武術家、新たな肉体を手に入れる

レクス

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「アビス様、初にお見えになります 国立治療院 副院長 兼 看護師長 のマリア·フォン·ナイゲルです」

雲が入り交じった様な空色の軽い長髪に柔和な碧眼を持つ女性
優しく包容力のある母性ある女性、というのが正しい表現だろう
肉感的で豊満で在りながら締まる所は締まる体型は男好かれするだろう
だが、髪色よろしく 正に雲の上の存在に近い印象を受ける

それも当然、彼女は遥か昔に勇者と共に魔王を討伐した
『聖女』その名を異名とし我がものにしているのだから
風と水、治癒魔法に特化した彼女の適性は人どころか植物さえも安易に治療できてしまう
そして人体に詳しい為、彼女の発動する支援魔法の効果は絶大であり
同時に無数に存在する患者の殆どを治療してきた魔法力や技能は伊達では無い
当然、攻撃魔法に関しても超一流の実力を誇ると言われている
更には、治療師を多く生み出してきたナイゲル侯爵家の長女である

3女とはいえ国を率いる王族の、と言えば当然一大事であり
国が経営する国内最大の医療施設の副院長が出てくるのも不思議ではない
いや、今回は裸体を晒す治療 女性と言うのは立ち会いにおいて都合が良い
因みに母親も立ち会うという手筈である

「アビス·フォン·ルヴィスだ、宜しく頼む」

マリアと握手を交わすアビス
柔らかで包み込むようなマリアの手の感触は、多くの男性を惚れさせるだろう
だが、そこは武人 神道紅碧
戦闘において女体に惑わされる程度は三流も良い所、彼にとって劣情は既に廃棄した物だ

「じゃあ、早速だが治療を始める 退室しろ」

着いて来た父親と国王が離席し部屋を出て行く
暫時の後に王女は服を脱いで寝台に寝転がる
アビスは恥辱も興奮も無く、無情に彼女の裸体を眺める
否、白斑が出ている部位を見た と言うべきだろう
これは治療行為だ、邪な思考は不必要だ

所々白の混じる頭髪、額には大きな白斑、関節部、乳房、腹部、陰部
様々な箇所に浮かぶ白斑は、全体的に拡散し肌を白く染めていた
知らぬものから見れば異様の形相、不治の病となるのも不思議ではない

アビスは少女に手を翳す
直後、彼女の身体を燐光が包む
粒子のように漂う光は白斑へ集中し光り輝いていく

数分後、黄白色の燐光は姿を紅く変貌させる
同様に白斑へ集中する粒子

体の内部から白い肌を追い出すように、肌色が盛り上がってくる
白い肉を体外に押し出し、見えるのは従来の肌
白斑が押し出される様相は全く心地の良いものでは無いが、病気が治ったのには変わりない

「治癒効果を持つ光を白斑に照射し、同時に治癒魔法を肌に継続的に発動し続ける
治れば、強化魔法で局部の代謝を一時的に向上させ白い肌を押し出す 以上
白斑の治療完了だ、副院長として どうだ?」

「なるほど、何故 光魔法は必要なのですか?」

どんどんと専門的な医学の分野に潜っていくアビスとマリア
王女は自身の体に驚きつつも母親の持っていた普通のドレスを着ていく
王妃と一応と付き添った彼女を幼い頃から育てた侍女は感激し目に涙を浮かべる

「分かりました、白斑の治療法は此方が預かります」

「好きにしろ、利益が欲しいわけじゃない」

「アビス様は医師に向いているかも知れませんね?」

「所詮は医療も利益で成り立つ、世の中 綺麗事だけでは生きていけないのは知っているだろう?」

「10歳で、それを言いますか?」

「世の中は狭い、だが世界は広い」

「ふふっ、面白いですね」

医学に潜り込んでいた彼等の会話が終わったのを見計らって王妃が感謝を述べる
侍女も感謝を多く含んだ目でアビスに軽く礼をする
王女も裸体を眺められた事を恥つつも感謝を述べていた

侍女が駆け足で部屋を出て国王を呼びに行く
直ぐに帰ってきたかと思えば、国王は娘の姿に一瞬見とれて即座に抱き着いた
涙を流しながら娘に謝罪する国王に感化されたのか、王妃も頬に水滴を垂らす
侍女さえも、泣かまいと堪えているが眼には大量の涙を抱えていた

「アビス、お前 どこで その白斑とやらを知ったんだ?」

「偶然だ」

「流石に苦しくないか?」

「そう言われてもな」

その後、国王と父親は話し合うと言い何処かへ
マリアも早速 資料に病状を纏めると言い医院に帰って行った
アビスも転移で屋敷に帰り書庫で書物を読み始める

たった10歳にして、不治の病の治療法を開発し無償で伝えたと言うアビス
彼は後にもマリアの相談で数々の難病を治療していく
そして『聖者』と崇められる程に医学的な地位を築く
だが、それは別のお話だ
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