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第4章 1年の締めくくりと次のステップ ~青い1日と温かな雪~
60時間目 1年の締めくくりと次のステップ
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「敦志君、敦志君! 見て見て! 桜すっごいねっ! 綺麗……」
小春が、満開に咲き誇る桜の木々を見て、はしゃぐ。
あどけない表情が、とても筆舌しがたいくらい可愛くて、見ているこっちが自然と口角があがる。
こんなに可愛い子が俺の彼女なんだ。
いまさらだが、小春と会えてよかったなと思う。
「あぁ。とても綺麗だ」
俺は目を細めて笑う。
座っているベンチの感触がなぜか懐かしい。
「敦志君」
「どうした? って、うおっ……!」
小春の身体の温もりが俺にも伝わる。
抱きついてきているのだ。
「これからも、ずっと、桜を見ようね……」
顔を赤らめて、恥ずかしそうに言う彼女に、俺は片手で抱きしめて、空いている手で頭を撫でる。
くすぐったそうに笑いながら、俺達はお互いの存在を抱きしめあう。
そして、キスをしたい衝動に駆られた。
「敦志君……」
抱きしめあうので俺の理性を保つのは精一杯なのにキスまでしてしまったら、俺の理性は壊れてしまうんじゃないか。
だが、小春は、目をつむって、顎の角度を少し上に傾けている。
完全にキス待ちの顔だ。
俺は、勇気をだしてそのみずみずしく柔らかそうな唇に自身の唇を近づけていく。
そして、もうすぐ触れるその時、俺は自室のシミひとつない天井を見ていた。
「あー、くっそ、いいところだったのに……」
終業式の朝開口一番に口にした言葉はそれだった。
_______
「……って、いう夢を見たんだよ」
「へぇ、幸せな夢だね。その先は自分で切り開けって事なんじゃない?」
「いいなーいいなー! キスってどんな味なんだろう? イチゴの味? レモンの味?」
「お前、どんだけメルヘンなの? キスに味なんてしないだろ……」
「その夢、正夢だといいね」
「だなぁ」
朝からキスについて語る男子高校生はたぶん俺達以外居ない。
つーか、恋愛漫画で『キスはイチゴ味』とか言ってるのは漫画だけだからな。
南も『えー、あつにいまだキスしてないん? チキンやなぁ。唇を舌ごとグリッー! って、やってそのまま押し倒せばいいやん』とか言ってたしな。
南はもう論外だ。
アイツの脳はもう性欲で支配されている。
「今日でこの学年も終わりかぁ。敦志、補習にならなくてよかったね。春休みは大人の階段を登ろう!」
「だなぁ、でもよ、裕太、お前それ南と同じ事言ってねぇ? 賢いけどお前も支配されてんの?」
「敦志は、自信を持った方がいいよ。僕と違って護らなければならない存在があるからね」
なんだよそれ。
まるでもう護るものが居ないみたいな言い方しやがって。
裕太がいなきゃ今、俺はこんな性格になっていない。
小春とも付き合えていない。
俺は少し裕太の言い方に腹が立った。
「裕太、俺は自信はある。そして、心に余裕もある。だから、なにかあったら相談してくれよな。宮浦の時みたいにひとりで抱え込まないでくれよ」
裕太は、フッと不敵に笑って、
「ありがとう」
その一言だけを返した。
_______
「あー、やっと終わった。帰ろう帰ろう」
「校長の話なんでこんなに長いの? 俺立ったまま寝てたわ。そしてなんだよ課題! 多すぎだろ。絶対終わらさせる気ねぇって!」
俺と遼太郎が疲労困憊している中で、裕太は、鼻歌を歌いながら、先に進んでいた。
「山内ー! 速いよぉー!」
「いやぁ、初めて会った時の事思い出してさぁ。なんか嬉しいんだよね」
「おい、卒業じゃねぇぞ」
「同じクラスなれるか分からないからね。とりあえず思い出を作っとこ!」
たとえクラスが離れても友情は変わらないとは思うが、裕太の性格上思い出を大切にしたいのだろう。
「はい、チーズ」
スマホで自撮りをして改めて自分の顔を見ると、あれっ? 俺少しかっこよくねと思ってしまった。
「この1年間ありがとな。おかげで楽しい高校生活のスタートをきれたよ」
「俺もー! まだまだ青春はこれからっ! 楽しもーね!」
「青春はこれからか……。そうだね。僕は楽しむよ」
和気藹々と下校する。
いつも通りで、何気無い日常。
これが俺にとっての青春で、リア充になってるなと感じる事だ。
親友の裕太は彼女こそ居ないものの、モテまくりのリア充。
親友の遼太郎はいつも明るく、ムードメーカー。
