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侵略者
ユーヨーカ連続怪死事件
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「悪いな、わざわざここまで来てもらって。」
それから麻川は俺の方を見た。
「それはそうと、裏切りモノが、今更なんのようだ。」
「俺がここにいるってことは、言うまでも無いと思うが。」
「麻川さんッ。」
隣で羽々斬が止めに入る。
「ッ。どっちにしろ人手が足りねえんだ。足を引っ張ることだけはすんじゃねえぞ。」
「現場証言だが…… 」
「良い、こっちの足で聞いて回るから、住所と人物名だけ教えて。」
「なんだってそんなに機嫌が悪いんだ? 生理か? 」
「麻川さんッ。」
羽々斬が鬼の形相になったところで、麻川はファイルをヒラヒラさせると、黒澄に投げつけた。
「悪かった。ほら、状況証拠をまとめたもんだ。」
彼女はそれを受け取ると、向き返り、部屋を出て行く。
「千代さん。なんかあったの? 」
羽々斬が、俺に聞いてきた。
俺は彼女にことの経緯を一から十まで話して、問題点を聞いた。
「千代さんはね。お見合いを断って慎二を、その…助けに来たんだよ。」
「忙しくて、中々面会にも来れなくて、本当に久しぶりに慎二に会ったから、色々お話がしたかったんじゃ無いかな。」
「裏で人が殺されていてもか? 」
麻川が頭を掻く。
「あーもーうるせえな。何でもかんでも一人で背負い込みやがって。慎二郎の子供か知んねえけどよ。」
彼は俺に紙切れを突きつけてきた。
「行ってこいよクソ野郎。」
「仕事は? 」
「大丈夫、何かあったら私が千代さんに連絡するから。」
「そうか、悪いな。」
いや、この言葉は違う気がする。
「二人とも、ありがとう。」
俺は二人に礼を言ってから、彼女を追いかけた。
俺はさっきと同じ通りに、上向の矢印ボタンを押したが、いつまで経っても扉が開かない。
小部屋に入ることを諦めた俺は、階段をつたい、一階まで降りた。
出入り口から飛び出すと、通行人とぶつかりそうになり、彼女を探す。
そして彼女に追いついた。
「おい、黒澄ぃ。」
「なに? 」
俺は無言でその紙切れを突き立てた。
グランディル語でジェラート無料券と書かれている。
「ジェラートってメリゴ大陸が発色じゃなくて、グランディルの食べ物なんだけどね。」
「っとその前に。その服装なんとかしてもらえるかしら。」
っと俺もすっかり忘れていた、自分がどんな服装をしていたかも。
ボロボロの囚人服。
俺はこんなみすぼらしい格好で極東の飲食店に入り、メリゴ大陸までやってきていたのか!!
が、
「良いよこのままで。」
すると彼女は真顔で。
「いや、着替えて、私が恥ずかしいから。」
すると遠くからガキが俺たちを指差して笑っていた。
「見て見てあのお姉ちゃんが連れている男の人。」
「コラ、指差しちゃいけません。」
「この先に衣料品店があるからそこに寄るわよ。」
「はーい。」
* * *
西部劇のカーボーイ? こっちはワーメリゴンの衣装か。貴族の服もあるな。
「小洒落てるなこの店。」
「面白いでしょ。」
「服、私が選んで良い? 」
正直、ファッションにはあまり詳しくなかった。
昔、ス0フキンになったことはあったが。
「コレ、着てみて。」
「はいよ。」
俺は試着室に入った。
「ちょっとちょっとお客様!! 」
「その何というか……」
「安心して、試着した奴は全部私が買うから。」
「はぁ。」
「悪かったわ、先に風呂に入れるべきだったわね。」
汚くて悪かったな。
まぁそりゃそうだろう。
風呂なんて週に三回程度しか入れなかったんだから。
身体ぐらい洗っておくべきだったと後悔している。
囚人服の上から衣装を着た俺は、試着室を出た。
「うーんなんかしっくり来ないわね。」
「次、コレ着てみてよ。」
「そうか、分かった。」
俺は言われるがままに次の服を受け取ると、試着室に入った。
そして着替えて出る。
「うーんちがーう。」
「今度これ。」
「はい。」
「今度これ。」
「はい。」
「今度これ。」
「はい。」
「今度はこれ。」
「いやもうコレで良いです。」
「何? 人がせっかく真剣に考えてあげているのに。」
「動きやすくて目立たない奴にしてくれ。」
気がつくと、衣類が買い物カゴから溢れていた。
全部買うつもりだ。
黒澄家の人間なら金は持っているだろうし、そこは問題ないのだが……
いや、何俺は全部買ってもらおうとしているのだ。
「あのお客様、お会計は……」
レジに表示された金額は、とても俺の持っている金で買えるものでは無かった。
俺が唖然としていると、彼女が、ポケットからカードを取り出す。
「あ、ありがとうございます。」
「なんだ? さっきのは。」
「なんでも買える魔法のカードよ。」
というのは冗談だろう。
どうせどっかの口座と連結していて、リアルタイムで引き落とされるか、月末に一括で引かれることになっているんだろう。
「おい、家の金をだな。」
「私のお金だよ。今の私の契約者の月給、聞く? 」
契約者に給料だと!!
