74 / 107
終わりの始まり
帰ってきた元長官
しおりを挟む
「心配したよ。帰ってくれば通信は繋がらないし、キミたちが見当たらないしでね。ラストプリズンにいたんだね。それであのバケモノが復活しちゃったのか。」
俺はそんなことより、急に痛みが引いてしまったことに動揺し、それどころではなかった。
「あ、それね。ただの痛み止め。したのは応急処置だけだから。ちゃんとお医者さんに見せないとダメだよ。」
本堂はそういうと、身体を収縮させて、浮遊する創造主へと飛びかかった。
彼は慌てて瞬間移動を試みるが、本堂の右手がそれを許さない。
彼に左足首を掴まれて、そのまま地面に落とされる。
俺はすかさず落ちてきた大兄弟助へ向けて、天岩烈破を放った。
「がはっ!! 」
彼の背骨が曲がったのが見て取れる(奴に脊椎があるのかは分からないが)
流石にこの攻撃は答えたのか、地に落ちると、陸に上げられた魚のようにのたうち回っていた。
「さぁ、北条クン。次だ。私が奴を無力化している間に、キミが魔法を叩き込む。まだ動けるかね? 」
長官が真紅の槍を放り投げてくる。
まるで俺の答えを知っているかのように。
「ハイハイ長官様。」
俺は槍を右手で受け取った。
「キミ、ハイは一回だよ。鵞利場くんに習わなかったのか? あと、私はもう長官ではない。」
「いえ、本堂長官は長官ですよ。捕まえにきた時は、正直恨んでたけど、ラストプリズンから救い出してくれたことだけは感謝している。」
長官は再び飛び上がる。
「それだけじゃないだろう? 」
図々しいにも程がある。
「ええ、ありがとうございます。俺の監視官に鵞利場をつけてくれて。」
槍に力を込めて、足に空間をためて飛び上がる。
槍が赫く光始めた。
俺の心に呼応しているのか。
「ハハハ、世がお前らみたいな下等生物に負けると思うか? 」
長官の腕から血が噴き出す。
「ぐっ!! 」
彼が右手を翳すと、俺の傷口が開いた。
「その槍で貫かれた、その意味を知ったか? 」
「ああ、レクチャーありがとよ。」
背中のタイマーが進む。
もう俺には時間が残されていない。
あと数分で爆発するだろう。
腹の傷口が痛む。
だけどそんなこと気にしていられなかった。
俺はこの事件を解決する義務がある。
だから今ここでヤツと対峙している。
「塵芥になろうとも、お前は、お前だけは__」
「俺が倒す。」
次の瞬間、俺の腹部の傷が何事もなかったかのように、塞がっていく。
そればかりか、全身の疲労が、みるみる消えていった。
「鯣雑、キサマ!! 」
答えは簡単だった。
鯣雑さんが、大兄弟助を操り、俺の体を、九条の時のように回復させた。
「悪いな大兄弟助。状況が変わった。」
きっと本堂長官が帰ってきて、それも大兄弟助に対抗する力をつけてきたからだろう。
なんと世渡りが上手い人だろうか?
「北条。オマエが倒せ。」
「ええ、鯣雑さん。ありがとうございますねぇ。」
今の自分の心境を最大限にまで乗せた感謝を吐き捨てると、そのまま、彼へゲイボルグを突き立てる。
急所は? 心臓はあるのだろうか?
「北条クン!! 早くしたまえ!! 私はもうもたない。」
本堂に催促されて、彼の胸の中心にゲイボルグを打ち込んだ。
【天岩流】
【虚無ノ岩】
【天地創造】
神々は天地創造の際、槍を授かり、大海に始まりの島を創った。
流石に魔法使いも口から血を吐き、手足をバタつかせている。
「分かった。オマエの望み、なんでも一つ、世が叶えてやる。だから世を助けろ。」
なんでも。
とても良い響きだ。
俺は、彼に願った。
「じゃあ、死ね!! 」
高層ビルの屋上に彼を押し付ける。
そのまま、地下一階まで、ゲイボルグを押しつけた。
駐車場で、ようやく彼が絶命したのを確認してから、恐る恐る槍を引き抜こうとする。
"まだ死んでいなかったら。"
俺がソレを握ったその時。
「彼はパッと目を覚まし、胸の槍を引き抜こうとした。」
慌てた俺は、槍を押し付けて、彼の身体をグルグルと抉る。
「ハハハ、良いぞその顔。だんだん人間らしく愚かになってきたではないか。」
彼は俺を吹き飛ばすと、槍を引き抜き、九条の元へと走っていった。
「本堂さん!! 北条の命が逃げる!! 」
だが彼は血塗れで、右肩が脱臼しており、とても彼らを追える状態ではない。
「鯣雑さん!! 見てないで!! 彼女を捕まえて。」
平静を装っていた彼は、口から血を吐くと、その場に倒れ込んだ。
鵞利場には、もう九条を追う力は残っていない。
「俺しかいないんだ。」
「ピ~~~~~~~~~」
だがその必要も今無くなった。
どうしよう。
能力で、俺だけなら助かることが出来る。
アイツらも始末出来るかもしれない。
まだ死にたくない?
