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ガチャガチャ彼女
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人生で初めて女性と付き合うことになった。
キッカケは会社仲間と遊び半分で参加した合コン。僕は友人達が話してる隣で烏龍茶でも啜っていたが、彼女は気さくにもそんな僕に声をかけてきた。僕と彼女は驚くほどに気があった。住んでる場所も一緒だし、好きなアイドル、ゲーム、アニメも一緒だった。僕たちは一気に意気投合した。打算のなさそうな笑顔。お世辞にも美人とは言えない。中の下程度の容姿だったが、何より心が綺麗で僕はすぐ彼女に心を惹かれた。
この合コンがキッカケで僕達は交際を始め、一緒に高級レストランで食事、会社の愚痴を言い合うこともあった。今までの僕の人生の景色が変わった。
一年後に僕たちは結婚した。2人の子をもうけ、平凡ながらも幸せな毎日を過ごしていた。
そう、平凡で幸せ、本当に平凡だったのだ。
僕の妻は僕のことを愛してるし、僕も妻のことを愛してる。子供も2人で大切にしていた。
だけどそんな日々で満足できないのが僕という人間の性だった。
同じ会社の後輩がいた。妻とは比べものにならないくらいに美人で、スタイルもいい、会社員としても優秀で、上司への評価も高かった。僕もその後輩とは仲が良かった。誰もが彼女に想いを寄せていた。
「今日飲みに行きませんか?」
突然彼女がそう言った。太妻が脳裏をよぎった。他の女と一緒に飲みに行ったなんて言ったらたとえ優しい妻でも怒るだろう。けど僕は彼女の誘いを断れなかった。
「うん、一緒に行こう。」
平凡で幸せな日常だった。
けど平凡で幸せな日常は何かの拍子でガラスのように砕け散るのだ。
僕たちは夜の9時まで飲んでいた。僕はふと妻に連絡し忘れてたことに気づく。
慌てて電話をかける。
『おかけになった電話番号は現在おつながりになりません。』
?どこか出掛けてるんだろうか?この時間で繋がらないことは本来ありえない。
ふと彼女の方を見る。彼女はかなり酔ってる様子だった。あざとい目でこちらを見つめている。
この時に僕は冷静な判断ができなくなっていた。
ホテルの一室で、僕は彼女を抱いた。“ソレ”が悪いことだとは分かっていた。けど男というのはそういう生き物なのだ。性欲の歯止めが効かなくなると見境がなくなる。
「ねえ」
彼女が僕を呼んだ。
「私最近思ったんですけど、」
さっきまで酔っていたとは思えないほど冷静な口調で彼女は語る。
「恋愛って言うのはゲームガチャガチャと一緒だと思うんです。ゲームのガチャガチャってレア、SR、SSR、URってレアリティが決まってるじゃないですか?それと同じでブサイクな女と綺麗な女。スタイルのいい女と悪い女、ゲームでいうところのレアとSSR。誰もがSSRもしくはURを目指してるけど結局は中身は良いけど外見が悪いSRで大概の人は妥協してるじゃないですか?私だったら、SSRを必ず狙うのに、おかしいですよね?」
何を言っているのかわからない。つまりアレか?僕が妻を選んだのは本物の愛じゃなくて妥協で選んだ愛だと言いたいのか?
そう言い返そうとしたが、彼女はなおも言葉を続ける。
「何で男の人は不倫っていうのをするんでしょうね?ガチャで良いのが引けなかったから、石を集めてまた良い女を引くためにガチャを回してる。ガチャで選ばれた女は男のことを知っていても、男が自分をガチャで引いてくれから。だから気軽に体を預けるんです。こういう女のことを私は不倫相手ではなく、『ガチャガチャ彼女』って呼んでます。不倫した相手の妻はハズレだから部屋の隅で転がってるおもちゃみたいに放ったらかしにされるんです。ふふっ。先輩も心当たりがあるでしょ?さっきの先輩も、回したんですよ。『いい女ガチャ』を。そして私を当てて、妻がいるにもかかわらず私と行為に及んだ。そこには何もやましい気持ちはない。ただ、退屈で平凡な人生を少しでも変えたいと思った自分がいたんですよ?先輩は身体に正直ですね?」
何も言えなかった。彼女の言う通りだった。僕は合コンというガチャガチャでハズレを当てて、そのハズレとの平凡な生活に飽き飽きして、もう一度ガチャを引いて、今目の前のこの女を引き当てたに過ぎないのだ。
「あ、そうそう。」彼女はまだ話を続ける。
「このガチャは何も男に限った話ではありません。女だって、いい男を探すためにガチャを回してるんですよ?」
その言葉を聞いて、僕はハッと気がついた。
さっき妻との電話は繋がらなかった。本来ならありえないことだ。妻が、子供を置いてこんな遅くに連絡一本もよこさなかったことなんて。
まさか…。
僕は後輩の女を置いてすぐに服を着替え、カバンを持ってホテルを出た。
「あーあ。行っちゃった。せっかくSSR級の女を当てたのに…」
