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ファイル:3 優生思想のマッドサイエンティスト
改造人間
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俺たちは調査に向かうために、エレベーターに乗った。
「このエレベーターって言う昇降機、いまだに慣れないんだよ。」
カーミラは窓から覗く高層ビルや空中物件を見上げながら、そう呟いた。
「ワールド221にはエレベーターが無いのか? 」
「あるよ。極東って言う区域だけだけどね。僕らの国のグランディル帝国は土地が広くて人口に余裕があるから、まだこんな高い建物は建っていないけど。」
「ふーん。」
「なぁ北条、君は考えたことあるかい? 増えすぎた人間がどこへ行くのかって。」
「さぁな。そん時には俺は生きていないだろうし。」
「でも、もし俺の生きているうちにソレが起こったら、俺はせめて自分の大切な人間だけは…… 」
「そう。難しいね。人間ってさ。」
彼はとても感傷的になってしまった。
その時分かったのだ。
この青年は国王で、臣民全ての運命を委ねられていると。
私情で国を動かせば、沢山の犠牲が出るだろう。
それを良しとするか、そうで無いか。
「俺は人の上に立ったことがないから難しいことは分からねえけどよ。両手で救えるもん闇雲に掴んでいくっていう、その姿勢が正しく王の器って奴じゃないのか? 」
「チン!! 」
エレベーターが地上に着いた。
「ありがとう。実を言うとね。逃げてきたんだ。臣民から。僕は代行者の力が有れば、全ての人間を救えると、そう思っていた。でもね。現実は違ったんだ。問題を解決してもまた問題。」
「襲撃者を、撃退してから間もない間に、国内で怪死の連続だ。明らかに魔術的な物でも超能力的なものでもない。僕は本当に臣民の役に立てているのかなって。」
俺たちは国際政府を出た。
「ならこの事件は一刻も早く解決しないとな。」
「だね。」
俺は転移装置へ向けて歩き出した。
復旧した鉄道に乗ろうとする。
「待って、どこへいくの? 」
「平等社会の怪事件も、気掛かりだが、こっちはスキルホルダーやら執行者がいるところ、まだ放っておいても大丈夫だ。それに監視カメラもある。あまり下手に動けないのは確かだぜ。」
「なるほど、僕たちの世界の方が、犯罪をやりやすいってことか。でも、平等社会と僕たちの世界を行き来するにはビザが必要なのでは? 」
「正規の方法では、あくまでも…な。だが個人で、世界を行き来できる人間が平等社会にいたとしたら…… 」
彼は少し考え込んでいた。
「それは僕の想像力の限界を超えている。」
「だけど、違法ビザを発行している人間がいるという線は的をいているのかもしれない。」
あの俺たちの戦い以来、平等社会人の異世界との行き来は大きく制限されていまった。
今、異世界に渡航が許可されているのは、金を持った無能力者ぐらいだ。
それも殆どが観光目的で、商業目的でも殆ど許可が降りないらしい。
国際政府は恐れているのだ。
民衆がこの世界から離れていくのを。
俺たちは鉄道を降りると、裏路地へと入った。
そこで安田に話を通す。
[準備場できているわよ。そうなると思って。手続きはもう済ませているから、ゲートに行って良いわ。]
ゲート……転移装置のあった化学工場跡は、キッパリ舗装され、鉄道のような改札口ができた。
車道の上に陸橋が建てられ、道の反対側が入り口だ。
その陸橋の名は、民衆の間で、密かにホープ・ブリッヂと呼ばれている らしい。
「オイ、にいちゃん。」
無能力者に話しかけられて、びくついた。
今の俺はスキルホルダーか何かに見えているはず。
よって無能力者が絡んでくることなど無いはずだ。
それともカーミラが周りの目を引いたか。
俺とカーミラは振り返る。
男……だ。
マスターにも引けを取らないリュウリュウの筋肉ダルマ。
だが、右手に握られていたモノ……
いや、取り付けられていたモノは常軌を逸していた。
右腕が巨大なブラシになっている。
「なぁ。アンタ公安の人間だろ? 」
「だったらどうした? 仲間がパクられたとかか? 復讐なら他の公安を当たってくれ。俺たちは今、忙しいんでね。」
もう一人の回転刃の男が、耳を聾するような周波数の高い金属音を立てて、それに負けないぐらい大きな声で答えた。
「忙しい? ああ、奇遇だな俺たちもだ。社会の腐った奸どもを除くために日々汗水を垂らしてるわけよ。」
ブラシの男が、右腕のブラシの毛を左手で触れる。
「俺たちはなぁ。腐っちまったこの世の中をこのブラシで綺麗にしてやりたいんよ。」
大麻のあの事件以来、民衆の公安への不信感は募るばかりだ。
いっときは上層部が隠蔽を考えたらしい。
だが、この一件は報道部が隠し通せるほどのものでは無かったらしい。
あっという間にマスコミにへと漏れ、大々的に報道された。
裏ではジャーナリストの一部が行方不明になっているらしい。
「どうやら、許してくれそうにないよ。あの人たち。」
「悪いなカーミラ。こっちの問題に巻き込んじまってよ。」
「水臭いよ。北条。」
裏路地での戦闘が始まった。
「このエレベーターって言う昇降機、いまだに慣れないんだよ。」
カーミラは窓から覗く高層ビルや空中物件を見上げながら、そう呟いた。
「ワールド221にはエレベーターが無いのか? 」
「あるよ。極東って言う区域だけだけどね。僕らの国のグランディル帝国は土地が広くて人口に余裕があるから、まだこんな高い建物は建っていないけど。」
「ふーん。」
「なぁ北条、君は考えたことあるかい? 増えすぎた人間がどこへ行くのかって。」
「さぁな。そん時には俺は生きていないだろうし。」
「でも、もし俺の生きているうちにソレが起こったら、俺はせめて自分の大切な人間だけは…… 」
「そう。難しいね。人間ってさ。」
彼はとても感傷的になってしまった。
その時分かったのだ。
この青年は国王で、臣民全ての運命を委ねられていると。
私情で国を動かせば、沢山の犠牲が出るだろう。
それを良しとするか、そうで無いか。
「俺は人の上に立ったことがないから難しいことは分からねえけどよ。両手で救えるもん闇雲に掴んでいくっていう、その姿勢が正しく王の器って奴じゃないのか? 」
「チン!! 」
エレベーターが地上に着いた。
「ありがとう。実を言うとね。逃げてきたんだ。臣民から。僕は代行者の力が有れば、全ての人間を救えると、そう思っていた。でもね。現実は違ったんだ。問題を解決してもまた問題。」
「襲撃者を、撃退してから間もない間に、国内で怪死の連続だ。明らかに魔術的な物でも超能力的なものでもない。僕は本当に臣民の役に立てているのかなって。」
俺たちは国際政府を出た。
「ならこの事件は一刻も早く解決しないとな。」
「だね。」
俺は転移装置へ向けて歩き出した。
復旧した鉄道に乗ろうとする。
「待って、どこへいくの? 」
「平等社会の怪事件も、気掛かりだが、こっちはスキルホルダーやら執行者がいるところ、まだ放っておいても大丈夫だ。それに監視カメラもある。あまり下手に動けないのは確かだぜ。」
「なるほど、僕たちの世界の方が、犯罪をやりやすいってことか。でも、平等社会と僕たちの世界を行き来するにはビザが必要なのでは? 」
「正規の方法では、あくまでも…な。だが個人で、世界を行き来できる人間が平等社会にいたとしたら…… 」
彼は少し考え込んでいた。
「それは僕の想像力の限界を超えている。」
「だけど、違法ビザを発行している人間がいるという線は的をいているのかもしれない。」
あの俺たちの戦い以来、平等社会人の異世界との行き来は大きく制限されていまった。
今、異世界に渡航が許可されているのは、金を持った無能力者ぐらいだ。
それも殆どが観光目的で、商業目的でも殆ど許可が降りないらしい。
国際政府は恐れているのだ。
民衆がこの世界から離れていくのを。
俺たちは鉄道を降りると、裏路地へと入った。
そこで安田に話を通す。
[準備場できているわよ。そうなると思って。手続きはもう済ませているから、ゲートに行って良いわ。]
ゲート……転移装置のあった化学工場跡は、キッパリ舗装され、鉄道のような改札口ができた。
車道の上に陸橋が建てられ、道の反対側が入り口だ。
その陸橋の名は、民衆の間で、密かにホープ・ブリッヂと呼ばれている らしい。
「オイ、にいちゃん。」
無能力者に話しかけられて、びくついた。
今の俺はスキルホルダーか何かに見えているはず。
よって無能力者が絡んでくることなど無いはずだ。
それともカーミラが周りの目を引いたか。
俺とカーミラは振り返る。
男……だ。
マスターにも引けを取らないリュウリュウの筋肉ダルマ。
だが、右手に握られていたモノ……
いや、取り付けられていたモノは常軌を逸していた。
右腕が巨大なブラシになっている。
「なぁ。アンタ公安の人間だろ? 」
「だったらどうした? 仲間がパクられたとかか? 復讐なら他の公安を当たってくれ。俺たちは今、忙しいんでね。」
もう一人の回転刃の男が、耳を聾するような周波数の高い金属音を立てて、それに負けないぐらい大きな声で答えた。
「忙しい? ああ、奇遇だな俺たちもだ。社会の腐った奸どもを除くために日々汗水を垂らしてるわけよ。」
ブラシの男が、右腕のブラシの毛を左手で触れる。
「俺たちはなぁ。腐っちまったこの世の中をこのブラシで綺麗にしてやりたいんよ。」
大麻のあの事件以来、民衆の公安への不信感は募るばかりだ。
いっときは上層部が隠蔽を考えたらしい。
だが、この一件は報道部が隠し通せるほどのものでは無かったらしい。
あっという間にマスコミにへと漏れ、大々的に報道された。
裏ではジャーナリストの一部が行方不明になっているらしい。
「どうやら、許してくれそうにないよ。あの人たち。」
「悪いなカーミラ。こっちの問題に巻き込んじまってよ。」
「水臭いよ。北条。」
裏路地での戦闘が始まった。
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