

気付けば、霞2曹がじっと私の目を見ている。
私が何を考えているかをわかっている。

その上で霞2曹が目を見ているということは
士気を下げる事を言うなと事だと察して
私は言葉を飲んだ。


「長門、お前は悪いがオレにサブとして
ついてくれ。」

「これからオレも倒れるかもしれん。
何があるかわからんからな
バックアップは必要だ」

縁起でもない事ではあるが
これは必要な処置だ。

気付けば陸曹は
私と霞2曹の二人だけに
なっていた。

ここ数戦は
小隊から犠牲者は
出ていない。

それでもいつ誰が
死ぬか分からない。

そうなれば次に
小隊の指揮を
とるのは自分の番
という事になる。


8月19日1430

現地へと出発する。

2時間ほどかけて
東かがわ市に到着する。

道路にバリケードを設置して
車両が通行できないようにする。

さらには土のうで防御壁を作り
後方には火力支援として
16式機動戦闘車が配置され

さらに後方には
迫撃砲、重迫撃砲
特科、高射特科が配置された。

戦況はお互いに手を出す
事が出来ず膠着状態になり

我々は自国の領土を占領
されているにも拘わらず
敵に手を出す事が出来なく
なってしまっていた。
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