神の壜(カミのフラスコ)

ぼっち・ちぇりー

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平等社会へ

一騎討ち

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 カーミラが転送されて、黒星が付く。
 結果は2対2
 次で世界の命運が決まるわけだ。
 スッスッスッハー
 呼吸を整えて気持ちを落ち着かせる。
 彼を倒すこと、ただそれだけを考える。
 それ以外は何もいらない。
 転送ボタンを押してコロシアムに出る。
 俺と本堂はほぼ同時にコロシアムへと出ていた。
 観客が本堂にエールを贈っている。
 だが、徐々にその歓声は俺たちから遠ざかっていった。
 辺りが暗くなり、世界は俺と本堂二人になる。
「やっぱり最後は……君かね。」
 そう言われていたような気がするが、それも遠い世界で彼が放った独り言だ。
 俺は腰から凛月を取り出して構える。
 銃鬼は使わない。
 己の肉体のみで彼へと挑む。
 父に言われたことを思い出す。
 全身の力は抜き、いつでも筋肉を動かせるようにする。
 呼吸を意識して、身体に酸素を行き渡らせる。
______地面を蹴った。
 俺の顔に飛んでくる本堂の右拳を回転しながら避ける。
 そしてチャクラムで右肩を切りつけようとする。
"硬くて刃が通らない。"
 奴の身体が丈夫なこともあるだろう。
 だが、それだけでは無い。
 俺が未知術を使っていないからだ。
 チャクラムが弾かれた後、すぐさま、小太刀で三連撃をお見舞いする。
 こちらは奴に傷をつけることが出来た。
「グアっ。」
 辺りに血飛沫が舞う。
 俺は朱色の液体一滴一滴を目で捉えていた。
 そのまま鎖を本堂の左腕にくくりつけ、思いっきり投げ飛ばす。
 本堂は後頭部から地面に叩きつけたれる。
 すぐさま飛び上がり、距離を積詰める。
 左脚で彼の頭を蹴飛ばした。
 白目を剥いている。
 が、彼が吹き飛ぶことは無かった。
 が、俺はそれをいいことに追撃を喰らわせる。
 チャクラムと小太刀で彼を滅多刺しにした。
「早く……起きろよ。」
「んがぁぁぁぁぁぁ。」
 彼の咆哮によって身体が吹き飛ぶ。
「ハァハァ。レプリカント風情がぁ!! 」
 充血した眼の猛獣が俺に飛びかかってくる。
 俺は小太刀から手を離すと、チャクラムで鎖を鞭のように使い、彼を吹き飛ばす。
 そして吹き飛んだ彼へと、追撃を開始した。
 身体が温まり始め、思考と神経速度が加速していく。
 最初のうちは俺の攻撃をなんとか防ぎ斬れていた彼も、徐々に着いていけなくなって来ていた。
 口を開けた間抜けな顔で静止している。
 やがて俺にはそう見えるようになった。
 神経が尖っていく。
 かすかに残留していた、怒りも、恨みも消え去り、脳は、目の前の獲物を捉えることだけに処理速度を注いでいた。
 呼吸が止まり始める。
 前進が紫色に染まり始めた。
 奴の顔が、ゆっくりだが、恐怖に傾きつつあるのが目に取れた。
「バケモノめっ。」
 奴は俺に背を向けて走り出した。
 ふくらはぎの筋肉を限界まで収縮させる。
 脚が攣るギリギリまで収縮させ、本堂へと距離を詰めた。
 俺がすぐ後ろに来たことを本能で察した彼は、ダメ元で術式を展開した。
「《エクステンド》」
絶対領域パーフェクト・レギオン
 俺の身体と凛月から電子が消える。
 身体から無駄なモノが消えて、感覚がクリアになる。
 奴との距離が縮まり始める。
「ヒッ。」
 なすすべが無くなった彼は、コロシアムの壁を走り始める。
 俺も勢いに任せて、彼の後を追った。
 そして、彼のスピードを超越した俺は、壁を足場にしながら、何度も本堂を斬り刻む。
 冷たい殺意で。
 冷たい刃で。
 最後は飛び上がり、大上段で彼を壁からはたき落とす。
 体勢を立て直した本堂は、反対側の壁へと逃げ出した。
 俺はそれに、一瞬にして追いつくと、並走しながら、斬りつけ、飛び上がっては回し蹴りを喰らわせる。
 意識が飛んで、顔から前に倒れ込んだ。
 そのまま勢いで、百メートルほど顔を擦り付け、静止する。
 地面に突き刺さった彼の足を右手で鷲掴みにすると、壁向けて放り投げた。
 そして、壁にめり込む彼の体に小太刀を飛ばし、鎖で再び掴み上げると、勢いよく振り回し、頭から地面に叩き付ける。
 何度も何度も。
 どこかで観客が叫んでいる。
 止まれという声も聞こえる。
 だが、誰一人として、下に降りてくるモノは居なかった。
 そういう仕様なのだろう。
 本堂が許可しないと、試合が終わらないように細工されているのだ。
 だが、それもお互い様。
 彼は俺を嬲り殺しにしようとしていた。
 ルールからおおよそ予想がついたが。
 身体に電子が戻ったことを確認した俺は、コイルの電流を操作して、小太刀を飛ばす準備をする。
 いつ以来だろうか?
 この大技を使うのは?
 チャクラムにエネルギーが溜まり始める。
 凛月が激しく光った。
---ロンギヌスrail・gun---
 視界が眩い光に包まれた。
 















のちに分かったことだが、俺が起こした光の柱は、大気圏を突き抜け、人工衛星を貫いたらしい。
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