短編・ショートショート置き場

永倉伊織

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愛よ消えないで

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side:ルナ


朝、目が覚めると

カーテンの隙間から射し込む光に目がシパシパしてどうにも目が開けられない。

やはり朝は苦手だ。

朝が苦手なのは私の隣で寝ているレオも同じようで、この時間に自発的に起きる事は無い。

と言っても

レオと出会ってまだ四日しか経っていないから、レオが本当に朝が弱いかどうかは分からない。

幸せそうに寝ているレオの顔を眺めているのも良いけれど、朝には起きておくのがルールだ。

ルールを破ったからと言って罰がある訳でも無い。それでも私はレオと出逢ったこの偶然を、この先もずっと大事にして行きたいと思っている。

膝を抱えて寒さに耐えた雨の日の辛さは生涯忘れる事は無いだろう。

でも今は雨をしのげる家があり、私の心を温めてくれるレオが居る。


だからレオ

早く目を覚まして

目を覚まして私の瞳を見つめて安心させて欲しい。

・・・

ぺシッ!

ペシペシッ!


「う゛っ、、、ルナ止めて、顔が痛い(泣)」

「レオが起きないから仕方なくよ」

「うん、起きなきゃいけないのは分かってる、でも顔をペシペシ叩かなくても良いと思う。」

「2度と以前のような生活には戻りたく無いでしょ?レオはそこのところ判ってくれていると思っていたけど」

「大丈夫判ってる。またひとりきりになるのはさみしいからね。それに、、、」

「それに?」

「ルナとはずっと一緒に居たい。たぶんボク達はここで死ぬまで生きて行くんだと思う。」

「まぁそうかもね、あっ!来たわ準備して」

「うん!」


「ルナ~、レオ~、起きてる~?」

「「にゃ~」」

「わぁっ!揃ってお出迎え?いつの間にそんなに仲良くなったのよぉ~♪」

ワシャワシャワシャワシャ!

くっ

人間の女

助けられた恩はあるけど、スキンシップはもう少し控えめにしろ!


(ルナ堪えて(汗))

(分かってるけど、毛を逆撫でされるのはちょっと、、、)

「フギャッ!」

「ルナごめーん、毛がもこもこで気持ち良いからつい。次はレオの番ね、もう我が家には慣れたかな~?」

ワシャワシャワシャワシャ

(未だ勝手が分からず不安はあるけど、ごはんは気に入ったよ人間の女)


「にゃん」

「ふふっ、今日のレオはご機嫌さんだねぇ♪はぁ~、行きたくないけどルナとレオを養う為にも私は仕事に行って来ます。」


(仕事、とは何かよく分からないけど、私とレオの幸せの為に頑張りなさい人間の女)

「にゃー」

(頑張れー、人間の女!)

「にゃっ!」

「あぁー、もう!ルナとレオが愛し過ぎる。あっ?!そろそろ出ないと、2匹とも大人しく待っててね、行って来まーす。」

バタンッ



「まったく、あの人間の女は毎朝忙しないんだから」

「ボクはまだここに来て四日だけど、いつもあんな感じ?」

「そうね、私がここに来て1年くらいだけど、朝はだいたいあんな感じね。ふぁ~、眠い。寝直さない?」

「賛成」





ガチャッ

「ただいま!ルナ~、レオ~、ご飯だよ~♪」


むむっ!

人間の女が帰って来たようね

(レオ起きて)

(んー、、ふぁ~、ごはん?)

(そうよ、美味しいニュルニュルのご飯を貰う為に分かってるわよね?)

(任せて!)


瞳をキラキラさせたレオの横に私は座る。

私達の求めるものはただひとつ、人間の女がたまにくれるニュルニュルしたご飯だ!

私はもう2度と迷わない、愛するレオとニュルニュルご飯を手に入れる為

私はレオの瞳をみつめてタイミングを計る、、、

((せーのっ))

「「にゃー♪」」

「ルナとレオがお出迎えしてくれるなら、私はこれからも生きて行けるよぉ~(泣)」

(人間の女、泣いてる場合では無い。私とレオの幸せの為に早くニュルニュルご飯を!)





完。
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