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ファイル:1 リべレイター・リベリオン
本音と建前
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サイレンが徐々に近づいてき、店の外で止んだ。
事件を嗅ぎつけた猟犬が、裏社会へと足を踏み入れる。
大麻好大だ。
「やぁやぁ、コレはコレは北条さん。精が出ますね。」
それから彼は鋭い眼光で彼女を見る。
「それに……小子さん。」
両手を大きく広げ、雛鳥のようにとぼけてみる。
「ここは君のような人間の来る場所では無い。それに言っただろ。僕に手間をかけさせるなって。」
彼女は無表情で答えた。
「ごめんなさい好大さん。」
彼はわざとらしい慈悲の目を彼女に向けると、首を振った。
「いやいや、そんなに気を病むことはないですよ。僕は悪人が嫌いなわけじゃない。」
そして、狐のような目で尻込みしているバーのマスターを見た。
「悪人は世の中に二種類存在します。」
「国際政府の役に立つ人間か、役に立たないクズの二重類だ。」
大麻がニコニコしながらマスターへと迫る。
それに合わせて、恐怖を顔に浮かべたマスターが手を履い、後ろに下がる。
酒棚で後頭部を打ち、それから全身をばたつかせながら、正面に振り返った先には大麻の顔。
「ん____」
声にならない悲鳴が上がる。
「許してくれ、リベリオンに関する情報は全て吐く。俺はアンタらの味方だ。」
「ただ、アンタらの謹酒法に嫌気が差していたのも事実だ。」
(パチパチパチパチ)
「素晴らしい。コレで私たちは友達ですね。やっぱり分かりあうって最高です。僕も好きですよお酒。政府だって口ではなんと言おうとね、人生にアルコールが必要なことは理解しているんですよ。」
「好大さん!! 」
彼女が心配な顔で大麻を見ている。
「任せて下さい小子さん。既に上の人間から、このバーの酒類提供飲食店営業許可証はとって置きました。」
マスターは這いずり、大麻の足にしがみついた。
「客は? 客はどうなる。ここで死んじまったやつ以外にも、まだまだ沢山いるんだ。この酒場を愛してくれている奴らが。」
大麻はマスターの手を優しく引き剥がすと、かがみ、両肩に手を置いた。
「言ったでしょ。僕は悪人が嫌いなわけじゃ無いって。僕たちに協力しているうちは、なんの危害も加えません。」
(マスターに顔を近づける。)
「逆にリベリオンへ我々の情報を流せば……分かっていますね。」
マスターは顔に恐怖を浮かべながら、無言で、一生懸命首を縦に振っている。
「ありがとうございます。では早速リベリオンについての情報を洗いざらい吐いてもらうぞ。」
鵞利場がそれをせいした。
「ちょっと待って、好大さん。彼とは契約があるわ。長官の秘蔵の酒を、彼に渡すっていう。」
(チッ)
「まぁまぁ…お楽しみは後って言いますし。先に現場検証を済ませますか。」
「おい、キミたち。」
大麻が部下を呼ぶ。
部下たちは無言で机の下やら、さっきまで、ここの常連だった肉塊を調べ始めた。
「さぁ行くわよ北条。」
俺は彼女に連れられてバーを後にする。
* * *
「ふんで。大事になって、情報屋まで公安に取られて、完全に稼ぎ口を失ったわけか。」
彼女は怒ることを通り越して呆れている。
当然だ。
コイツらは、俺たちが特定されることを焦って、仕事を斡旋してくれていたバーのマスターを殺そうとしたのだ。
「んまどっちにしろだったよな。鵞利場家の人間がアソコにきた時点でアレは切らなきゃいけない人間だった。」
「気楽に行こうぜ。」
その態度をよく思っていないのは、パイロキネシストの炎道零子だ。
「リーダーは他人に甘すぎます。もうちょっと組織のリーダーとしての威厳を保って下さい。」
リーダーもとい、九条念は高笑いした。
「それもそうだ。炎道の言う通りだよ。」
「いっつもいっつも、事後処理をする側の人間の身にもなって下さい。」
「リーダー……」
万城。
彼女が自分から九条に話しかけたのは初めてだ。
無理もない。
俺もアイツを舐めていた。アイツの能力を。
「なんなんですか、あの青年は。私の眼でも見えませんでした。」
彼女は両目から血を流した状態で帰ってきた。
今は俺が治療をしてスッカリ元通りであるわけだが。
「悪い。オマエに、あの男の能力の本質を教えていなかったな。」
彼女は眉をハの字に曲げた。
こんなに情緒的な彼女は初めて見た。
だが九条を糾弾している訳ではないようである。
「アレ、『能力者』じゃありません。」
「お前もそこに気付いたか。」
「見えないんです。アイツの本質が。」
「そんなことはない。能力者であろうが、無かろうが、奴がエクシーダーであることには変わりない。」
彼女が俺の方を見た。
そして頭痛を訴える。
彼女は俺が嫌いなわけではない…んだと思う。
多分頭痛が痛いんだろう。
俺の本質を視ているせいだ。
「なぁーに金川の能力より単純さ『次元を分ける能力』それだけ。」
