神の壜(カミのフラスコ)

ぼっち・ちぇりー

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平等社会へ

間話

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「通信が切れた。何が起こった? テロか? 」
 私のその問いに、一人の部下が答える。
「いえ、その……画面に蝠岡蝙が…… 」
を確認しろ。収容所には? 」
 部下は首を傾げている。
「もう確認しています。万が一のことがあっては行けないので。」
 彼は監視カメラの方をみると、こちらに向けて上目遣いで優雅に手を振っていた。
「液晶がハッキングされたと言うことは…… 」
 私がそう言いかけた時に部下は、液晶のプログラム履歴を開いていた。
「プログラムがハッキングされた形跡はありません。」
「少なくとも、この三ヶ月は。」
 私が最後にプログラムを開いたのはいつかを部下に聞こうとした。
「三年前の液晶メンテの時、業者がプログラムの最適化を行ったようですが……」
大兄弟助は? 奴の状況を画面に映せ。」
 もう一人の部下がメインスクリーンに、ある牢獄の監視カメラを映し出した。
 手足には無数の電極、無数の拘束具。
 そして、頭は機械がスッポリ覆っていて、顔を見ることは出来ない。
 彼はいつもと同じよう人夢を見ていた。
 覚めることない永遠の悪夢を。
「大兄弟助、蝠岡蝙、同時に異常ありません。魔法を使った形跡も。」
「つまり一番現実的なのは…… 」
「はい、三年前のメンテナンスの時に、この映像は既に焼き終わっており、このタイミングで流れるようにプログラムされていたようです。」


       * * *


 俺は唖然として液晶を見上げていた。
 平等社会人も、黒服たちも、そして本堂も。
 ポットのロックが解除され、槍馬たちが中から出てくる。
 彼らは立ち上がり、手をパンパン叩くと、俺たちに加わった。
[こんにちは。221の皆さん。そして平等社会のみんな。]
[この映像が放映される頃には、もう僕は国際政府に捕まっており、皆んなと会うことは出来ないだろう。]
 彼は首を傾げた。
[急にメッセージを残すと言っても、難しいな。]
[さて何から話そうか。]
 彼は手をポンと叩いた。
[私が並行世界、小宇宙をつくった理由。まず、それから話すと良いな。]
 民衆たちがざわめき始める。
[おいおい、批判するのは、私が全部話終わってからにしてくれよ。]
[君たちがまだ生まれる前、人間はみんな不平等だったんだ。]
「僕知ってるぅ。」
 小さい子供が手をあげて叫んだ。
 周りで和やかな笑いが起こる。
[そう、人間は不平等で、無秩序だった。だから面白かったんだ。]
[だから僕はを作ろうと思った。]
[能力者と、無能力者が手を取り合えるユートピアをね。]
[君たち平等社会人は、他の世界に触れて、考えて欲しいんだ。今の社会は本当に正しい世界のあり方なんだって。]
[なーに、強要はしないさ。]
[でも少しでも興味があると言うのなら。]
「ギギィィ。」
 コロシアムの両扉が開き、中から混沌が覗く。
[僕のつくった世界に来てほしいかな。]
 一人の好奇心旺盛な子供が、親元から離れると、扉向けて走り出した。
「コラ、辞めなさい!! 」
 両親は顔を青ざめている。
 それを周りの民衆たちが凝視する。
 それを感じ取った彼らは、逃げるように扉へと駆け込んだ。
 それを見た民衆は一人、また一人と扉の中へと走り出した。
「止まれ~。」
 黒服が彼らを制するが、民衆はもう止まらない。
 彼らは、自らな世界へと飛び込んだ。
 こうなればもう、調停どころじゃなくなるだろう。
「きゃっ。」
 千代だ。
 平等社会人に突き飛ばされて、尻餅をついたのだろう。
「大丈夫か? 」
 すると彼女は頬を膨らませた。
「何か…言うことあるんじゃない? 」
 俺は少し考えた。
「悪い、遅くなった。あと。」
「ちゃんとエスケープ出来なくてごめんなさい。」
「言えたじゃない。」
 彼女は俺の手を取る。
 そして一気に引き上げた。
 勢いで彼女が抱きついてくる。
 暖かい。
「お前こそ、俺に言うことあるんじゃ無いか? 」
「…ムフフ。」
「…ありがと慎二。」
 顔が熱くなる。
 何も考えられなくなる。
 ドクドクと込み上げてくるこの気持ち。
 言葉にできない幸福感で、身体が震えた。
「ヒューヒュー。」
「熱いですなぁ。」
 ふと、周りで仲間が見ていたことを思い出し、俺たちは慌てて離れた。
     
