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第2章 商い篇

第19話 洗濯とお風呂

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side:桜井美智瑠



「それじゃ姐さん」

「「「明日もよろしくお願いしやす!」」」

「はっ、はい!ありがとうございました。」


ビールを抱えてご機嫌で帰るドワーフの職人さん達を見送る

ふぅ~

あの独特の雰囲気はどうも調子が狂うなぁ、オスカーさんには「慣れてくだせぇ」って言われたけど慣れるかな?

金貨で支払いをしてくれる大事なお得意様だから、良い関係を築いて行きたいとは思うけど

とりあえず明日はなっちゃんに相手をして貰おう!


『ガチャッ』

「ただいま~、、、うっ?!」


ドアを開けてお店に入った瞬間、なんとも言えない匂いが充満している(汗)


「ミチルさんおかえりなさい、、、どうしたの?」

「みっちゃんおかえり、言いたい事はだいたい予想出来るからちょっとこっちに」

「うん」

「ごにょごにょ、ごにょごにょごにょごにょごにょ、ごにょごにょ、、、、」


なっちゃんがベアトリスさんに聞こえないように小声で話した内容は、お店の中に充満している匂いについてだった


昨日の時点で気付いてはいた事だけど、ポーターの皆さんはとても汗臭い

そりゃあお風呂に入らず1~2日程度ダンジョンの中を歩き回るんだから、仕事終わりに直接来たら汗臭いのは当然だ

汗臭いだけなら私も我慢出来たんだけど、目の前に居るベアトリスさんが放つ匂いは、はっきり言って悪臭だ(泣)

その原因はベアトリスさんが着てる革鎧なんだろうなぁ

高校の剣道部の籠手とか、ホッケー部のキーパーが着けてる防具と同じような匂いがしていてるから、簡単には洗えない物なんだと思う。


そこでなっちゃんが考えたのが、紫外線ライトを当てて殺菌してからファ○リーズを吹きかけ、とどめに銅板で挟むというものだ

それらは既にレジカウンターの下に用意されているのは良いんだけど、幾つか気になる物がある

リンスinシャンプーとボディソープ

そして

主婦の味方『ウタ○ロ石鹸』

『ウタ○ロ石鹸』は、お母さんがお父さんの靴下を洗う時に使っていて、洗面所でゴシゴシしているのを見た事がある、でも今必要な物かな?


「ウタ○ロ石鹸で革鎧は洗わん方が良いと思うけど」

「それはベアトリスさんの服を洗う用やね、お店の裏にタライと洗濯板用意しといたから、みっちゃんはベアトリスさんをお風呂に入れて服も洗濯してあげて。革鎧は私がなんとかするから!」


おおっ!

なっちゃんが燃えてる♪

ならば私はベアトリスさんを綺麗にしてみせーる!


「ベアトリスさーんお疲れ様でした、せっかくなんで汗流して行って下さい。」

「えっ?!いや、嬉しいけど臨時雇いの身でそこまでして貰う訳には」

「帰ってからお湯沸かすの大変でしょ?」

「うん、ギルドの皆で沸かすとはいえ使える薪も限られてるし、お湯を使う順番が最後になったらほぼ水だしね(悲)」


「そういう事なら是非汗を流して行って下さい!実は魔道具でお湯を沸かしてるんで労力はゼロですので!」

「そっ、そうなんだ。まぁ2人なら色んな魔道具を持ってても納得だけど、、、お言葉に甘えさせて貰おうかな」

「ではさっそく行きましょう!お店の裏に色々用意してるので」


そのまま3人でお店の裏に行くと外から見えないようにタープが張られていて、銀色のタライ2個と洗濯板が置いてあった

問題はお湯だったけど、水色と赤色の印が付いてる蛇口がお店の外壁から突き出ているから、給湯器に繋がっていてお湯が出るのだろう

謎の観察者の配慮が感じられてとてもありがたいけど

もっと他に配慮をする所があったんじゃないかなぁ、と思わなくもない


「ベアトリスさん鎧と服を脱いで下さい、鎧は表面の汚れを拭いておきますし、服も洗いますから」

「なんだか至れり尽くせりで悪いなぁ、恩返しって訳じゃ無いけど私で良ければ何でも言って、相談に乗るから」

「「はい♪」」




つづく。
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