彼女は疑心暗鬼になって九条を見つめている。
そりゃそうだ。
次、彼女が北条と対峙すれば、失明するかも知れないのだから。
事件を嗅ぎつけた猟犬が、裏社会へと足を踏み入れる。
大麻好大だ。
「やぁやぁ、コレはコレは北条さん。精が出ますね。」
それから彼は鋭い眼光で彼女を見る。
「それに……小子さん。」
両手を大きく広げ、雛鳥のようにとぼけてみる。
「ここは君のような人間の来る場所では無い。それに言っただろ。僕に手間をかけさせるなって。」
彼女は無表情で答えた。
「ごめんなさい好大さん。」
彼はわざとらしい慈悲の目を彼女に向けると、首を振った。
「いやいや、そんなに気を病むことはないですよ。僕は悪人が嫌いなわけじゃない。」
そして、狐のような目で尻込みしているバーのマスターを見た。
「悪人は世の中に二種類存在します。」
「国際政府の役に立つ人間か、役に立たないクズの二重類だ。」
大麻がニコニコしながらマスターへと迫る。
それに合わせて、恐怖を顔に浮かべたマスターが手を履い、後ろに下がる。
酒棚で後頭部を打ち、それから全身をばたつかせながら、正面に振り返った先には大麻の顔。
「ん____」
声にならない悲鳴が上がる。
「許してくれ、リベリオンに関する情報は全て吐く。俺はアンタらの味方だ。」
「ただ、アンタらの謹酒法に嫌気が差していたのも事実だ。」
(パチパチパチパチ)
「素晴らしい。コレで私たちは友達ですね。やっぱり分かりあうって最高です。僕も好きですよお酒。政府だって口ではなんと言おうとね、人生にアルコールが必要なことは理解しているんですよ。」
「好大さん!! 」
彼女が心配な顔で大麻を見ている。
「任せて下さい小子さん。既に上の人間から、このバーの酒類提供飲食店営業許可証はとって置きました。」
マスターは這いずり、大麻の足にしがみついた。
「客は? 客はどうなる。ここで死んじまったやつ以外にも、まだまだ沢山いるんだ。この酒場を愛してくれている奴らが。」
大麻はマスターの手を優しく引き剥がすと、かがみ、両肩に手を置いた。
「言ったでしょ。僕は悪人が嫌いなわけじゃ無いって。僕たちに協力しているうちは、なんの危害も加えません。」
(マスターに顔を近づける。)
「逆にリベリオンへ我々の情報を流せば……分かっていますね。」
マスターは顔に恐怖を浮かべながら、無言で、一生懸命首を縦に振っている。
「ありがとうございます。では早速リベリオンについての情報を洗いざらい吐いてもらうぞ。」
鵞利場がそれをせいした。
「ちょっと待って、好大さん。彼とは契約があるわ。長官の秘蔵の酒を、彼に渡すっていう。」
(チッ)
「まぁまぁ…お楽しみは後って言いますし。先に現場検証を済ませますか。」
「おい、キミたち。」
大麻が部下を呼ぶ。
部下たちは無言で机の下やら、さっきまで、ここの常連だった肉塊を調べ始めた。
「さぁ行くわよ北条。」
俺は彼女に連れられてバーを後にする。
* * *
「ふんで。大事になって、情報屋まで公安に取られて、完全に稼ぎ口を失ったわけか。」
彼女は怒ることを通り越して呆れている。
当然だ。
コイツらは、俺たちが特定されることを焦って、仕事を斡旋してくれていたバーのマスターを殺そうとしたのだ。
「んまどっちにしろだったよな。鵞利場家の人間がアソコにきた時点でアレは切らなきゃいけない人間だった。」
「気楽に行こうぜ。」
その態度をよく思っていないのは、パイロキネシストの炎道零子だ。
「リーダーは他人に甘すぎます。もうちょっと組織のリーダーとしての威厳を保って下さい。」
リーダーもとい、九条念は高笑いした。
「それもそうだ。炎道の言う通りだよ。」
「いっつもいっつも、事後処理をする側の人間の身にもなって下さい。」
「リーダー……」
万城。
彼女が自分から九条に話しかけたのは初めてだ。
無理もない。
俺もアイツを舐めていた。アイツの能力を。
「なんなんですか、あの青年は。私の眼でも見えませんでした。」
彼女は両目から血を流した状態で帰ってきた。
今は俺が治療をしてスッカリ元通りであるわけだが。
「悪い。オマエに、あの男の能力の本質を教えていなかったな。」
彼女は眉をハの字に曲げた。
こんなに情緒的な彼女は初めて見た。
だが九条を糾弾している訳ではないようである。
「アレ、『能力者』じゃありません。」
「お前もそこに気付いたか。」
「見えないんです。アイツの本質が。」
「そんなことはない。能力者であろうが、無かろうが、奴がエクシーダーであることには変わりない。」
彼女が俺の方を見た。
そして頭痛を訴える。
彼女は俺が嫌いなわけではない…んだと思う。
多分頭痛が痛いんだろう。
俺の本質を視ているせいだ。
「なぁーに金川の能力より単純さ『次元を分ける能力』それだけ。」
彼女は疑心暗鬼になって九条を見つめている。
そりゃそうだ。
次、彼女が北条と対峙すれば、失明するかも知れないのだから。
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