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ファイル:6 悪夢再び
鉢合わせ
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対峙する二人の魔法使い。
一人は創造主で、
もう一人はレプリカの青年。
青年は先のイザコザで、身体には殆ど
寿命が残っていなかった。
対する創造主はと言うと、先の戦いで、
身体を消耗させており、万全の状態で
はない。
創造主は足を引き摺りながら、青年の一
番大切な物へと手をかける。
創造主は力を取り戻すために、彼女かの
命を奪おうとした。
ことの顛末は、故郷を追われて世界を旅する『放浪者』と、世界を追われて流れ着いた『創造主』たちが偶然鉢合わせたことにあった。
桐生慎二は、この世界で不老不死を追い求める女王によって捕まってしまい、運悪く『魔法』を取られてしまった。
しかし、御魂を手に入れた女王はたちまち、白髪混じりの老婆にへと姿を変える。
真魔法の種明かしをした慎二は、彼女に寿命を分け与えた。
そう言うことで、今彼には力が残されていない。
その最悪のタイミングで彼は創造主と出会った。
彼の胸は服の上からでも分かるように赫く脈を打っている。
形相から見るに、彼はとても苦しそうであった。
創造主は彼を見つけると、目を丸くし、それから嘲笑の眼差しを青年にへと向けた。
「お前も世の真似事をしているわけだな台与鬼子」
青年は連れの女を見る。
見覚えがある。
彼女はリベリオンの九条念だ。
彼は彼女からも自分と同じ力の根源を感じた。
なるほど。
彼女も魔法に目覚めたか。
彼らとやり合う気はない。
彼は考えた、黒澄も万全な状態ではないため、ここは引くことが最適解だろう。
だがそれを彼らが許すはずがなかった。
「それは世の魔法だな返してもらうぞ。」
創造主は、黒澄の『放浪者』を狙っている。彼女を殺して、魔法を取り返すためにだ。
もちろん青年も、そんなことはさせない。
腰の凛月を構えると、彼へ飛びかかった。
「こい、महाकाल」
創造主の手元に、荒いドットの集合体が顕現すると、それは瞬く間に三又の槍へと姿を変えた。
やりの薙ぎ払い。
対する青年は、その神器がどのようなものか理解すると、右手の小太刀を投げ捨て、腰のナイフを取り出し、槍を受け止める。
槍は右にそれ、青年の頬を掠った。
すかさずそこへ九条念が右ストレートを放ってくる。
ワームホールを利用したゼロ距離攻撃。
磁場を操作し、小太刀を再び手元に引き付ける。
その反動で、九条の攻撃を防いだ。
が、九条の攻撃は止まらない。
持ち前の念動力で青年の身体ごと抉り込んだ。
彼の内臓が、ねじれ、潰れた鮮血が口から噴き出る。
ことを理解した黒澄は自分が殺されかけていたことを理解し、魔法を駆使して、九条に飛びかかる。
青年は、壊れたナイフを地面に投げ捨てると、斬られた右頬が崩れていることに気付く。
「なるほど、マハーカーラ。破壊の槍ということか。」
「触らぬ神に祟りなし。貴様にピッタリの神器だろう。」
創造と破壊を司る魔槍、ならば青年が考えることは一つである。
---裏斬---
---雷斬---
彼の両手に魔術剣が現れる。
呪術と未知術を使い回し、壊れる前提で使い潰す。
「それで世と並んだつもりか? 幼児のおままごとではないのだぞ? 」
どうやらこの剣を作り出す行為は、剣を創り出す創造主にとっては、滑稽に見えたのであろう。
---時空壊---
彼には時間がない。一気に蹴りをつけるつもりだ。
青年の足取りが軽くなる。
青年は、次元さえも超越し、ほぼ瞬間移動とも言える速さで、創造主へと斬りかかる。
無論、彼もそんなことは重々承知だ。見えているし、そんな短調な攻撃に翻弄されるほど馬鹿ではない。
