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ファイル:1 リべレイター・リベリオン
転移装置
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階段を一歩ずつ登り、馴染みのあるあの機械へとたどり着く。
「ダメよ北条ッ。戻りなさい。」
彼女は脚を引きずりながら、こちらに上がってくる。
「おい、無理すんな。寝てろって。」
俺は機材のデジタル計器を調べた。
そう、
転移装置のメーターは二つだけだ。
蝠岡がそう設定した。
停止も、自壊プログラムもままならないように。
なおかつ俺たちにも分かりやすいように。
二つ目の理由は良く分からなかった。
秘密主義者のアイツからは考えられない理由だ。
分かりやすくするということは、つまり、公安の人間にこの装置がどのようなものか理解させるということである。
公安がこの装置の仕組みを知れば、激怒し、破壊を試みようとするかも知れないし、なんせ今回みたいな荒くれ者が、別世界に転移して、直接その世界を破壊しにいくかも知れない。
天才の考えることは、本当に、無知の俺には理解できなかった。
World:221
Magnification:26
一つ俺に理解できることは、二つ目の項目……Mから始まる項目が、蝠岡の研究中は、1000だったのが、今は26に引き下げられているということだ。
捕まる前の蝠岡がいじったのか、リベリオンの奴らが適当に触ってそうなったのかは、分からない。
鵞利場が俺の脚を引っ張る。
「行かないで。」
教養のない俺には理解できない。
だが、彼女になら理解できるかも知れない。
「なぁ鵞利場? ここの二つ目の項目。Mから始まる項目だ。これ何か分かるか? 」
彼女は呆れたようである。
脚を、針で貫かれていることも忘れたようだ。
「それぐらい自分の手錠で調べればいいでしょ。」
分からないことは調べる。
簡単なことだ。
だが俺はそれを躊躇っていた。
俺のブラウザーの履歴が、国際政府上層部に届いていることは疑うことなき事実だろう。
俺は真剣な眼差しで彼女を見た。
「ちょっ。そんな顔で見つめないでよ。」
「この機材から察するに、倍率っていう意味じゃないないかしら? 」
なるほど。倍率? さっぱり分からん。
「え? ちょっと待って。それじゃあ。」
鵞利場は何かを理解したように転移装置の端末をいじる。
「北条? パスワード。あんたなら知っているでしょ。」
そうだ俺なら、この機材のデータにアクセスできる。
俺は素早くキーボードをいじると、データにアクセスできるようになった。
彼女は、二項目目のMのを選択すると、その数値を「26」から「1」に変更する。
「おい、ちょっ。勝手にいじるなよ。壊れたらどうするんだ? 」
「これを作った人間は、壊せないようにこの機械を作ったのよ。そうでなきゃ、項目がこんなにシンプルなワケがない。」
「恐らく内部に入らないと、プログラムをいじれないんでしょうね。」
そういえば、蝠岡は度々中の世界に入っていた。
割田は言うまでもないが。
となると、鵞利場の言っていることは、大方正しいのかも知れない。
「多分この『倍率』って項目、私たちの世界と、このWorld221っていう世界の時間の倍率を示しているんだわ。さっきは倍率26。平等社会で一週間経過する間に、この世界では半年もの年月が流れるの。」
? 俺には良く分からなかった。
「とにかく、リベリオンを捕まえるのには、倍率が等倍の方が絶対にいい。彼らに時間を与えると言うことは、それだけ捜査を難航させると言うこと。」
「開けろ。公安だ!! 」
増援に来た公僕が、廃墟のドアを蹴飛ばす。
そして下で項垂れている万城を見ては、彼女に手錠をかけた。
俺はそれに目を背けてしまう。
「痛い….やめてください……私、何も悪いことしてないのに。九条リーダー……金川さん…‥.助けて。」
そこに満身創痍の大麻がやって来る。
「へへ、捕まえたぞ。ドブネズミめ。」
そして俺たちの方を見上げると、鵞利場を見た。
「酷いじゃないか。婚約者を野晒しにしておくなんて。ちょっとぐらい介抱してくれても良かったんじゃ無いのか? 」
彼女は単調に答えた。
「すみません好大さん。貴方が倒れていたことに気づかずに。」
「ふっ、まぁいいよ。私と君の仲だからね。水に流すとしよう。」
「全く、してやられたよ。金川の奴らに。」
俺は思わず声を上げた。
「金川だと? 」
地下鉄で捕まったんじゃ無かったのか?
俺は隣の上司様をみた。
「迂闊だったわね。いくら警備が厳重な地下鉄といえども、彼らはそこに忍び込むことが出来たんだわ。なら出る方法も。」
大麻の顔が、狐のように狡猾になる。
「何か知ってそうだな北条。課で詳しく話を聞こうか。」
それを鵞利場が遮る。
「執行者を事情聴取なんて……それは私の仕事です好大さん。」
彼は満面の笑みで彼女に言葉を返す。
「君は病院で手当を受けると良い。部下の一人をよこそう。」
彼の部下二人が、俺をガッチリ拘束する。
「クソ、離せ。」
俺は刑事課の人間に連れられて、車に乗せられた。
「ダメよ北条ッ。戻りなさい。」
彼女は脚を引きずりながら、こちらに上がってくる。
「おい、無理すんな。寝てろって。」
俺は機材のデジタル計器を調べた。
そう、
転移装置のメーターは二つだけだ。
蝠岡がそう設定した。
停止も、自壊プログラムもままならないように。
なおかつ俺たちにも分かりやすいように。
二つ目の理由は良く分からなかった。
秘密主義者のアイツからは考えられない理由だ。
分かりやすくするということは、つまり、公安の人間にこの装置がどのようなものか理解させるということである。
公安がこの装置の仕組みを知れば、激怒し、破壊を試みようとするかも知れないし、なんせ今回みたいな荒くれ者が、別世界に転移して、直接その世界を破壊しにいくかも知れない。
天才の考えることは、本当に、無知の俺には理解できなかった。
World:221
Magnification:26
一つ俺に理解できることは、二つ目の項目……Mから始まる項目が、蝠岡の研究中は、1000だったのが、今は26に引き下げられているということだ。
捕まる前の蝠岡がいじったのか、リベリオンの奴らが適当に触ってそうなったのかは、分からない。
鵞利場が俺の脚を引っ張る。
「行かないで。」
教養のない俺には理解できない。
だが、彼女になら理解できるかも知れない。
「なぁ鵞利場? ここの二つ目の項目。Mから始まる項目だ。これ何か分かるか? 」
彼女は呆れたようである。
脚を、針で貫かれていることも忘れたようだ。
「それぐらい自分の手錠で調べればいいでしょ。」
分からないことは調べる。
簡単なことだ。
だが俺はそれを躊躇っていた。
俺のブラウザーの履歴が、国際政府上層部に届いていることは疑うことなき事実だろう。
俺は真剣な眼差しで彼女を見た。
「ちょっ。そんな顔で見つめないでよ。」
「この機材から察するに、倍率っていう意味じゃないないかしら? 」
なるほど。倍率? さっぱり分からん。
「え? ちょっと待って。それじゃあ。」
鵞利場は何かを理解したように転移装置の端末をいじる。
「北条? パスワード。あんたなら知っているでしょ。」
そうだ俺なら、この機材のデータにアクセスできる。
俺は素早くキーボードをいじると、データにアクセスできるようになった。
彼女は、二項目目のMのを選択すると、その数値を「26」から「1」に変更する。
「おい、ちょっ。勝手にいじるなよ。壊れたらどうするんだ? 」
「これを作った人間は、壊せないようにこの機械を作ったのよ。そうでなきゃ、項目がこんなにシンプルなワケがない。」
「恐らく内部に入らないと、プログラムをいじれないんでしょうね。」
そういえば、蝠岡は度々中の世界に入っていた。
割田は言うまでもないが。
となると、鵞利場の言っていることは、大方正しいのかも知れない。
「多分この『倍率』って項目、私たちの世界と、このWorld221っていう世界の時間の倍率を示しているんだわ。さっきは倍率26。平等社会で一週間経過する間に、この世界では半年もの年月が流れるの。」
? 俺には良く分からなかった。
「とにかく、リベリオンを捕まえるのには、倍率が等倍の方が絶対にいい。彼らに時間を与えると言うことは、それだけ捜査を難航させると言うこと。」
「開けろ。公安だ!! 」
増援に来た公僕が、廃墟のドアを蹴飛ばす。
そして下で項垂れている万城を見ては、彼女に手錠をかけた。
俺はそれに目を背けてしまう。
「痛い….やめてください……私、何も悪いことしてないのに。九条リーダー……金川さん…‥.助けて。」
そこに満身創痍の大麻がやって来る。
「へへ、捕まえたぞ。ドブネズミめ。」
そして俺たちの方を見上げると、鵞利場を見た。
「酷いじゃないか。婚約者を野晒しにしておくなんて。ちょっとぐらい介抱してくれても良かったんじゃ無いのか? 」
彼女は単調に答えた。
「すみません好大さん。貴方が倒れていたことに気づかずに。」
「ふっ、まぁいいよ。私と君の仲だからね。水に流すとしよう。」
「全く、してやられたよ。金川の奴らに。」
俺は思わず声を上げた。
「金川だと? 」
地下鉄で捕まったんじゃ無かったのか?
俺は隣の上司様をみた。
「迂闊だったわね。いくら警備が厳重な地下鉄といえども、彼らはそこに忍び込むことが出来たんだわ。なら出る方法も。」
大麻の顔が、狐のように狡猾になる。
「何か知ってそうだな北条。課で詳しく話を聞こうか。」
それを鵞利場が遮る。
「執行者を事情聴取なんて……それは私の仕事です好大さん。」
彼は満面の笑みで彼女に言葉を返す。
「君は病院で手当を受けると良い。部下の一人をよこそう。」
彼の部下二人が、俺をガッチリ拘束する。
「クソ、離せ。」
俺は刑事課の人間に連れられて、車に乗せられた。
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