神の壜(カミのフラスコ)

ぼっち・ちぇりー

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報復

さぁ起きたまえ

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「起きたまえ慎二郎くん。」
 俺はなにかの培養液に入れられていて、外で俺を呼んでいるのは……
 そう、坂上だ。
 憎き極東の最高司令官。
 俺が彼に呼ばれているということは、極東に危険が迫っているということだろう。
 ならば立たなければならない。
 それが俺の使命。
 俺は英雄だから。
 みんなの期待には応えなければならない。
 俺は培養液に満たされた巨大な試験管を叩き割った。
 溢れ出す緑の液体と共に、俺の肌が外部の空気に触れる。
「服をくれ。今すぐ出る。」
「こっちだ。装備も好きなのを持っていってくれて構わない。」
 俺は武器の置かれている部屋に入った。
 特殊スーツを着込み、その上から軍服を着込む。
 そして
 気がついた。
「なぁ坂上。」
「おお? どうかしたかな? 」
「コレはか? 」
 彼は白々しく答える。
「僕より君の方が詳しいんじゃ無いかな? 」
 刃と契約していた叢雲の欠片に触れた時、俺はソレから弾かれた。
 たとえこの剣がレプリカでは無いとしても、俺にこの剣は握れない。
「さぁ剣を取りたまえ。英雄。再び極東を救うのだ。」
 俺は恐る恐る剣の柄を握った。
 俺に無数の情報が流れてくる。
 手に馴染むようなフィット感。
 間違いない。
 コレは俺の愛用していた草薙剣。
 ということは。
「慎二か? 息子が神を。」
「ご想像にお任せするよ。」
「そうか……行ってくる。」
 俺は歩き出すと、ゆっくり走り出した。
 そして剣に内蔵されている赤外線機能を使い、施設の全容を把握する。
 そして、出口までの最短の距離、研究員の数を算出すると、地面を蹴り、疾走した。
 地上に出、施設の扉をぶち破る。
 そして、強大な二つのエネルギーを肌身で感じる。
 それから草薙剣を使い、エネルギーの強い場所へと飛翔する。
<流石慎二郎くんだね。一年間眠っていても戦闘センスは健在と言うわけか。これじゃサポートする必要もないね。>
「お前、俺に何をした? 」
 おそらく脳内に何かが仕込まれている。
 寝ている間に体を色々いじくり回されたか。
 エネルギー体は徐々に大きくなっていく。
 大輪田泊あたりで、その者たちを目視することに成功した。
「ターゲットを確認。接触を試みる。」
<はいはい宜しく。戦わずにして勝つのが一番だよ。なんだってその方が僕の評価も上がるし。>
 一人はジャージをマントのように肩にかけた女と、もう一人は派手な道楽師のような派手な衣装を身に纏った青年。
 俺は彼らから違和感を感じた。
 ので彼らに訊いてみる。
「お前らここの人間か? 」
 先に答えたのは青年の方だった。
「へー、やっぱ気づいちまうのか、つええやつはよ。」
「俺たちの正体を見抜いたのは、あんたが初めてだよオッサン。」
「俺は金川練華。ここじゃない平等社会ってとこから来たんだ。」
「自己紹介は団長の私からだと口すっぱく言ってるんだがなぁ。」
「何度も言うが、あんたの部下になったつもりは無いからな。俺の好きにやらせてもらうぜ。」
 「ズガンッ。」
 彼女の力だろうか?
 青年が地面にめり込んだ。
「私はリベリオン団長の九条念だ。」
 彼女はそう一言だけ答えた。
「俺はここ、極東の用心棒だよ。」
「お前らの目的はなんだ? 」
 彼女は若者特有の精力に満ちた声で答えた。
「蝠岡とかいう陰キャやろうに変わって、私たちリベリオンがこの世界を支配する。」
 俺はため息をついた。
「辞めておきなさい。コレは警告だ。」
「なぁおっさん。俺たちとアンタ。どっちが追い詰められているんだろうな? 」
「まるで私らのこと止めるセンコウみたいじゃねえか。」
 俺は一息つくと、鋭い目線で彼らを睨んだ。
「聞くにお前らは、その平等社会とやらから逃げてきたんだろう? 蝠岡の、いた世界から。」
「んだと。」
 金川を九条が止める。
「追い出された。だからここに来たんだろ? 」
 九条が嗜虐的な笑みを浮かべる。
「へー、オッサン。面白いこと言うねえ。」
 金川が指を鳴らし始めた。
楽しめそうだな。本当に来てよかったぜ。ワールド221によ。」
 やむおえない。
 俺は極長に許可を取った。
「ガキを懲らしめる。港が少しばかり壊れるかもしれないぞ。」
<はぁ。まぁ仕方ないね。向こうがヤル気なら。君がサンドバッグになって遊んでやったところで損害が少なくなるわけでもなくなるし。>
<良いよ派手にやっちゃって。許可しよう。>
 極長から許可をもらい。
 俺は……
 アレ? 俺も楽しんでいるのか?
 この状況を?
「遠慮はいらない。二人まとめてかかってきなさい。」
「「後悔すんなよオッサン。」」

 


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