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65話 現実
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8月20日1200 東かがわ市内
我々は弾薬を受領を済ませ、
車両に乗り込み、
第一線に向けて前進していた。
演習では
敵の陣地を奪った時点で
状況は終了となるが、現実では
そうはいかない。
すぐさま敵の反撃に
備えて態勢を立て直さなければ
ならない。
日本の政治がどうであれ
私達が対峙している
現実は変わってはくれない
政治も国民も
我々がたとえ局地的であれ
勝利したとしても評価は
してくれないのだ。
もし、認めるとすれば
それは日本から中国軍を
全て追い出した時だろう
それができなければ
統合幕僚長が
解任されたように
真っ先に批判の的になり
その対応に
現場は振り回される。
そしてそれは
この状況下では
死に直結する。
黙って戦い
耐えて
耐えて
耐えて
それでも悪くなる
現状に激しい憤りを
感じずにはいられない。
我々はただ黙って
命を差し出してきた。
国を守る為に家族との
時間も差し出した。
その仕打ちが
これとは、
あまりにも……
あまりにも悲しいじゃないか。
私はただグッと拳を握り締める。
小隊の他の面々も
ただ黙っていた。
みな思うところがあるのだろう。
喋る気がどうしても湧かなかった。
それでも、喋らなければならない。
もしこの通夜のような空気のまま
戦闘が行われれば誰が死ぬかわからない。
「大阪の奪還作戦はまだ
たてられていないのですか?」
私は紀伊3尉に問いかける。
紀伊3尉は私の意図を
察したのかその質問に答えた。
「すぐには…難しいかもしれませんが
いずれは立てられるでしょう」
「大阪では四国の現状が伝わっていましたから
強襲上陸が起こる前に市民の避難誘導は
上手くいったようです」
「北海道の部隊も善戦しているようです。
いくつかの上陸部隊を殲滅したと聞いて
います」
「それに我々は土地こそ奪われましたが
まだ戦力の保持はできています。」
「時間さえ稼げれば米軍と合流出来ます。
そうなれば流石に中国軍も諦めるはずです」
「そうですか、安心しました」
私はそう答え会話を終える。
車内の空気は心なしかマシになった。
そう、紀伊3尉の考えは軍事上においては正しい。
だが、我々にはこの現状を政治家達が
どう判断してどう結論を下すのかは
わからない。
我々は自衛隊として負けるのではなく
国として負けるのかもしれないな。
そんな事が私の胸の内で
グルグルと黒く反芻していた。
高機動車は通れる道を
選びながら進んでいるので
行き当たりばったりだ。
ふと、道端の遺体に目が留まる。
ドッグタグを口に挟まれた
自衛官のまだ回収されていない
遺体である。
私はそれを見て
もう考える事なく逝けた事を
少しだけ羨ましく思った。
我々は弾薬を受領を済ませ、
車両に乗り込み、
第一線に向けて前進していた。
演習では
敵の陣地を奪った時点で
状況は終了となるが、現実では
そうはいかない。
すぐさま敵の反撃に
備えて態勢を立て直さなければ
ならない。
日本の政治がどうであれ
私達が対峙している
現実は変わってはくれない
政治も国民も
我々がたとえ局地的であれ
勝利したとしても評価は
してくれないのだ。
もし、認めるとすれば
それは日本から中国軍を
全て追い出した時だろう
それができなければ
統合幕僚長が
解任されたように
真っ先に批判の的になり
その対応に
現場は振り回される。
そしてそれは
この状況下では
死に直結する。
黙って戦い
耐えて
耐えて
耐えて
それでも悪くなる
現状に激しい憤りを
感じずにはいられない。
我々はただ黙って
命を差し出してきた。
国を守る為に家族との
時間も差し出した。
その仕打ちが
これとは、
あまりにも……
あまりにも悲しいじゃないか。
私はただグッと拳を握り締める。
小隊の他の面々も
ただ黙っていた。
みな思うところがあるのだろう。
喋る気がどうしても湧かなかった。
それでも、喋らなければならない。
もしこの通夜のような空気のまま
戦闘が行われれば誰が死ぬかわからない。
「大阪の奪還作戦はまだ
たてられていないのですか?」
私は紀伊3尉に問いかける。
紀伊3尉は私の意図を
察したのかその質問に答えた。
「すぐには…難しいかもしれませんが
いずれは立てられるでしょう」
「大阪では四国の現状が伝わっていましたから
強襲上陸が起こる前に市民の避難誘導は
上手くいったようです」
「北海道の部隊も善戦しているようです。
いくつかの上陸部隊を殲滅したと聞いて
います」
「それに我々は土地こそ奪われましたが
まだ戦力の保持はできています。」
「時間さえ稼げれば米軍と合流出来ます。
そうなれば流石に中国軍も諦めるはずです」
「そうですか、安心しました」
私はそう答え会話を終える。
車内の空気は心なしかマシになった。
そう、紀伊3尉の考えは軍事上においては正しい。
だが、我々にはこの現状を政治家達が
どう判断してどう結論を下すのかは
わからない。
我々は自衛隊として負けるのではなく
国として負けるのかもしれないな。
そんな事が私の胸の内で
グルグルと黒く反芻していた。
高機動車は通れる道を
選びながら進んでいるので
行き当たりばったりだ。
ふと、道端の遺体に目が留まる。
ドッグタグを口に挟まれた
自衛官のまだ回収されていない
遺体である。
私はそれを見て
もう考える事なく逝けた事を
少しだけ羨ましく思った。
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