そして、俺は非リアではなく、小春という彼女を持ちながら、リア充生活を送っている。
俺はこの時間が好きだ。
春が近付いてきた。
俺達に吹く風は暖かくて、どこか心地よかった。
小春が、満開に咲き誇る桜の木々を見て、はしゃぐ。
あどけない表情が、とても筆舌しがたいくらい可愛くて、見ているこっちが自然と口角があがる。
こんなに可愛い子が俺の彼女なんだ。
いまさらだが、小春と会えてよかったなと思う。
「あぁ。とても綺麗だ」
俺は目を細めて笑う。
座っているベンチの感触がなぜか懐かしい。
「敦志君」
「どうした? って、うおっ……!」
小春の身体の温もりが俺にも伝わる。
抱きついてきているのだ。
「これからも、ずっと、桜を見ようね……」
顔を赤らめて、恥ずかしそうに言う彼女に、俺は片手で抱きしめて、空いている手で頭を撫でる。
くすぐったそうに笑いながら、俺達はお互いの存在を抱きしめあう。
そして、キスをしたい衝動に駆られた。
「敦志君……」
抱きしめあうので俺の理性を保つのは精一杯なのにキスまでしてしまったら、俺の理性は壊れてしまうんじゃないか。
だが、小春は、目をつむって、顎の角度を少し上に傾けている。
完全にキス待ちの顔だ。
俺は、勇気をだしてそのみずみずしく柔らかそうな唇に自身の唇を近づけていく。
そして、もうすぐ触れるその時、俺は自室のシミひとつない天井を見ていた。
「あー、くっそ、いいところだったのに……」
終業式の朝開口一番に口にした言葉はそれだった。
_______
「……って、いう夢を見たんだよ」
「へぇ、幸せな夢だね。その先は自分で切り開けって事なんじゃない?」
「いいなーいいなー! キスってどんな味なんだろう? イチゴの味? レモンの味?」
「お前、どんだけメルヘンなの? キスに味なんてしないだろ……」
「その夢、正夢だといいね」
「だなぁ」
朝からキスについて語る男子高校生はたぶん俺達以外居ない。
つーか、恋愛漫画で『キスはイチゴ味』とか言ってるのは漫画だけだからな。
南も『えー、あつにいまだキスしてないん? チキンやなぁ。唇を舌ごとグリッー! って、やってそのまま押し倒せばいいやん』とか言ってたしな。
南はもう論外だ。
アイツの脳はもう性欲で支配されている。
「今日でこの学年も終わりかぁ。敦志、補習にならなくてよかったね。春休みは大人の階段を登ろう!」
「だなぁ、でもよ、裕太、お前それ南と同じ事言ってねぇ? 賢いけどお前も支配されてんの?」
「敦志は、自信を持った方がいいよ。僕と違って護らなければならない存在があるからね」
なんだよそれ。
まるでもう護るものが居ないみたいな言い方しやがって。
裕太がいなきゃ今、俺はこんな性格になっていない。
小春とも付き合えていない。
俺は少し裕太の言い方に腹が立った。
「裕太、俺は自信はある。そして、心に余裕もある。だから、なにかあったら相談してくれよな。宮浦の時みたいにひとりで抱え込まないでくれよ」
裕太は、フッと不敵に笑って、
「ありがとう」
その一言だけを返した。
_______
「あー、やっと終わった。帰ろう帰ろう」
「校長の話なんでこんなに長いの? 俺立ったまま寝てたわ。そしてなんだよ課題! 多すぎだろ。絶対終わらさせる気ねぇって!」
俺と遼太郎が疲労困憊している中で、裕太は、鼻歌を歌いながら、先に進んでいた。
「山内ー! 速いよぉー!」
「いやぁ、初めて会った時の事思い出してさぁ。なんか嬉しいんだよね」
「おい、卒業じゃねぇぞ」
「同じクラスなれるか分からないからね。とりあえず思い出を作っとこ!」
たとえクラスが離れても友情は変わらないとは思うが、裕太の性格上思い出を大切にしたいのだろう。
「はい、チーズ」
スマホで自撮りをして改めて自分の顔を見ると、あれっ? 俺少しかっこよくねと思ってしまった。
「この1年間ありがとな。おかげで楽しい高校生活のスタートをきれたよ」
「俺もー! まだまだ青春はこれからっ! 楽しもーね!」
「青春はこれからか……。そうだね。僕は楽しむよ」
和気藹々と下校する。
いつも通りで、何気無い日常。
これが俺にとっての青春で、リア充になってるなと感じる事だ。
親友の裕太は彼女こそ居ないものの、モテまくりのリア充。
親友の遼太郎はいつも明るく、ムードメーカー。
そして、俺は非リアではなく、小春という彼女を持ちながら、リア充生活を送っている。
俺はこの時間が好きだ。
春が近付いてきた。
俺達に吹く風は暖かくて、どこか心地よかった。
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