「けどもう遅いですよ?古くなった男は捨てられる。ガチャガチャで得た恋なんて所詮はただのガラクタに過ぎないんですから。」
キッカケは会社仲間と遊び半分で参加した合コン。僕は友人達が話してる隣で烏龍茶でも啜っていたが、彼女は気さくにもそんな僕に声をかけてきた。僕と彼女は驚くほどに気があった。住んでる場所も一緒だし、好きなアイドル、ゲーム、アニメも一緒だった。僕たちは一気に意気投合した。打算のなさそうな笑顔。お世辞にも美人とは言えない。中の下程度の容姿だったが、何より心が綺麗で僕はすぐ彼女に心を惹かれた。
この合コンがキッカケで僕達は交際を始め、一緒に高級レストランで食事、会社の愚痴を言い合うこともあった。今までの僕の人生の景色が変わった。
一年後に僕たちは結婚した。2人の子をもうけ、平凡ながらも幸せな毎日を過ごしていた。
そう、平凡で幸せ、本当に平凡だったのだ。
僕の妻は僕のことを愛してるし、僕も妻のことを愛してる。子供も2人で大切にしていた。
だけどそんな日々で満足できないのが僕という人間の性だった。
同じ会社の後輩がいた。妻とは比べものにならないくらいに美人で、スタイルもいい、会社員としても優秀で、上司への評価も高かった。僕もその後輩とは仲が良かった。誰もが彼女に想いを寄せていた。
「今日飲みに行きませんか?」
突然彼女がそう言った。太妻が脳裏をよぎった。他の女と一緒に飲みに行ったなんて言ったらたとえ優しい妻でも怒るだろう。けど僕は彼女の誘いを断れなかった。
「うん、一緒に行こう。」
平凡で幸せな日常だった。
けど平凡で幸せな日常は何かの拍子でガラスのように砕け散るのだ。
僕たちは夜の9時まで飲んでいた。僕はふと妻に連絡し忘れてたことに気づく。
慌てて電話をかける。
『おかけになった電話番号は現在おつながりになりません。』
?どこか出掛けてるんだろうか?この時間で繋がらないことは本来ありえない。
ふと彼女の方を見る。彼女はかなり酔ってる様子だった。あざとい目でこちらを見つめている。
この時に僕は冷静な判断ができなくなっていた。
ホテルの一室で、僕は彼女を抱いた。“ソレ”が悪いことだとは分かっていた。けど男というのはそういう生き物なのだ。性欲の歯止めが効かなくなると見境がなくなる。
「ねえ」
彼女が僕を呼んだ。
「私最近思ったんですけど、」
さっきまで酔っていたとは思えないほど冷静な口調で彼女は語る。
「恋愛って言うのはゲームガチャガチャと一緒だと思うんです。ゲームのガチャガチャってレア、SR、SSR、URってレアリティが決まってるじゃないですか?それと同じでブサイクな女と綺麗な女。スタイルのいい女と悪い女、ゲームでいうところのレアとSSR。誰もがSSRもしくはURを目指してるけど結局は中身は良いけど外見が悪いSRで大概の人は妥協してるじゃないですか?私だったら、SSRを必ず狙うのに、おかしいですよね?」
何を言っているのかわからない。つまりアレか?僕が妻を選んだのは本物の愛じゃなくて妥協で選んだ愛だと言いたいのか?
そう言い返そうとしたが、彼女はなおも言葉を続ける。
「何で男の人は不倫っていうのをするんでしょうね?ガチャで良いのが引けなかったから、石を集めてまた良い女を引くためにガチャを回してる。ガチャで選ばれた女は男のことを知っていても、男が自分をガチャで引いてくれから。だから気軽に体を預けるんです。こういう女のことを私は不倫相手ではなく、『ガチャガチャ彼女』って呼んでます。不倫した相手の妻はハズレだから部屋の隅で転がってるおもちゃみたいに放ったらかしにされるんです。ふふっ。先輩も心当たりがあるでしょ?さっきの先輩も、回したんですよ。『いい女ガチャ』を。そして私を当てて、妻がいるにもかかわらず私と行為に及んだ。そこには何もやましい気持ちはない。ただ、退屈で平凡な人生を少しでも変えたいと思った自分がいたんですよ?先輩は身体に正直ですね?」
何も言えなかった。彼女の言う通りだった。僕は合コンというガチャガチャでハズレを当てて、そのハズレとの平凡な生活に飽き飽きして、もう一度ガチャを引いて、今目の前のこの女を引き当てたに過ぎないのだ。
「あ、そうそう。」彼女はまだ話を続ける。
「このガチャは何も男に限った話ではありません。女だって、いい男を探すためにガチャを回してるんですよ?」
その言葉を聞いて、僕はハッと気がついた。
さっき妻との電話は繋がらなかった。本来ならありえないことだ。妻が、子供を置いてこんな遅くに連絡一本もよこさなかったことなんて。
まさか…。
僕は後輩の女を置いてすぐに服を着替え、カバンを持ってホテルを出た。
「あーあ。行っちゃった。せっかくSSR級の女を当てたのに…」
「けどもう遅いですよ?古くなった男は捨てられる。ガチャガチャで得た恋なんて所詮はただのガラクタに過ぎないんですから。」
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