異世界召喚されたら好きな人を親友に寝盗られた~七つの大罪(グリモワール)の一人だった私は、記憶を取り戻しながら好きな人も取り戻す!~

卯月えり

文字の大きさ
52 / 283
第2章【交わる二人の歯車】

14罪 在りし日の過去を垣間見よ・1②

しおりを挟む
 そんな風に思いながら、私は大きく声を上げて笑った。あまり突っ込んで問われても答えに困っちゃうから、これ以上は詮索しないでほしいという気持ちを込めて。きっと真兄ならその真意に気付いてくれるはずだ……!

「で、今日はどうするの?」

 廊下で立ち話をしているのも、なんだか不思議な感じ。ここに集まってこれからどうするというのか。それを知りたくて私は疑問を声にした。

「その事なんだけど……」
「お待たせ致しました」

 ヴェル君が私の問いに答えてくれようとした瞬間、廊下の先――曲がり角の先から現れた白卯によって言葉は遮られた。丁寧に会釈をし、ゆっくりと顔を上げ私たちの方を見つめると、白卯は一歩を踏み出した。

「ご当主のゐ榛いはる様、ゑツ姫えつき様がお待ちでございます」

 そう言うと、白卯は右足を下げて斜めに立ち、自分の後ろに伸びた廊下へと視線を馳せた。
 私は卯ノ国の当主である二人が待っているという白卯の言葉に、周りに聞こえるんじゃないかってくらい大きな音を立てて唾を飲みこんだ。おそらく、それは私だけじゃないと思う。みんなの顔を横目でちらりと見ると、神妙な面持ちだった。
 この国に封印されている石碑に行くためには、二人に会いに行くことは避けては通れない道だろう。白卯はオッケーを出してくれているとしても、国のトップは白卯じゃない。その人たちにダメだって言われたら意味がない。

「行こうか、皆」

 ヴェル君がそう言って、白卯の方に向かって一歩を踏み出した。その様子を見て、私は小さく頷くと彼の後を追うように歩みを進めた。それは私だけじゃなくて、静や真兄だって同じだった。

* * *

 連れてこられた場所はとっても広い部屋で、上座かみざと言われる側には簾がかけられていた。姿は見えないけど、その先にはたぶん白卯が言っていたゐ榛様と、ゑツ姫様が居るんだと思う。
 私たちは、その簾の真正面――一メートルほど離れた場所に正座して座っていた。
 ……足が、しびれそうだなぁ……なんてことを考えていたのは、秘密である。

「よくぞ来てくれました」
「あなた方が白卯の申しておった封印されし石碑に向かいたいという者だな」

 柔らかい声と、ピリッと緊張感を持たせるような声のお二人だった。私たちは静に簾の方を見つめながら言葉を待った。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

処理中です...