「おい、聞いてねえぞそんな話。」
「そりゃあそうでしょうね。アンタが逮捕されるまでは歩合制だったし。」
「クソ…そんな…そんな馬鹿なことがあってたまるか。」
黒のパーカーに白のワイドパンツ。
このワイドパンツって言うのが曲者でブカブカで歩きにくい。
袖を踏んづけて転びそうだ。
「なんかヤンキーみてえじゃん。」
「良いじゃん。カッコいいよ。」
俺たちはジェラート屋に向かった。
それから麻川は俺の方を見た。
「それはそうと、裏切りモノが、今更なんのようだ。」
「俺がここにいるってことは、言うまでも無いと思うが。」
「麻川さんッ。」
隣で羽々斬が止めに入る。
「ッ。どっちにしろ人手が足りねえんだ。足を引っ張ることだけはすんじゃねえぞ。」
「現場証言だが…… 」
「良い、こっちの足で聞いて回るから、住所と人物名だけ教えて。」
「なんだってそんなに機嫌が悪いんだ? 生理か? 」
「麻川さんッ。」
羽々斬が鬼の形相になったところで、麻川はファイルをヒラヒラさせると、黒澄に投げつけた。
「悪かった。ほら、状況証拠をまとめたもんだ。」
彼女はそれを受け取ると、向き返り、部屋を出て行く。
「千代さん。なんかあったの? 」
羽々斬が、俺に聞いてきた。
俺は彼女にことの経緯を一から十まで話して、問題点を聞いた。
「千代さんはね。お見合いを断って慎二を、その…助けに来たんだよ。」
「忙しくて、中々面会にも来れなくて、本当に久しぶりに慎二に会ったから、色々お話がしたかったんじゃ無いかな。」
「裏で人が殺されていてもか? 」
麻川が頭を掻く。
「あーもーうるせえな。何でもかんでも一人で背負い込みやがって。慎二郎の子供か知んねえけどよ。」
彼は俺に紙切れを突きつけてきた。
「行ってこいよクソ野郎。」
「仕事は? 」
「大丈夫、何かあったら私が千代さんに連絡するから。」
「そうか、悪いな。」
いや、この言葉は違う気がする。
「二人とも、ありがとう。」
俺は二人に礼を言ってから、彼女を追いかけた。
俺はさっきと同じ通りに、上向の矢印ボタンを押したが、いつまで経っても扉が開かない。
小部屋に入ることを諦めた俺は、階段をつたい、一階まで降りた。
出入り口から飛び出すと、通行人とぶつかりそうになり、彼女を探す。
そして彼女に追いついた。
「おい、黒澄ぃ。」
「なに? 」
俺は無言でその紙切れを突き立てた。
グランディル語でジェラート無料券と書かれている。
「ジェラートってメリゴ大陸が発色じゃなくて、グランディルの食べ物なんだけどね。」
「っとその前に。その服装なんとかしてもらえるかしら。」
っと俺もすっかり忘れていた、自分がどんな服装をしていたかも。
ボロボロの囚人服。
俺はこんなみすぼらしい格好で極東の飲食店に入り、メリゴ大陸までやってきていたのか!!
が、
「良いよこのままで。」
すると彼女は真顔で。
「いや、着替えて、私が恥ずかしいから。」
すると遠くからガキが俺たちを指差して笑っていた。
「見て見てあのお姉ちゃんが連れている男の人。」
「コラ、指差しちゃいけません。」
「この先に衣料品店があるからそこに寄るわよ。」
「はーい。」
* * *
西部劇のカーボーイ? こっちはワーメリゴンの衣装か。貴族の服もあるな。
「小洒落てるなこの店。」
「面白いでしょ。」
「服、私が選んで良い? 」
正直、ファッションにはあまり詳しくなかった。
昔、ス0フキンになったことはあったが。
「コレ、着てみて。」
「はいよ。」
俺は試着室に入った。
「ちょっとちょっとお客様!! 」
「その何というか……」
「安心して、試着した奴は全部私が買うから。」
「はぁ。」
「悪かったわ、先に風呂に入れるべきだったわね。」
汚くて悪かったな。
まぁそりゃそうだろう。
風呂なんて週に三回程度しか入れなかったんだから。
身体ぐらい洗っておくべきだったと後悔している。
囚人服の上から衣装を着た俺は、試着室を出た。
「うーんなんかしっくり来ないわね。」
「次、コレ着てみてよ。」
「そうか、分かった。」
俺は言われるがままに次の服を受け取ると、試着室に入った。
そして着替えて出る。
「うーんちがーう。」
「今度これ。」
「はい。」
「今度これ。」
「はい。」
「今度これ。」
「はい。」
「今度はこれ。」
「いやもうコレで良いです。」
「何? 人がせっかく真剣に考えてあげているのに。」
「動きやすくて目立たない奴にしてくれ。」
気がつくと、衣類が買い物カゴから溢れていた。
全部買うつもりだ。
黒澄家の人間なら金は持っているだろうし、そこは問題ないのだが……
いや、何俺は全部買ってもらおうとしているのだ。
「あのお客様、お会計は……」
レジに表示された金額は、とても俺の持っている金で買えるものでは無かった。
俺が唖然としていると、彼女が、ポケットからカードを取り出す。
「あ、ありがとうございます。」
「なんだ? さっきのは。」
「なんでも買える魔法のカードよ。」
というのは冗談だろう。
どうせどっかの口座と連結していて、リアルタイムで引き落とされるか、月末に一括で引かれることになっているんだろう。
「おい、家の金をだな。」
「私のお金だよ。今の私の契約者の月給、聞く? 」
契約者に給料だと!!
「おい、聞いてねえぞそんな話。」
「そりゃあそうでしょうね。アンタが逮捕されるまでは歩合制だったし。」
「クソ…そんな…そんな馬鹿なことがあってたまるか。」
黒のパーカーに白のワイドパンツ。
このワイドパンツって言うのが曲者でブカブカで歩きにくい。
袖を踏んづけて転びそうだ。
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「良いじゃん。カッコいいよ。」
俺たちはジェラート屋に向かった。
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