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ローランド大戦
序章
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「そんな、平等社会の難民たちを、戦場に送り出すなんて。」
私はもちろんその案には反対だ。
議員の一人が、立ち上がり、私に意見を述べる。
「戦争の際、何者かの手引きによって、不法滞在者が増えました。このまま彼らを極東に匿っておくことなど、もちろん我が国の領土にはそんな場所なぞ、ございませんし、これ以上血税を彼らに注ぐことなどできない。」
もう一人の議員が立ち上がり、右拳を高々に上げる。
「先日の件を忘れたのでございますか、皇后。移民の過激派の天子様、暗殺未遂が。」
「その件は、坂田近衛隊長と、新潟副隊長が防ぎました。大事には至りませんでしたよ。」
極長は組んでいた両腕を机に付くと、重い腰をあげた。
「姫君は何か勘違いをなさっているようだが、我々は口減しに彼らを戦場に送り込もうとしているわけではない。」
「彼らに土地を与える、そのチャンスを与えてやっているのだ。もちろん極東も総力を上げてグランディルを叩く。人口問題を抱えているのは、何も極東だけじゃないからな。」
「グランディルと話し合いの元、自治区を作ることは? 」
極長は深いため息を付くと、それからゆっくりと話し始めた。
「美奈皇后。もうこの国は、君主制国家では無くなった。議会で決議されたことはたとえ君であろうと呑んでもらうぞ。」
私はなんと無力な人間だろうか。
神族なのに、魔法使いなのに、この事態を打破する方法を何一つ思いつかなかった。
コレではまた戦争が始まってしまう。
また姉と争うことになるのだ。
「少し休ませて。」
私はそういうと、侍女に頭痛を庇われながら、皇室へと戻った。
* * *
「ふぁあ。」
ここは極東、百五重塔の屋上。
下は難民たちのデモ部隊で一杯だ。
朝っぱらからあんなことされちゃあ商売どころじゃないし、なんせ昼寝が出来ない。
一人の極東人がデモ隊に石を投げ、「寄生虫。」やら「税金泥棒。」やらの罵声を浴びせる。
「始まったな。」
俺は空から飛んできた新聞をつかみ、読み上げた。
「『天子暗殺未遂、平等社会過激派による計画的犯行か。』か。」
世論は完全に悪い方へと向かっている。
九条が俺たちの世界に平等社会人をコッソリ送り込んでいることには薄々気がついていた。
俺が上に報告したときには後の祭り。
してやられた。
今やこの世界ではリソース不足に陥っている。
彼らを養う土地も、職も、食も無い。
美奈の演説から、国民もなんとか重税に耐えていたようだが、今回の一件で堪忍袋の尾が取れたようだ。
行き着く先は
「「戦争だ!! 」」
土地が無いのであれば、どこかから奪うしか無い。
そして、その土地といえば。
俺が管理人を倒し、瘴気から解放されたローランド大陸だ。
あそこは、カーミラ、アスィール、極長たちの協定により、特別保護区に指定されていた。
環境の面からは勿論そうだが。
土地を分け合うということは、それだけでも争いの種を産む。
だから三国はそれを避けるために、ローランド大陸から手をひいた。
♪♪
俺の端末に召集令が届いた。
極東から出た俺に。
契約者に向けた赤紙が届く。
そうだ。
極東は俺が役員を辞めた後も俺から魔具を取り上げることはなかった。
「ふん、俺の出番のようだな。」
「なーにが『俺の出番のようだな。』よ。」
聞き覚えのある声。
「んも、こんなところにいたのね。探したわよ。」
千代だ。
「俺とはもう話さないんじゃなかったのか? 」
「慎二が帰ってくるのをずっと待っていたの!! 」
女とは本当に訳が分からない生き物だと思う。
「ご飯は、食べてないでしょ。」
「そりゃ下がこんな状態じゃ食事どころじゃ無いだろ。」
彼女は俺に竹の皮の包みを放り投げてくる。
俺が包みを開けると、おにぎりと卵焼きが入っていた。
センキュー。
俺は礼を言うなり、おにぎりにかぶりついた。
「戦争だって。」
「ああ知ってる。」
「せっかく慎二が頑張ってきたのに。」
「俺は戦争を止めたかった訳じゃ無い。神を殺しに行っただけだ。」
「それに、どうせ公務じゃ役に立てなかったんだ。千代にかっこいいところ見せないとな。」
彼女はため息を付くと、振り返り手を振った。
