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77話 決意
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8月29日 1610 五色台 宿舎
我々は宿舎の中に入っていく。
宿舎の中には
自衛官達の家族がいた。
家族が心配なのか
皆鬱々とした。
その上でテレビなどの
情報収集源もないのだ。
社会から
取り残されているとも
言えた。
そこには妻の楓と
娘の美樹の姿もあった。
「お父さん!!」
美樹が駆け寄ってくる。
霞2曹も奥さんと
会っている様だった。
楓も心配そうに
駆け寄ってきた。
しかし、再会を喜んで
いる暇はなかった。
紀伊3尉が目配せをして
すぐに出ていく事を
伝えた。
グズグズしていると
いらない詮索を
受ける事になる。
事実を伝えれば
反発を受ける事は
必死だった。
「楓、一緒に来てくれるか?」
私は妻に問いかける。
妻は不審がりながら応じてくれた。
一人の家族の男性が
紀伊3尉に問いかける。
「あの……失礼ですが
外から来られたんですよね?
私達の家族がどうなったか
知りませんか?」
「それは……」
紀伊3尉は返答に困り
ギュッと心臓のあたりを
掴んでいた。
「それは私から
お答えします」
箱根曹長が宿舎に
入ってくる。
箱根曹長は
我々に首で行けという様な
合図をした。
我々は軽く会釈をして
宿舎を後にした。
霞2曹の妻、静香と
妻の楓と娘の美樹が
加わり我々は下山する。
万が一の事を考え
山中を移動していた。
子供の為、美樹に関しては
私が背中におんぶしていた。
移動しながら
我々はこれまでの
経緯を話した。
静香さんと妻はその話を聞いて
唖然としていた。
情報から遮断された状態で
この話を聞けば
信じられなくても仕方ない話だ。
「お父さん、これからどうなるの?」
美樹が問いかける。
今の話を理解できていたかは疑問だが
子供の問いは時に残酷だ。
答えはわからないが正解だが、
子供に自分の不安を見せる気にも
ならなかった。
なんとかごまかそうとする。
「大丈夫だ。
私達は東京に行くんだ。」
「日本の首都だ!
すごいぞなんでもあるんだ!」
私は東京になんて行った事もない
それでも娘を安心させる為に
嘘をつく。
「お父さんはもう戦わなくても
いいの?」
その問いは私達の核心を突いていた。
そうだ。
本当なら戦わなくてもいいんだ。
もういいじゃないか。
日本政府は戦っていた我々を裏切って
西日本新政府の建国をゆるした。
個人の幸せを考えれば
このまま逃げて
新しい仕事を見つけて
家族と幸せに暮らして
多分……
本当はそうして暮らしたいんだと思う。
それが正しいんだと思う。
けれど……
私は日本を日本人を守りたかったんだ。
日本人が日本人だと誇れる暮らしを守りたかったんだ。
侵略されて不幸になる日本人を見たくなかったんだ。
例えそれが自己犠牲の果てだとしても。
先人が命懸けで託してくれた未来だから。
だから…
この事だけには嘘をつけなかった。
「美樹、違うよ。
お父さん達は戦い続ける」
「けど、それは美樹たちが
幸せに暮らせる未来を願っているからだ」
ふと、私の頭を美樹が撫でた。
「いいの!
わたしは皆を守っている
お父さんが大好き!!」
「……そうか」
私はその言葉を聞いて
心底救われていた。
今はどれだけ惨めでも
我々は諦める訳にはいかない。
そう、心に誓った。
我々は宿舎の中に入っていく。
宿舎の中には
自衛官達の家族がいた。
家族が心配なのか
皆鬱々とした。
その上でテレビなどの
情報収集源もないのだ。
社会から
取り残されているとも
言えた。
そこには妻の楓と
娘の美樹の姿もあった。
「お父さん!!」
美樹が駆け寄ってくる。
霞2曹も奥さんと
会っている様だった。
楓も心配そうに
駆け寄ってきた。
しかし、再会を喜んで
いる暇はなかった。
紀伊3尉が目配せをして
すぐに出ていく事を
伝えた。
グズグズしていると
いらない詮索を
受ける事になる。
事実を伝えれば
反発を受ける事は
必死だった。
「楓、一緒に来てくれるか?」
私は妻に問いかける。
妻は不審がりながら応じてくれた。
一人の家族の男性が
紀伊3尉に問いかける。
「あの……失礼ですが
外から来られたんですよね?
私達の家族がどうなったか
知りませんか?」
「それは……」
紀伊3尉は返答に困り
ギュッと心臓のあたりを
掴んでいた。
「それは私から
お答えします」
箱根曹長が宿舎に
入ってくる。
箱根曹長は
我々に首で行けという様な
合図をした。
我々は軽く会釈をして
宿舎を後にした。
霞2曹の妻、静香と
妻の楓と娘の美樹が
加わり我々は下山する。
万が一の事を考え
山中を移動していた。
子供の為、美樹に関しては
私が背中におんぶしていた。
移動しながら
我々はこれまでの
経緯を話した。
静香さんと妻はその話を聞いて
唖然としていた。
情報から遮断された状態で
この話を聞けば
信じられなくても仕方ない話だ。
「お父さん、これからどうなるの?」
美樹が問いかける。
今の話を理解できていたかは疑問だが
子供の問いは時に残酷だ。
答えはわからないが正解だが、
子供に自分の不安を見せる気にも
ならなかった。
なんとかごまかそうとする。
「大丈夫だ。
私達は東京に行くんだ。」
「日本の首都だ!
すごいぞなんでもあるんだ!」
私は東京になんて行った事もない
それでも娘を安心させる為に
嘘をつく。
「お父さんはもう戦わなくても
いいの?」
その問いは私達の核心を突いていた。
そうだ。
本当なら戦わなくてもいいんだ。
もういいじゃないか。
日本政府は戦っていた我々を裏切って
西日本新政府の建国をゆるした。
個人の幸せを考えれば
このまま逃げて
新しい仕事を見つけて
家族と幸せに暮らして
多分……
本当はそうして暮らしたいんだと思う。
それが正しいんだと思う。
けれど……
私は日本を日本人を守りたかったんだ。
日本人が日本人だと誇れる暮らしを守りたかったんだ。
侵略されて不幸になる日本人を見たくなかったんだ。
例えそれが自己犠牲の果てだとしても。
先人が命懸けで託してくれた未来だから。
だから…
この事だけには嘘をつけなかった。
「美樹、違うよ。
お父さん達は戦い続ける」
「けど、それは美樹たちが
幸せに暮らせる未来を願っているからだ」
ふと、私の頭を美樹が撫でた。
「いいの!
わたしは皆を守っている
お父さんが大好き!!」
「……そうか」
私はその言葉を聞いて
心底救われていた。
今はどれだけ惨めでも
我々は諦める訳にはいかない。
そう、心に誓った。
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