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ファイル:2幻略結婚
死闘
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「【森羅万象流ゥ】」
【壱ノ拳】
【鬼燕】
獲物を見さだめた一羽の燕が、滑空し、その鋭い嘴で、俺を啄もうとしている。
「【天岩流】」
【参ノ拳】
【崩岩】
崩岩は上段からの振り下ろし攻撃を、そのまま下に受け流す奥義だ。
「全部お見通しなんだよぉぉぉぉぉぉ。」
彼の右拳から、鋭い金剛が出現する。
だが、それがなんだというのだ。
俺は意識を両腕に集中させ、次元の壁を作る。
「ザシュッ。」
次の瞬間、鈍い音と共に、俺の左腕を鋭い金剛が啄んだ。
「がぁ。」
だいぶ慣れ始めている、この感覚。
激痛ほど遅れてやってくる。
紅血が痛みと共に溢れ出した。
今、自分が置かれている状態をようやく理解して、地面に転がり回った。
「お前、まざか、自分だけが強くなっていると、能力の扱いが上達していると、そう思ってはいないよな? 」
「ホラ、早く立てよ!! お前は!!九条より強いんだろぉぉぉぉ? 」
金川は思いっきり振りかぶると、左足で俺を蹴飛ばした。
「ぐあああ。」
「北条ッ!! 」
安田が本気で俺を心配していた。
クライアントに心配されるなど、なんて情けない奴なんだ俺は。
「アンタは雇い主だろ? ここは俺に任せてくれ。」
【滑昇風】
俺の右足の蹴りが、奴の顎にヒットした。
俺は勢いのまま、空中で一回転すると、そのまま地面に着地する。
金川はというと、地面に唾を吐くと、血を拭った。
「だが、流石だ。利き腕を狙ったつもりだったんだけどな。運がいいのか、勘がいいのか。」
「一応、条家の人間だからな。」
「……だから俺より強いってか。」
見えなかった。
一瞬で懐に入り込まれた俺は、咄嗟に右肘で、彼をはたき落とした。
「ふんっ。」
彼が一瞬怯む、俺は、その僅かなスキを見逃さなかった。
「【裏天岩流】」
【陸ノ岩】
【貝独楽】
脚をコマのように回転させて、蹴りを奴の腹部にお見舞いする。
手応えがあった。内臓まで入っている。
彼はそのまま道端の電気自動車へとぶっ飛んだ。
俺は回転を利用して飛び上がる。
「どいつもコイツも、俺を見下しやがってぇぇぇぇぇぇ。条家ぇぇぇぇ。」
ボディーの凹んだ電気自動車が、宙を舞う。
【岩砕】
遠心力を利用しながら、自動車を粉砕した。
次々と宙を舞う鉄塊を伝い、徐々に彼との距離を詰めていく。
【石火】
【 穿石】
【ロンドン橋堕ちた】
鉄塊を踏み台にして彼へと迫る。
右拳に全てを込めた。
散布するフロントガラスの破片が、左腕の傷口を抉った。
「ぐっ。」
こんなモン痛くも痒くもねえ。
【ショック・オブ・ラウンド】
俺が行き着いた武術の境地は、能力の塊を拳に込めて打ち込むということだった。
押し込められた空間が、反発力によって一気に押しやられる。
これを見た北条家の当主は、俺を忌み子だと言った。
他の条家の人間も、俺をキミ悪がった。
ただ一人、俺の両親だけは、俺にこんな力があることを泣いて喜んでいた。
目の前で俺に殺意を向けているバケモノは、どちらともつかない感情を俺に向けている。
俺に対して憎しみにも似た憎悪を向けていた。
強さとは……力とは……超能力とはなんなのだろうか。
「【森羅万象流】」
【零ノ拳】
【陰陽太極双龍】
物質を超越した彼の二頭の顎が、俺の能力を喰らい尽くす。
だが、
喰われていたのはお前らだ。
白龍と黒龍を内側から引き裂く。
やがてその先には、マヌケな顔をしているおめでたい奴の顔が現れた。
車道に巨大なクレーター。
そのど真ん中で、金川は仰向けに倒れている。
そして俺は、その中心で拳を前に突き出していた。
拳を収めると、彼に背を向けて、安田のいる方へと歩き出す。
「おい……待て……まだ終わったわけじゃあ…… 」
金川がクレーターから這い出てきた。
「錬金術が使えるはずの彼も、もう再生するほどの力は残っていないらしい。」
「俺はアンタを殺しに来たわけじゃない。」
この言葉は彼にとっては逆効果だ。
「俺に……俺に情けをかけているっていうのか!! 」
「なんでアンタはそこまでして強さを求めるんだ? お前の能力さえあれば、何不自由なく暮らせるだろう? 」
彼は力無く笑い始めた。
「アンタ…も。オ…マエも… アイツと同じことを言うんだな。」
「また九条の話か。」
「オマエに…だけは…… 」
そこで会話は途切れた。
満身創痍の身体で、一歩、また一歩と歩みを進める。
そして安田に倒れ込んでしまい、彼女に抱きしめられる。
「ありがとう。私の番犬。キミの役目は終わりだ。」
意識が遠のいていく。
彼女に何かされた?
まて、行くな!!