「その様子じゃ大丈夫そうね。じゃあ私は、先に行ってるから。」
ミシュマッシュから謎のメールが来たのは、その後だった。
私はもちろんその案には反対だ。
議員の一人が、立ち上がり、私に意見を述べる。
「戦争の際、何者かの手引きによって、不法滞在者が増えました。このまま彼らを極東に匿っておくことなど、もちろん我が国の領土にはそんな場所なぞ、ございませんし、これ以上血税を彼らに注ぐことなどできない。」
もう一人の議員が立ち上がり、右拳を高々に上げる。
「先日の件を忘れたのでございますか、皇后。移民の過激派の天子様、暗殺未遂が。」
「その件は、坂田近衛隊長と、新潟副隊長が防ぎました。大事には至りませんでしたよ。」
極長は組んでいた両腕を机に付くと、重い腰をあげた。
「姫君は何か勘違いをなさっているようだが、我々は口減しに彼らを戦場に送り込もうとしているわけではない。」
「彼らに土地を与える、そのチャンスを与えてやっているのだ。もちろん極東も総力を上げてグランディルを叩く。人口問題を抱えているのは、何も極東だけじゃないからな。」
「グランディルと話し合いの元、自治区を作ることは? 」
極長は深いため息を付くと、それからゆっくりと話し始めた。
「美奈皇后。もうこの国は、君主制国家では無くなった。議会で決議されたことはたとえ君であろうと呑んでもらうぞ。」
私はなんと無力な人間だろうか。
神族なのに、魔法使いなのに、この事態を打破する方法を何一つ思いつかなかった。
コレではまた戦争が始まってしまう。
また姉と争うことになるのだ。
「少し休ませて。」
私はそういうと、侍女に頭痛を庇われながら、皇室へと戻った。
* * *
「ふぁあ。」
ここは極東、百五重塔の屋上。
下は難民たちのデモ部隊で一杯だ。
朝っぱらからあんなことされちゃあ商売どころじゃないし、なんせ昼寝が出来ない。
一人の極東人がデモ隊に石を投げ、「寄生虫。」やら「税金泥棒。」やらの罵声を浴びせる。
「始まったな。」
俺は空から飛んできた新聞をつかみ、読み上げた。
「『天子暗殺未遂、平等社会過激派による計画的犯行か。』か。」
世論は完全に悪い方へと向かっている。
九条が俺たちの世界に平等社会人をコッソリ送り込んでいることには薄々気がついていた。
俺が上に報告したときには後の祭り。
してやられた。
今やこの世界ではリソース不足に陥っている。
彼らを養う土地も、職も、食も無い。
美奈の演説から、国民もなんとか重税に耐えていたようだが、今回の一件で堪忍袋の尾が取れたようだ。
行き着く先は
「「戦争だ!! 」」
土地が無いのであれば、どこかから奪うしか無い。
そして、その土地といえば。
俺が管理人を倒し、瘴気から解放されたローランド大陸だ。
あそこは、カーミラ、アスィール、極長たちの協定により、特別保護区に指定されていた。
環境の面からは勿論そうだが。
土地を分け合うということは、それだけでも争いの種を産む。
だから三国はそれを避けるために、ローランド大陸から手をひいた。
♪♪
俺の端末に召集令が届いた。
極東から出た俺に。
契約者に向けた赤紙が届く。
そうだ。
極東は俺が役員を辞めた後も俺から魔具を取り上げることはなかった。
「ふん、俺の出番のようだな。」
「なーにが『俺の出番のようだな。』よ。」
聞き覚えのある声。
「んも、こんなところにいたのね。探したわよ。」
千代だ。
「俺とはもう話さないんじゃなかったのか? 」
「慎二が帰ってくるのをずっと待っていたの!! 」
女とは本当に訳が分からない生き物だと思う。
「ご飯は、食べてないでしょ。」
「そりゃ下がこんな状態じゃ食事どころじゃ無いだろ。」
彼女は俺に竹の皮の包みを放り投げてくる。
俺が包みを開けると、おにぎりと卵焼きが入っていた。
センキュー。
俺は礼を言うなり、おにぎりにかぶりついた。
「戦争だって。」
「ああ知ってる。」
「せっかく慎二が頑張ってきたのに。」
「俺は戦争を止めたかった訳じゃ無い。神を殺しに行っただけだ。」
「それに、どうせ公務じゃ役に立てなかったんだ。千代にかっこいいところ見せないとな。」
彼女はため息を付くと、振り返り手を振った。
「その様子じゃ大丈夫そうね。じゃあ私は、先に行ってるから。」
ミシュマッシュから謎のメールが来たのは、その後だった。
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