彼の右腕から放たれる雷斬の斬り下ろしをマハーカーラで受け止める。
シヴァ神の逆鱗に触れた雷斬は音もなく砕け散った。
そこで青年の追撃は終わらない。
---雷斬---
振り下ろした後に、再び雷斬を発動させ、創造主の右目を斬りつけた。
彼から人間と同じ赤い血が飛び散った。
すかさず左腕の裏斬で追撃、が、事態を理解した創造主は、右手で永永無窮の盾を創り出し、裏斬を弾いた。
「___っぐ。」
彼の頭に頭痛が走る。
自分の命ももう長くないことを身体が警告している。
片膝をつく青年を見下ろし、創造主は冷や汗をかき、それから不敵に笑った。
「さぁ。『放浪者』を処理するぞ。」
アイアスを消滅させると、マハーカーラで血振りを行い、黒澄を捉えた九条の元へと向かう。
薄れゆく意識の中で、大切なモノが穢される光景が目に焼き付く。
創造主の右手が、黒澄の頭を鷲掴みにする。
青年は死ねなかった。
だから死ななかった。
最後の力を振り絞り、台与鬼子は大兄弟助へと凛月を突き刺す。
彼は、それを魔法によって余地しており、右に避ける。
黒澄は咄嗟にホルスターから、銃鬼を取り出すと、弾丸を撃ち込んだ。
狙ったのは、九条でも大兄でもなく、凛月の鎖。
小太刀の軌道がそれて、大兄弟助の右腕が切り落とされる。
大兄はこの上ない屈辱を感じた。
ちょうど柵の中の家畜に噛まれた恥辱と怒りを。
この感覚は一度だけではない。
二度目だ。
二度も下等生物に一服盛られた上位種様は、黒澄の中の記憶の中に、『永久機関機関』を見つけたことで、再び尊厳を取り戻した。
「ハッ……ハハハ。ようやく見つけたぞ。世が再び玉座に戻る方法が。」
そうだ。創造主が彼らに負けたのは、自分が万全では無かったから。
力を取り戻した後にでも自分を辱めた家畜どもをゆっくりじわじわと苦しめて殺してやればいい。
そして世界を一からやり直させるのだ。
この退屈で陳腐な世界を、再び自分を楽しませる世界へと。
彼は九条を手招きすると、ワールド221へと姿を消した。
一人は創造主で、
もう一人はレプリカの青年。
青年は先のイザコザで、身体には殆ど
寿命が残っていなかった。
対する創造主はと言うと、先の戦いで、
身体を消耗させており、万全の状態で
はない。
創造主は足を引き摺りながら、青年の一
番大切な物へと手をかける。
創造主は力を取り戻すために、彼女かの
命を奪おうとした。
ことの顛末は、故郷を追われて世界を旅する『放浪者』と、世界を追われて流れ着いた『創造主』たちが偶然鉢合わせたことにあった。
桐生慎二は、この世界で不老不死を追い求める女王によって捕まってしまい、運悪く『魔法』を取られてしまった。
しかし、御魂を手に入れた女王はたちまち、白髪混じりの老婆にへと姿を変える。
真魔法の種明かしをした慎二は、彼女に寿命を分け与えた。
そう言うことで、今彼には力が残されていない。
その最悪のタイミングで彼は創造主と出会った。
彼の胸は服の上からでも分かるように赫く脈を打っている。
形相から見るに、彼はとても苦しそうであった。
創造主は彼を見つけると、目を丸くし、それから嘲笑の眼差しを青年にへと向けた。
「お前も世の真似事をしているわけだな台与鬼子」
青年は連れの女を見る。
見覚えがある。
彼女はリベリオンの九条念だ。
彼は彼女からも自分と同じ力の根源を感じた。
なるほど。
彼女も魔法に目覚めたか。
彼らとやり合う気はない。
彼は考えた、黒澄も万全な状態ではないため、ここは引くことが最適解だろう。
だがそれを彼らが許すはずがなかった。
「それは世の魔法だな返してもらうぞ。」
創造主は、黒澄の『放浪者』を狙っている。彼女を殺して、魔法を取り返すためにだ。
もちろん青年も、そんなことはさせない。
腰の凛月を構えると、彼へ飛びかかった。
「こい、महाकाल」
創造主の手元に、荒いドットの集合体が顕現すると、それは瞬く間に三又の槍へと姿を変えた。
やりの薙ぎ払い。
対する青年は、その神器がどのようなものか理解すると、右手の小太刀を投げ捨て、腰のナイフを取り出し、槍を受け止める。
槍は右にそれ、青年の頬を掠った。
すかさずそこへ九条念が右ストレートを放ってくる。
ワームホールを利用したゼロ距離攻撃。
磁場を操作し、小太刀を再び手元に引き付ける。
その反動で、九条の攻撃を防いだ。
が、九条の攻撃は止まらない。
持ち前の念動力で青年の身体ごと抉り込んだ。
彼の内臓が、ねじれ、潰れた鮮血が口から噴き出る。
ことを理解した黒澄は自分が殺されかけていたことを理解し、魔法を駆使して、九条に飛びかかる。
青年は、壊れたナイフを地面に投げ捨てると、斬られた右頬が崩れていることに気付く。
「なるほど、マハーカーラ。破壊の槍ということか。」
「触らぬ神に祟りなし。貴様にピッタリの神器だろう。」
創造と破壊を司る魔槍、ならば青年が考えることは一つである。
---裏斬---
---雷斬---
彼の両手に魔術剣が現れる。
呪術と未知術を使い回し、壊れる前提で使い潰す。
「それで世と並んだつもりか? 幼児のおままごとではないのだぞ? 」
どうやらこの剣を作り出す行為は、剣を創り出す創造主にとっては、滑稽に見えたのであろう。
---時空壊---
彼には時間がない。一気に蹴りをつけるつもりだ。
青年の足取りが軽くなる。
青年は、次元さえも超越し、ほぼ瞬間移動とも言える速さで、創造主へと斬りかかる。
無論、彼もそんなことは重々承知だ。見えているし、そんな短調な攻撃に翻弄されるほど馬鹿ではない。
彼の右腕から放たれる雷斬の斬り下ろしをマハーカーラで受け止める。
シヴァ神の逆鱗に触れた雷斬は音もなく砕け散った。
そこで青年の追撃は終わらない。
---雷斬---
振り下ろした後に、再び雷斬を発動させ、創造主の右目を斬りつけた。
彼から人間と同じ赤い血が飛び散った。
すかさず左腕の裏斬で追撃、が、事態を理解した創造主は、右手で永永無窮の盾を創り出し、裏斬を弾いた。
「___っぐ。」
彼の頭に頭痛が走る。
自分の命ももう長くないことを身体が警告している。
片膝をつく青年を見下ろし、創造主は冷や汗をかき、それから不敵に笑った。
「さぁ。『放浪者』を処理するぞ。」
アイアスを消滅させると、マハーカーラで血振りを行い、黒澄を捉えた九条の元へと向かう。
薄れゆく意識の中で、大切なモノが穢される光景が目に焼き付く。
創造主の右手が、黒澄の頭を鷲掴みにする。
青年は死ねなかった。
だから死ななかった。
最後の力を振り絞り、台与鬼子は大兄弟助へと凛月を突き刺す。
彼は、それを魔法によって余地しており、右に避ける。
黒澄は咄嗟にホルスターから、銃鬼を取り出すと、弾丸を撃ち込んだ。
狙ったのは、九条でも大兄でもなく、凛月の鎖。
小太刀の軌道がそれて、大兄弟助の右腕が切り落とされる。
大兄はこの上ない屈辱を感じた。
ちょうど柵の中の家畜に噛まれた恥辱と怒りを。
この感覚は一度だけではない。
二度目だ。
二度も下等生物に一服盛られた上位種様は、黒澄の中の記憶の中に、『永久機関機関』を見つけたことで、再び尊厳を取り戻した。
「ハッ……ハハハ。ようやく見つけたぞ。世が再び玉座に戻る方法が。」
そうだ。創造主が彼らに負けたのは、自分が万全では無かったから。
力を取り戻した後にでも自分を辱めた家畜どもをゆっくりじわじわと苦しめて殺してやればいい。
そして世界を一からやり直させるのだ。
この退屈で陳腐な世界を、再び自分を楽しませる世界へと。
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