8 / 11
第一章
8 2度目の修羅場を乗り越えろ!?
しおりを挟む
1度目は春美と桜が対峙した時。
2度目は俺が危機を脱するため行った告白を2人に聞かれた時。
そう、正しく今、再び修羅場に陥ってしまったのだ。
「あっ…春美に桜…た、助けに来てくれたのか!!」
「助けに来たけど…お兄ちゃん、さっきの発言はなに?」
場の雰囲気を変えようと、無理やり話をねじ曲げようとしたが、無理だったようだ。
春美も桜も冷たい目でこちらを見つめている。
視線から逃れようと、恐る恐るイビラの方を見ると、そちらはそちらで顔を真っ赤に染めており、今にも湯気を吹き出しそうな状態であった。
エルゼは…必死に笑いを堪えているようで、口を手で押さえながら小刻みに震えている。
(…やらかしたな、俺。)
命あっての物種とは言うが、それが花咲くかどうかは神のみぞ知ると言ったところか。
そもそもこのタイミングで2人が来るなら、俺のやらかしは必要なかったのでは?
とにかく再び修羅場を乗り越えなくてはならないことだけは分かる。
「あー、春美、桜…さっきの発言はだな…その…流れ?的な?…ほら、分かるだろ?」
「おいおい、お兄ちゃん君?そういう雑な発言の撤回は良くないよねぇ。キミはあの先代魔王の娘、イビラ様に告白したんだよぉ?この意味、分かるよねぇ?」
ここぞとばかりに真面目な表情でエルゼがつっこんでくる。
絶対にフザケてると分かるのに、周りが気づいていない分、ツッコむこともできない。
「…ぶ、ぶ。」
「ぶ?」
イビラが何かを呟き、思わず聞き返してしまう。
次の瞬間、火山が噴火するかの如く、イビラが叫びだした。
「無礼者っ!!死霊共、こやつらを殺せ!!殺せぇ!!」
イビラの指示で地面から鎧をまとった骸骨が大量に出てくる。
そのうちの一体がこちらに向かって剣を振り下ろしたが、春美が剣で薙ぎ払い、それらを吹き飛ばす。
「春美強っ!?」
「伊達に勇者やってなかったからねっ!お兄ちゃんは桜さんと早く逃げて!話は後で聞くからね!」
春美の指差す方を見ると、桜が俺を出口へと誘導していた。
足は動く、駆け足でその方へと向かう。
「春美は…1人で大丈夫なのか?」
「ええ、彼女は先代魔王を倒した勇者ですから。この程度、大したことはないはずです。」
見ると、春美はバッタバッタと敵を一方的に倒し続けている。
(この調子なら大丈夫そうだな、多分。)
むしろ自分が行ったところでお荷物になると分かっている。
けれど、兄として妹が戦いに巻き込まれているのはとても心配だ。
もっとも、この戦いの原因は俺だったりするのだが。
「おいおい、そういう雑な展開は良くないって言ったよねぇ?」
ハッとなって出口の方を見ると、エルゼが扉の前で立ちふさがっていた。
エルゼはフードを外しており、メラメラと炎のように燃え盛った髪があらわになっている。
表情は気怠げながらも、どこか楽しそうに見える。
「…炎々帝、そこをどいてください。あなた1人では私には勝てません。」
桜が強めの口調でエルゼに立ちはだかる。
「人数が多いほうが、必ずしも有利とは限らないよねぇ?例えばそこのお荷物とか、さぁ?」
…俺のことだ。
きっと桜は俺を守りながら戦うことになるのだろう。
そうなれば全力で戦うことはできない、きっとエルゼはそれを込みで計算しているはずだ。
「桜…俺のことはいい、自分と春美のことを…。」
「春雄さんは黙ってください!!」
急な桜の大声に、思わず驚いてしまう。
こんな大声で怒られたのは、出会ってから初めての経験だ。
「…私はあなたの婚約者なんです、簡単に自分のことはいいとか言わないでください。それに、あなたにもできることはありますから。」
「す、すまん…って、今なんて言った?」
桜が微笑みながら、こちらに手を差し伸べてきた。
俺はつい条件反射で、その手を取る。
「初めてはちょっと違和感あるかもしれないですけれど、許してくださいね。」
「へ?って…うわああああ!?」
突如、俺の身体が光り輝き始める。
あまりの眩しさに眼を閉じていると、身体がまるでバラバラになるかのような感覚を覚える。
再び眼を開けた時、俺の目の前にはエルゼがいた。
何が起こったのかと辺りを見回すと、ピカピカに磨かれた壁に大きな杖を持った桜が反射して見える。
だが、俺は映っていない。
「さ、桜…?俺はどこにいるんだ?」
桜に語りかけると、大きな杖がカタカタと揺れる。
「いますよ、私の手元に。」
「…は?」
(ま…まさか、この杖…俺!?)
