妄想自殺

小川

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妄想自殺

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「死にたい」
数多くの人間が一度は口にする言葉
「死にたい」と思うのはいくつか理由があって
「取り返しのつかない失敗を死にたい」
「友達と喧嘩したから死にたい」
「親がうざいから死にたい」
「失恋したから死にたい」
「人生に飽きたから死にたい」
まあ、人によっては千差万別だろう。
大概はその場だけで実際に決行はできないのではあるが、中にはほんとに死ぬ人間もいる。だがそんな人間はごく一部でほとんどの人間はまずやらない。

私はいつも死にたいと思う。悩みなど何もない。不自由もない裕福な家庭。偏差値の高い高校にも通ってる。友達も優しい人ばかりだ。けど死にたい
人生に飽きたわけでも絶望してるわけでもない。
だけど死にたい。
登校または下校途中に信号待ちをしていると、道路を走る車を見て思う。
「そのまま歩道を走って私を轢いてくれないかな。」
駅のホームに立ってる時に思う
「誰か私をホームから落としてくれないかな。」
電車に乗ってる時思う。
「急に横転してくれないかな。」
バスに乗ってる時思う
「誰かバスをハイジャックしてハイジャック犯が私を刃物で滅多刺しにしてくれないかな。」
学校でクラスメイトと話してて思う
「学校の屋上から飛び降りたいな。」
部屋にいる時思う
「首を吊りたいな。」
そう、私はあらゆる場面での自殺を妄想してるちょっとおかしい人間なのだ。何度スマホで「自殺 方法」と調べたことか。こんなに物事に対して興味を持ったのは実は初めてのことである。
家族や親戚、教師、友達には言っていない。どうせ「死なないで。」だの「悩みなら聞くよ?。」だの、偽善に満ちた返事しかもらえないからだ。もとより言うつもりもない。
死というのは唐突に来るもの。人は母親の子宮にいる頃から死のリスクを抱えてる。必ずしも腹の中の赤ん坊が生きたまま母親の中から出てくるとは限らないのだ。仮に出てきたとしても死は人に付き纏う。元気だった人が急に病気で死ぬことだってあるし、狂人によって殺害されることもある。漫画やアニメのように、不吉な予兆が出たりなどはしない。死はいつも、突然だ。
私は誰かの手によって、あるいは病気で死ぬなんて嫌だ。このままダラダラ生き続けるのも嫌だ。生き続けたら生き続けた分だけ恥を背負うことになる。そんなことになるなら私は自分で死ぬ。
遺書も何も必要ない。必要なのは縄だけ。
息を吸って、吐いて、台の上に乗って、縄を首にかけて、
それから、それから、それから、


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