       ・
       ・
       ・


 数ヶ月後。
 暴動は収まり、平等社会は元の世界に戻されることになった。
 しかし、俺たちとの取り決めで、ビザを発行できた物だけが、いわゆる観光という名目で、我々の世界の人間と交流する。
 というガス抜き行為が行われるようになる。
 というものの、文化の違いや、法律の違いなど、そこから生じる価値観の違いによる平等社会との摩擦など、問題はまだまだ山積みだ。
 俺も官職として働くことになった。
 どうやら人手不足らしい。
「桐生君。君という奴は…….」
「どうして資料の止め方一つを理解できないのかね? それに誤字脱字。これじゃ民衆の笑い者だよ。クドクドクドクド。」
 また上司の本堂の説教が始まった。
 俺に、この職務は向いていないらしい。
 ガタ。
 誰かが部屋のドアを開けたらしい。
 三十分による説教と、山積みになっている付箋と資料の山に顎を預けながら、伸びている俺の肩を誰かが叩いた。
「お前にこの仕事は向いていないみたいだな。」
 槍馬だ。
「ああ、どうやら白兵戦以外は、からっきしらしい。この先やっていけるか心配だ。」
 彼は笑った。
「おい槍馬、何がおかしいんだよ。」
「いやいやごめんごめん。お前がそうやって伸びているウチは……」


「世界は平和なんだなぁって。」

「……」
 ふとパソコンのモニターを見た。
 パソコンとは、平等社会人が発明した、液晶のついた演算機だ。
 俺は仕事中にも関わらず掲示板を開いていた。
「おい、またお前仕事をサボって。」
 あの事件のあと、掲示板では可笑しな陰謀論が蔓延していた。
『極東・セル・グランディルの要求を、平等社会人が、オイそれと飲んだのは、可笑しい。』やら『実は侵略戦争は起こっていて、それをカーミラたちがやっつけた。』やら『皇后の美奈と双薔が、平等社会人を籠絡した。」とかいう不名誉な物まで様々だ。


285 フリー名損 1174/6/1    10:54:38
どうやら、極東で機密文書が見つかったそうじゃ無いか。

286 フリー名損 1174/6/1    10:55:43
>>285
だからそれはデマだって。

287 フリー名損 1174/6/1    10:57:56
それにしては良くできた文章だったよな。
ちゃんとクソガキ天子と、美奈タソの朱印もあった。

288 フリー名損 1174/6/1    11:00:01
んなもん今の時代いくらでも捏造できんだろ。

289 フリー名損 1174/6/1    11:00:02
>>285
頭にちゃんとアルミ箔巻いとけよ甘芋。
トップバリューのは無しな。

290 フリー名損 1174/6/1    11:01:12
ちくわ大明神

291 フリー名損 1174/6/1     11:01:13
>>290
おい誰だ今の?

292 フリー名損 1174/6/1     11:01:14
>>290
無駄にレス消費させるのやめろやゴミ

293 フリー名損 1174/6/1     11:01:15
>>290
嵐として通報しておきました。

294 みんなの⭐︎ヒーロー鬼神⭐︎ 1174/6/1     11:05:13
みんなが気づかないのも無理ないな。
だって、平等社会人は俺がまとめて懲らしめちまったから。

295 フリー名損 1174/6/1     11:06:14
>>294
久しぶりに本物が来たな。

296 フリー名損 1174/6/1     11:06:15
>>294
市ね

297 フリー名損 1174/6/1     11:06:16
>>294
はいはい、ガキは掲示板なんてやってないでお勉強しまちょうね。

298 フリー名損 1174/6/1     11:06:17
>>294
やばコイツ、コテコテやん。

299 フリー名損 1174/6/1     11:06:18
>>294
kwsk

300 フリー名損 1174/6/1     11:06:19
おっしゃあ300ゲットォ。



「おい慎二、辞めとけよ。このPCは、極長が直接サーバーを管理しているだぞ。」
「サーバー?? なんじゃそりゃ。」
<桐生慎二窓際社員、今すぐ至急、迅速に局長室に来る様に。>
 ひとまず俺の冒険は終わり。
 次の出番が来るまで、一休みすることにするよ。

                つづく


 
 


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