遠のいていく意識を追いかけるが、その努力も虚しく……
俺は、そこからのことを覚えていない。
【壱ノ拳】
【鬼燕】
獲物を見さだめた一羽の燕が、滑空し、その鋭い嘴で、俺を啄もうとしている。
「【天岩流】」
【参ノ拳】
【崩岩】
崩岩は上段からの振り下ろし攻撃を、そのまま下に受け流す奥義だ。
「全部お見通しなんだよぉぉぉぉぉぉ。」
彼の右拳から、鋭い金剛が出現する。
だが、それがなんだというのだ。
俺は意識を両腕に集中させ、次元の壁を作る。
「ザシュッ。」
次の瞬間、鈍い音と共に、俺の左腕を鋭い金剛が啄んだ。
「がぁ。」
だいぶ慣れ始めている、この感覚。
激痛ほど遅れてやってくる。
紅血が痛みと共に溢れ出した。
今、自分が置かれている状態をようやく理解して、地面に転がり回った。
「お前、まざか、自分だけが強くなっていると、能力の扱いが上達していると、そう思ってはいないよな? 」
「ホラ、早く立てよ!! お前は!!九条より強いんだろぉぉぉぉ? 」
金川は思いっきり振りかぶると、左足で俺を蹴飛ばした。
「ぐあああ。」
「北条ッ!! 」
安田が本気で俺を心配していた。
クライアントに心配されるなど、なんて情けない奴なんだ俺は。
「アンタは雇い主だろ? ここは俺に任せてくれ。」
【滑昇風】
俺の右足の蹴りが、奴の顎にヒットした。
俺は勢いのまま、空中で一回転すると、そのまま地面に着地する。
金川はというと、地面に唾を吐くと、血を拭った。
「だが、流石だ。利き腕を狙ったつもりだったんだけどな。運がいいのか、勘がいいのか。」
「一応、条家の人間だからな。」
「……だから俺より強いってか。」
見えなかった。
一瞬で懐に入り込まれた俺は、咄嗟に右肘で、彼をはたき落とした。
「ふんっ。」
彼が一瞬怯む、俺は、その僅かなスキを見逃さなかった。
「【裏天岩流】」
【陸ノ岩】
【貝独楽】
脚をコマのように回転させて、蹴りを奴の腹部にお見舞いする。
手応えがあった。内臓まで入っている。
彼はそのまま道端の電気自動車へとぶっ飛んだ。
俺は回転を利用して飛び上がる。
「どいつもコイツも、俺を見下しやがってぇぇぇぇぇぇ。条家ぇぇぇぇ。」
ボディーの凹んだ電気自動車が、宙を舞う。
【岩砕】
遠心力を利用しながら、自動車を粉砕した。
次々と宙を舞う鉄塊を伝い、徐々に彼との距離を詰めていく。
【石火】
【 穿石】
【ロンドン橋堕ちた】
鉄塊を踏み台にして彼へと迫る。
右拳に全てを込めた。
散布するフロントガラスの破片が、左腕の傷口を抉った。
「ぐっ。」
こんなモン痛くも痒くもねえ。
【ショック・オブ・ラウンド】
俺が行き着いた武術の境地は、能力の塊を拳に込めて打ち込むということだった。
押し込められた空間が、反発力によって一気に押しやられる。
これを見た北条家の当主は、俺を忌み子だと言った。
他の条家の人間も、俺をキミ悪がった。
ただ一人、俺の両親だけは、俺にこんな力があることを泣いて喜んでいた。
目の前で俺に殺意を向けているバケモノは、どちらともつかない感情を俺に向けている。
俺に対して憎しみにも似た憎悪を向けていた。
強さとは……力とは……超能力とはなんなのだろうか。
「【森羅万象流】」
【零ノ拳】
【陰陽太極双龍】
物質を超越した彼の二頭の顎が、俺の能力を喰らい尽くす。
だが、
喰われていたのはお前らだ。
白龍と黒龍を内側から引き裂く。
やがてその先には、マヌケな顔をしているおめでたい奴の顔が現れた。
車道に巨大なクレーター。
そのど真ん中で、金川は仰向けに倒れている。
そして俺は、その中心で拳を前に突き出していた。
拳を収めると、彼に背を向けて、安田のいる方へと歩き出す。
「おい……待て……まだ終わったわけじゃあ…… 」
金川がクレーターから這い出てきた。
「錬金術が使えるはずの彼も、もう再生するほどの力は残っていないらしい。」
「俺はアンタを殺しに来たわけじゃない。」
この言葉は彼にとっては逆効果だ。
「俺に……俺に情けをかけているっていうのか!! 」
「なんでアンタはそこまでして強さを求めるんだ? お前の能力さえあれば、何不自由なく暮らせるだろう? 」
彼は力無く笑い始めた。
「アンタ…も。オ…マエも… アイツと同じことを言うんだな。」
「また九条の話か。」
「オマエに…だけは…… 」
そこで会話は途切れた。
満身創痍の身体で、一歩、また一歩と歩みを進める。
そして安田に倒れ込んでしまい、彼女に抱きしめられる。
「ありがとう。私の番犬。キミの役目は終わりだ。」
意識が遠のいていく。
彼女に何かされた?
まて、行くな!!
遠のいていく意識を追いかけるが、その努力も虚しく……
俺は、そこからのことを覚えていない。
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