気が遠くなるほど、その状況を飲み込むには、あまりに難易度が高かった。
2度目は俺が危機を脱するため行った告白を2人に聞かれた時。
そう、正しく今、再び修羅場に陥ってしまったのだ。
「あっ…春美に桜…た、助けに来てくれたのか!!」
「助けに来たけど…お兄ちゃん、さっきの発言はなに?」
場の雰囲気を変えようと、無理やり話をねじ曲げようとしたが、無理だったようだ。
春美も桜も冷たい目でこちらを見つめている。
視線から逃れようと、恐る恐るイビラの方を見ると、そちらはそちらで顔を真っ赤に染めており、今にも湯気を吹き出しそうな状態であった。
エルゼは…必死に笑いを堪えているようで、口を手で押さえながら小刻みに震えている。
(…やらかしたな、俺。)
命あっての物種とは言うが、それが花咲くかどうかは神のみぞ知ると言ったところか。
そもそもこのタイミングで2人が来るなら、俺のやらかしは必要なかったのでは?
とにかく再び修羅場を乗り越えなくてはならないことだけは分かる。
「あー、春美、桜…さっきの発言はだな…その…流れ?的な?…ほら、分かるだろ?」
「おいおい、お兄ちゃん君?そういう雑な発言の撤回は良くないよねぇ。キミはあの先代魔王の娘、イビラ様に告白したんだよぉ?この意味、分かるよねぇ?」
ここぞとばかりに真面目な表情でエルゼがつっこんでくる。
絶対にフザケてると分かるのに、周りが気づいていない分、ツッコむこともできない。
「…ぶ、ぶ。」
「ぶ?」
イビラが何かを呟き、思わず聞き返してしまう。
次の瞬間、火山が噴火するかの如く、イビラが叫びだした。
「無礼者っ!!死霊共、こやつらを殺せ!!殺せぇ!!」
イビラの指示で地面から鎧をまとった骸骨が大量に出てくる。
そのうちの一体がこちらに向かって剣を振り下ろしたが、春美が剣で薙ぎ払い、それらを吹き飛ばす。
「春美強っ!?」
「伊達に勇者やってなかったからねっ!お兄ちゃんは桜さんと早く逃げて!話は後で聞くからね!」
春美の指差す方を見ると、桜が俺を出口へと誘導していた。
足は動く、駆け足でその方へと向かう。
「春美は…1人で大丈夫なのか?」
「ええ、彼女は先代魔王を倒した勇者ですから。この程度、大したことはないはずです。」
見ると、春美はバッタバッタと敵を一方的に倒し続けている。
(この調子なら大丈夫そうだな、多分。)
むしろ自分が行ったところでお荷物になると分かっている。
けれど、兄として妹が戦いに巻き込まれているのはとても心配だ。
もっとも、この戦いの原因は俺だったりするのだが。
「おいおい、そういう雑な展開は良くないって言ったよねぇ?」
ハッとなって出口の方を見ると、エルゼが扉の前で立ちふさがっていた。
エルゼはフードを外しており、メラメラと炎のように燃え盛った髪があらわになっている。
表情は気怠げながらも、どこか楽しそうに見える。
「…炎々帝、そこをどいてください。あなた1人では私には勝てません。」
桜が強めの口調でエルゼに立ちはだかる。
「人数が多いほうが、必ずしも有利とは限らないよねぇ?例えばそこのお荷物とか、さぁ?」
…俺のことだ。
きっと桜は俺を守りながら戦うことになるのだろう。
そうなれば全力で戦うことはできない、きっとエルゼはそれを込みで計算しているはずだ。
「桜…俺のことはいい、自分と春美のことを…。」
「春雄さんは黙ってください!!」
急な桜の大声に、思わず驚いてしまう。
こんな大声で怒られたのは、出会ってから初めての経験だ。
「…私はあなたの婚約者なんです、簡単に自分のことはいいとか言わないでください。それに、あなたにもできることはありますから。」
「す、すまん…って、今なんて言った?」
桜が微笑みながら、こちらに手を差し伸べてきた。
俺はつい条件反射で、その手を取る。
「初めてはちょっと違和感あるかもしれないですけれど、許してくださいね。」
「へ?って…うわああああ!?」
突如、俺の身体が光り輝き始める。
あまりの眩しさに眼を閉じていると、身体がまるでバラバラになるかのような感覚を覚える。
再び眼を開けた時、俺の目の前にはエルゼがいた。
何が起こったのかと辺りを見回すと、ピカピカに磨かれた壁に大きな杖を持った桜が反射して見える。
だが、俺は映っていない。
「さ、桜…?俺はどこにいるんだ?」
桜に語りかけると、大きな杖がカタカタと揺れる。
「いますよ、私の手元に。」
「…は?」
(ま…まさか、この杖…俺!?)
気が遠くなるほど、その状況を飲み込むには、あまりに難易度が高かった。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる