平等社会(ユートピア)

ぼっち・ちぇりー

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終わりの始まり

帰ってきた元長官

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「心配したよ。帰ってくれば通信は繋がらないし、キミたちが見当たらないしでね。ラストプリズンにいたんだね。それであのバケモノが復活しちゃったのか。」
 俺はそんなことより、急に痛みが引いてしまったことに動揺し、それどころではなかった。
「あ、それね。ただの痛み止め。したのは応急処置だけだから。ちゃんとお医者さんに見せないとダメだよ。」
 本堂はそういうと、身体を収縮させて、浮遊する創造主へと飛びかかった。
 彼は慌てて瞬間移動を試みるが、本堂の右手がそれを許さない。
 彼に左足首を掴まれて、そのまま地面に落とされる。
 俺はすかさず落ちてきた大兄弟助へ向けて、天岩烈破テンガンレッパを放った。
「がはっ!! 」
 彼の背骨が曲がったのが見て取れる(奴に脊椎があるのかは分からないが)
 流石にこの攻撃は答えたのか、地に落ちると、陸に上げられた魚のようにのたうち回っていた。
「さぁ、北条クン。次だ。私が奴を無力化している間に、キミが魔法を叩き込む。まだ動けるかね? 」
 長官が真紅の槍を放り投げてくる。
 まるで俺の答えを知っているかのように。
「ハイハイ長官様。」
 俺は槍を右手で受け取った。
「キミ、ハイは一回だよ。鵞利場くんに習わなかったのか? あと、私はもう長官ではない。」
「いえ、本堂長官は長官ですよ。捕まえにきた時は、正直恨んでたけど、ラストプリズンから救い出してくれたことだけは感謝している。」
 長官は再び飛び上がる。
「それだけじゃないだろう? 」
 図々しいにも程がある。
「ええ、ありがとうございます。俺の監視官に鵞利場をつけてくれて。」
 槍に力を込めて、足に空間をためて飛び上がる。
 槍が赫く光始めた。
 俺の心に呼応しているのか。
「ハハハ、世がお前らみたいな下等生物に負けると思うか? 」
 長官の腕から血が噴き出す。
「ぐっ!! 」
 彼が右手を翳すと、俺の傷口が開いた。
「その槍で貫かれた、その意味を知ったか? 」
「ああ、レクチャーありがとよ。」
 背中のタイマーが進む。
 もう俺には時間が残されていない。
 あと数分で爆発するだろう。
 腹の傷口が痛む。
 だけどそんなこと気にしていられなかった。
 俺はこの事件を解決する義務がある。
 だから今ここでヤツ大兄弟助と対峙している。
「塵芥になろうとも、お前は、お前だけは__」

      「俺が倒す。」

 次の瞬間、俺の腹部の傷が何事もなかったかのように、塞がっていく。
 そればかりか、全身の疲労が、みるみる消えていった。
「鯣雑、キサマ!! 」
 答えは簡単だった。
 鯣雑さんが、大兄弟助を操り、俺の体を、九条の時のように回復させた。
「悪いな大兄弟助。状況が変わった。」
 きっと本堂長官が帰ってきて、それも大兄弟助に対抗する力をつけてきたからだろう。
 なんと世渡りが上手い人だろうか?
「北条。オマエが倒せ。」
「ええ、鯣雑さん。ありがとうございますねぇ。」
 今の自分の心境を最大限にまで乗せた感謝を吐き捨てると、そのまま、彼へゲイボルグを突き立てる。
 急所は? 心臓はあるのだろうか?
「北条クン!! 早くしたまえ!! 私はもうもたない。」
 本堂に催促されて、彼の胸の中心にゲイボルグを打ち込んだ。
【天岩流】
【虚無ノ岩】
天地創造オノコロ
 神々は天地創造の際、槍を授かり、大海に始まりの島を創った。
 流石に魔法使いも口から血を吐き、手足をバタつかせている。
「分かった。オマエの望み、なんでも一つ、世が叶えてやる。だから世を助けろ。」
 なんでも。
 とても良い響きだ。
 俺は、彼に願った。
「じゃあ、死ね!! 」
 高層ビルの屋上に彼を押し付ける。
 そのまま、地下一階まで、ゲイボルグを押しつけた。
 駐車場で、ようやく彼が絶命したのを確認してから、恐る恐る槍を引き抜こうとする。
"まだ死んでいなかったら。"
  俺がソレを握ったその時。
「彼はパッと目を覚まし、胸の槍を引き抜こうとした。」
 慌てた俺は、槍を押し付けて、彼の身体をグルグルと抉る。
「ハハハ、良いぞその顔。だんだん人間らしく愚かになってきたではないか。」
 彼は俺を吹き飛ばすと、槍を引き抜き、の元へと走っていった。
「本堂さん!! 北条の命が逃げる!! 」
 だが彼は血塗れで、右肩が脱臼しており、とても彼らを追える状態ではない。
「鯣雑さん!! 見てないで!! 彼女を捕まえて。」
 平静を装っていた彼は、口から血を吐くと、その場に倒れ込んだ。
 鵞利場には、もう九条を追う力は残っていない。
「俺しかいないんだ。」


   「ピ~~~~~~~~~」

 だがその必要も今無くなった。
 どうしよう。
 能力で、俺だけなら助かることが出来る。
 アイツらも始末出来るかもしれない。
 まだ死にたくない?
 だが俺はもう殺したくなかった。
 たくさん殺してきたから。
 九条を最後にしたかったのだ。
 
 だって俺は、能力者と無能力者を繋ぎ止めるって、そう蝠岡に約束したから。

「なんだ、答えは簡単じゃないか。」

「キサマ!! なぜ能力で世た__」
 俺は後者を選んだ。
 俺は鵞利場を裏切った。
 二度も裏切った。
 だけど後悔はしていない。
 

 




















 もう何も見えない。


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