だが俺はもう殺したくなかった。
たくさん殺してきたから。
九条を最後にしたかったのだ。
だって俺は、能力者と無能力者を繋ぎ止めるって、そう蝠岡に約束したから。
「なんだ、答えは簡単じゃないか。」
「キサマ!! なぜ能力で世た__」
俺は後者を選んだ。
俺は鵞利場を裏切った。
二度も裏切った。
だけど後悔はしていない。
もう何も見えない。
俺はそんなことより、急に痛みが引いてしまったことに動揺し、それどころではなかった。
「あ、それね。ただの痛み止め。したのは応急処置だけだから。ちゃんとお医者さんに見せないとダメだよ。」
本堂はそういうと、身体を収縮させて、浮遊する創造主へと飛びかかった。
彼は慌てて瞬間移動を試みるが、本堂の右手がそれを許さない。
彼に左足首を掴まれて、そのまま地面に落とされる。
俺はすかさず落ちてきた大兄弟助へ向けて、天岩烈破を放った。
「がはっ!! 」
彼の背骨が曲がったのが見て取れる(奴に脊椎があるのかは分からないが)
流石にこの攻撃は答えたのか、地に落ちると、陸に上げられた魚のようにのたうち回っていた。
「さぁ、北条クン。次だ。私が奴を無力化している間に、キミが魔法を叩き込む。まだ動けるかね? 」
長官が真紅の槍を放り投げてくる。
まるで俺の答えを知っているかのように。
「ハイハイ長官様。」
俺は槍を右手で受け取った。
「キミ、ハイは一回だよ。鵞利場くんに習わなかったのか? あと、私はもう長官ではない。」
「いえ、本堂長官は長官ですよ。捕まえにきた時は、正直恨んでたけど、ラストプリズンから救い出してくれたことだけは感謝している。」
長官は再び飛び上がる。
「それだけじゃないだろう? 」
図々しいにも程がある。
「ええ、ありがとうございます。俺の監視官に鵞利場をつけてくれて。」
槍に力を込めて、足に空間をためて飛び上がる。
槍が赫く光始めた。
俺の心に呼応しているのか。
「ハハハ、世がお前らみたいな下等生物に負けると思うか? 」
長官の腕から血が噴き出す。
「ぐっ!! 」
彼が右手を翳すと、俺の傷口が開いた。
「その槍で貫かれた、その意味を知ったか? 」
「ああ、レクチャーありがとよ。」
背中のタイマーが進む。
もう俺には時間が残されていない。
あと数分で爆発するだろう。
腹の傷口が痛む。
だけどそんなこと気にしていられなかった。
俺はこの事件を解決する義務がある。
だから今ここでヤツと対峙している。
「塵芥になろうとも、お前は、お前だけは__」
「俺が倒す。」
次の瞬間、俺の腹部の傷が何事もなかったかのように、塞がっていく。
そればかりか、全身の疲労が、みるみる消えていった。
「鯣雑、キサマ!! 」
答えは簡単だった。
鯣雑さんが、大兄弟助を操り、俺の体を、九条の時のように回復させた。
「悪いな大兄弟助。状況が変わった。」
きっと本堂長官が帰ってきて、それも大兄弟助に対抗する力をつけてきたからだろう。
なんと世渡りが上手い人だろうか?
「北条。オマエが倒せ。」
「ええ、鯣雑さん。ありがとうございますねぇ。」
今の自分の心境を最大限にまで乗せた感謝を吐き捨てると、そのまま、彼へゲイボルグを突き立てる。
急所は? 心臓はあるのだろうか?
「北条クン!! 早くしたまえ!! 私はもうもたない。」
本堂に催促されて、彼の胸の中心にゲイボルグを打ち込んだ。
【天岩流】
【虚無ノ岩】
【天地創造】
神々は天地創造の際、槍を授かり、大海に始まりの島を創った。
流石に魔法使いも口から血を吐き、手足をバタつかせている。
「分かった。オマエの望み、なんでも一つ、世が叶えてやる。だから世を助けろ。」
なんでも。
とても良い響きだ。
俺は、彼に願った。
「じゃあ、死ね!! 」
高層ビルの屋上に彼を押し付ける。
そのまま、地下一階まで、ゲイボルグを押しつけた。
駐車場で、ようやく彼が絶命したのを確認してから、恐る恐る槍を引き抜こうとする。
"まだ死んでいなかったら。"
俺がソレを握ったその時。
「彼はパッと目を覚まし、胸の槍を引き抜こうとした。」
慌てた俺は、槍を押し付けて、彼の身体をグルグルと抉る。
「ハハハ、良いぞその顔。だんだん人間らしく愚かになってきたではないか。」
彼は俺を吹き飛ばすと、槍を引き抜き、九条の元へと走っていった。
「本堂さん!! 北条の命が逃げる!! 」
だが彼は血塗れで、右肩が脱臼しており、とても彼らを追える状態ではない。
「鯣雑さん!! 見てないで!! 彼女を捕まえて。」
平静を装っていた彼は、口から血を吐くと、その場に倒れ込んだ。
鵞利場には、もう九条を追う力は残っていない。
「俺しかいないんだ。」
「ピ~~~~~~~~~」
だがその必要も今無くなった。
どうしよう。
能力で、俺だけなら助かることが出来る。
アイツらも始末出来るかもしれない。
まだ死にたくない?
だが俺はもう殺したくなかった。
たくさん殺してきたから。
九条を最後にしたかったのだ。
だって俺は、能力者と無能力者を繋ぎ止めるって、そう蝠岡に約束したから。
「なんだ、答えは簡単じゃないか。」
「キサマ!! なぜ能力で世た__」
俺は後者を選んだ。
俺は鵞利場を裏切った。
二度も裏切った。
だけど後悔はしていない。
もう何も見えない。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる