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第2章 商い篇

第12話 ドワーフという種族

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side:桜井美智瑠



「「えぇーー?!」」

「あはははは、まぁそういう反応になるよね(笑)」


ポーターの仕事をしている20歳くらいのお姉さんに、私達のお店の隣にポーターギルドのダンジョン支部を作っていると教えられて

私となっちゃんは見事に声を揃えて驚いてしまった(恥)

でもそれは仕方ない事だと思う!


だってダンジョンの中に支部を作るのがまず普通じゃないと思うし、建設途中の建物は中型のスーパーくらいの広さはあるし

更には、そんな大きな建物をおそらく夜明けと同時に作り始めて数時間で既に完成間近なのだから


「あのっ、ダンジョンに支部なんて作って大丈夫なんですか?職員の方とか職場に通うだけで大変なのでは?」


私が驚いて固まっていると、なっちゃんがお姉さんに質問をしている


「この場所はセーフゾーンだから問題無いよ、それにこのダンジョン支部はあたしらポーターの待機場所に使うから、基本的に職員は不在の予定だしね

代わりにドワーフさん達が冒険者の装備をメンテナンスする為に常駐するらしいから、2人のお店で騒ぎを起こす馬鹿も出ないんじゃないかな(笑)」


よく分からないけど治安が良くなるのなら大歓迎だ♪

それに隣に支部が出来れば、直接商品を売りに行くついでに情報収集なんかも出来そうだ


「なぁなぁみっちゃん、ドワーフって何?」

「よくある設定やと鍛冶とか物を作るのが得意な種族の事」

「ん?2人はドワーフを見た事無いの?」


私となっちゃんの話が聞こえていたのか、ポーターのお姉さんが不思議そうにこちらを見ている


「そっ、そうですね。本で読んだ知識しか無くて」

「へぇ~、まぁドワーフなんて酒場と工房以外じゃ見る機会は少ないか、2人はどっちも縁が無さそうだしね。」



「おいベアトリス、こっちはそろそろ完成するがハンナは来とらんのか?」

「ロベルトさんお疲れ様、ギルドマスターのハンナさんなら今頃ガキ供にミルクをやるので手が離せないと思うよ」

「うーむ、なら仕方あるまい。そっちの小娘2人は新入りか?」

「違いますよ、昨日ロベルトさんにあげた干し肉を売ってるお店の店員さんです。」

「なにっ?!あの干し肉か!そうかそうか、ガハハハハハハハ♪」


『バンッ、バンッ、バンッ!』


「「ぐぇっ!」」


ロベルトと呼ばれた小柄な筋肉ムキムキのおじさんに、私となっちゃんはバンバン背中を叩かれている

とりあえず凄く痛いです(泣)

しかもロベルトさんは凄い笑顔だし、何なのこれは?


「ちょっ、ロベルトさん!普通の女の子がドワーフに叩かれたら怪我しちゃいますから(汗)」

「おっと、そうだった!すまんな嬉しくてつい力が入っちまった。しかしダンジョンに店を作って商売をするとは、ワシも考えた事が無かったぞ!ワハハハハハハ♪」


どうしたら良いか分からず、私となっちゃんはお互いの顔を見ている事しか出来ない

豪快に笑うロベルトさんは悪い人では無さそうだけど、、、


「あっ!そう言えば2人にはまだちゃんと名乗って無いよね、あたしはベアトリスで隣に居るのがドワーフのロベルトさん」

「私はみちるです。」

「なほです。」

「「よろしくお願いします。」」


「こちらこそよろしくね♪ドワーフのロベルトさんはギルドのダンジョン支部を作ってくれてて、これでも親方なんだよ(笑)」

「ベアトリス、『これでも』とは何だ、これでもとは!」

「だって、ロベルトさんって酒場でしか見ないから」

「ふんっ!ワシがよく酒場に居るのは工房の連中の為に酒を仕入れに行っとるからだ。酒場の奴等、こっちがちゃんと目利きをして買わんと出来の悪い酒を寄越すからな!」



「みっちゃんちょっと耳をこっちに」

「なに?」


なっちゃんがロベルトさんとベアトリスさんに聞こえないように小声で話しかけてきた


「ドワーフってお酒好きなん?」

「ほとんどの作品で凄いお酒好きっていう設定やね」

「じゃあ、ドワーフにお酒売ったら凄い儲かるんとちゃう?纏め買いしてくれたら金貨での支払いもあると思うねんけど」

「でもお酒の事は全然分からへんよ」

「それは大丈夫!試飲して貰って気に入ったのを買って貰えば良いよ♪」

「なるほど、さすがなっちゃん!」

「えへへ♪」

「じゃあ直ぐに買って来るわ、種類はお父さんが飲んでるのを適当に選ぶから、なっちゃんはロベルトさんを引き止めといて!」

「任せて!」





つづく。 
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