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88話 別れ
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9月2日 0000 山中
我々はロボットウルフに
対峙した。
一匹のロボットウルフからは
撃鉄を落とす音が聞こえた。
私は美樹を抱えている為
回避も身を隠す事も
不可能だった。
美樹を守り射線を切る為には
自分自身を盾にするしかなかった。
私は咄嗟に美樹に覆いかぶさる
ようにしてその場に身を伏せた。
娘だけは何としても
守らなければならなかったからだ。
銃声が聞こえて
血が飛び散った。
私が目を開けると、
私の目の前には
紀伊3尉がいた。
紀伊3尉が仁王立ちになり
私と美樹を庇っていた。
その背中は銃撃によって
血まみれになって黒く染まっている。
それは一目見てもう
助かる見込みがないと分かる程の
姿だった。
「私の部下だ。
手出しはさせない……」
紀伊3尉は震える腕で
小銃を手に取り発砲を
繰り返した。
目の前の
ロボットウルフは
役割を終え動かなくなった。
その姿を見届けると
紀伊3尉はどさりと
仰向けに倒れた。
「紀伊3尉!!!!!!」
私と霞2曹が紀伊3尉に
駆け寄る。
紀伊3尉の黒々とした血が地面に
染み込んでいく。
私は茫然として
心の中で何かが壊れたような感じがした。
何も言葉を発する事が出来ない。
紀伊3尉が倒れている。
こんな死に方をして
いい人ではなかったはずだ。
我々、小隊をずっと
導いてくれていた。
私は紀伊3尉と出会った
時の事を思い出していた。
常に周りに気を使いつつも
重要な決断をし続け
責任を負い続けた。
自分の言った事に違わず
例え苦しい立場になっても
皆を励ましてその背中を
見せてきた。
我々に脱出を呼びかけ
家族と共にここまで
連れてきてくれた。
自分だって不安定な立場に
あるはずなのに。
仲間だった。
間違いなくかけがえのない
仲間だった。
あと少しだったんだ。
あと少しというところで…
こんな…こんな…
ドシャッ
霞2曹がやりきれなくなったのか
地面を殴りつけていた。
「二人共……私のことは……いい
先に……進んで…下さい」
「これは……命令…です…
はやく……」
突然銃声がした。
見れば2体のロボットウルフを
佐藤が拳銃で片付けていた。
「おい、紀伊さんの言う通りだ。
銃を撃った以上敵はここに
集まってくるぞ」
「……行くぞ
アンタらが生きて国境を抜ければ
紀伊さんも報われる」
佐藤はそういうと
黙って紀伊3尉の胸元から
スマートフォンを抜き取った。
私達もそれは
分かっていた。
仕方なく立ち上がり佐藤に
従おうとする。
「筑摩……曹長
そこに…おられましたか…」
立ち去ろうとした
我々の背後で
紀伊3尉が片手をゆらゆらと
あげていた。
筑摩曹長は我々の小隊で
最初に戦死した陸曹だ。
きっと幻を見ているのだろう。
「どう……だった……でしょうか…?
私は……小隊長の任を…やり切れたで…
しょうか…?」
「多くの・・・隊員を…殺して…しまった…」
私は聞いていられなくなり
紀伊3尉の元に駆け寄り、紀伊3尉の手を
両手で優しくつかんだ。
「紀伊3尉!!!!!
貴方は小隊長の任を
立派にやり遂げられました!!」
「我々小隊を導き続け
支え続けてくれた
最高の小隊長でした!!!」
「我々の小隊長でいてくれて
本当にありがとうございました!!!」
「だから、もう、ゆっくりと
休んでください」
それを聞くと紀伊3尉は
少しだけ微笑むと
静かに息を引き取った。
雨はまだ降り続け
私の涙を洗い流した。
私はまだ温かいその手を
離すことができなかった。
我々はロボットウルフに
対峙した。
一匹のロボットウルフからは
撃鉄を落とす音が聞こえた。
私は美樹を抱えている為
回避も身を隠す事も
不可能だった。
美樹を守り射線を切る為には
自分自身を盾にするしかなかった。
私は咄嗟に美樹に覆いかぶさる
ようにしてその場に身を伏せた。
娘だけは何としても
守らなければならなかったからだ。
銃声が聞こえて
血が飛び散った。
私が目を開けると、
私の目の前には
紀伊3尉がいた。
紀伊3尉が仁王立ちになり
私と美樹を庇っていた。
その背中は銃撃によって
血まみれになって黒く染まっている。
それは一目見てもう
助かる見込みがないと分かる程の
姿だった。
「私の部下だ。
手出しはさせない……」
紀伊3尉は震える腕で
小銃を手に取り発砲を
繰り返した。
目の前の
ロボットウルフは
役割を終え動かなくなった。
その姿を見届けると
紀伊3尉はどさりと
仰向けに倒れた。
「紀伊3尉!!!!!!」
私と霞2曹が紀伊3尉に
駆け寄る。
紀伊3尉の黒々とした血が地面に
染み込んでいく。
私は茫然として
心の中で何かが壊れたような感じがした。
何も言葉を発する事が出来ない。
紀伊3尉が倒れている。
こんな死に方をして
いい人ではなかったはずだ。
我々、小隊をずっと
導いてくれていた。
私は紀伊3尉と出会った
時の事を思い出していた。
常に周りに気を使いつつも
重要な決断をし続け
責任を負い続けた。
自分の言った事に違わず
例え苦しい立場になっても
皆を励ましてその背中を
見せてきた。
我々に脱出を呼びかけ
家族と共にここまで
連れてきてくれた。
自分だって不安定な立場に
あるはずなのに。
仲間だった。
間違いなくかけがえのない
仲間だった。
あと少しだったんだ。
あと少しというところで…
こんな…こんな…
ドシャッ
霞2曹がやりきれなくなったのか
地面を殴りつけていた。
「二人共……私のことは……いい
先に……進んで…下さい」
「これは……命令…です…
はやく……」
突然銃声がした。
見れば2体のロボットウルフを
佐藤が拳銃で片付けていた。
「おい、紀伊さんの言う通りだ。
銃を撃った以上敵はここに
集まってくるぞ」
「……行くぞ
アンタらが生きて国境を抜ければ
紀伊さんも報われる」
佐藤はそういうと
黙って紀伊3尉の胸元から
スマートフォンを抜き取った。
私達もそれは
分かっていた。
仕方なく立ち上がり佐藤に
従おうとする。
「筑摩……曹長
そこに…おられましたか…」
立ち去ろうとした
我々の背後で
紀伊3尉が片手をゆらゆらと
あげていた。
筑摩曹長は我々の小隊で
最初に戦死した陸曹だ。
きっと幻を見ているのだろう。
「どう……だった……でしょうか…?
私は……小隊長の任を…やり切れたで…
しょうか…?」
「多くの・・・隊員を…殺して…しまった…」
私は聞いていられなくなり
紀伊3尉の元に駆け寄り、紀伊3尉の手を
両手で優しくつかんだ。
「紀伊3尉!!!!!
貴方は小隊長の任を
立派にやり遂げられました!!」
「我々小隊を導き続け
支え続けてくれた
最高の小隊長でした!!!」
「我々の小隊長でいてくれて
本当にありがとうございました!!!」
「だから、もう、ゆっくりと
休んでください」
それを聞くと紀伊3尉は
少しだけ微笑むと
静かに息を引き取った。
雨はまだ降り続け
私の涙を洗い流した。
私はまだ温かいその手を
離すことができなかった。
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