有名どころ、大集合

レクス

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相反する者同士

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「2000年後の世界も、期待には大きく適わぬが悪い物でも無いか」

街中を歩く1人の影
力、否 存在自体を隠しながら歩く彼は誰の目にも留まる事は無い
そこで彼は、4人の武装した男が1人の女を囲う現場を目撃する

「矮小だ、下らん」

普段なら無視した事だろう、だが彼は察知した
囲まれている彼女が、自身と唯一相対する存在だと
そう知った彼の行動は早かった

「貴様ら、退け」

存在を現し溢れ出る威圧を4人へと集中させる
余りにも熟達したは4人を優に気絶へと追いやる
4人の男達は、ふと浮き上がると吹き飛ぶように彼方へ翔んだ

「貴様、聖女だな」

「貴方は、もしやっ!! いえ、魔王は思念体と聞きます ここまで肉体に定着する訳が無い」

「貴様らの謳う魔王とやらは『レイス』だ、業の深い人間共が生み出した物だ」

「あ、あれをレイスと言うのですか!!嘘です、レイスはもっと弱い筈です!!」

「魔王が人間を襲うという考えを止めろ、貴様らが襲われるのは怨念だからだ
欲深く醜い人間共が互いを憎み怨み嫌悪し、その思念が集まるからこそ襲われるのだ」

「じゃあ、本当の魔王は誰だと言うのですか!?」

「私だ、覚えておけ矮小なる聖女よ」

歩み去ろうとする魔王、だが傍らに聖女が着いて来る
敵意、確かにそれも含まれるが多くは別の要素を抱え
延々と着いて来るのだ、魔王の後ろを

「何だ聖女、余りにも鬱陶しいと消すぞ」

「私は聖女ではありません、もう追放されましたから」

「何? 貴様が最も神近いではないか、人間は余程腐った物だな」

「そんなに、悪くないですよ」

「我には思えんな、着いて来るなよ」

「嫌です」

「来るな」

「嫌です!」

「来るな」

「嫌です!!」

「…」

「嫌です!!!」

「まだ何も言ってないだろう」

「否が応でも着いて行きますから!!」

「何故だ」

「それは、秘密です」

「まぁ良い、貴様程度では何もならん」

聖女、彼女は『魔王の監視』を建前にしているだけだ
散々と邪を民から遠ざける為に、自ら触れて来た
悪を感じるのは過程で得意となってしまった、だからこそか魔王から悪を感じ無い
確かにそれもあるだろう

だが、ただ単に彼の容姿に一目惚れしただけである
彼女の好みに合わせ作られた精密人形が如く
だが敵対するべき存在な魔王という彼、背反する心情の中
着いて行くことに決めたのだ、自由の身となった彼女を縛るものは無い

そして彼らは、自然と仲良くなって行く
聖女の根気強さが幸いしたか、否 聖女と魔王が仲良くなる事自体が不幸か
それならば不幸中の幸いと言うべきだろう
彼らは転者のように行かずとも、愛着に等しい物は築いた

それは暇を持て余した神の遊びにも思えてしまう
事実、そういう事だろう
魔王は神であろうと干渉を許されぬが聖女には、やり放題だ
良いように運命を操作し、魔王との邂逅を許した
神は知っている、魔王
彼は人智を超えた頭脳だからこそ周囲と分かり合えず
結局は力に頼ってしまう、実は平和を望む優しい者なのだ
と、それは人間に到底分かり得るものでは無いのだ
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