ファートゥム・サルウァトル(運命救世主)

ちょちょいのよったろー/羽絶 与鎮果

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第二章 【吟撫】の居る世界

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 【吟撫】の居る【世界】――それは【人間界/現実界】と言われる世界だった。
 神話の時代より、神の居る【天界】、
 悪魔の居る【魔界】からの干渉を受けている【世界】であり、死ぬと【冥界】に送られ、魂がリセットされて、【人間界/現実界】へと生まれ変わる。
 そんなサイクルのある【世界】だった。
 【吟撫】の居る星――それは【惑星ネオ・アース】と言う星だ。
 【地球】と言う惑星からの移民達がテラフォーミングして開拓し、切り開いて来た惑星となる。
 人がまともに住める様になってから、まだ、300年ほどしか経っていない。
 年号も西暦では無く、【新暦(しんれき)】として数えている。
 完全に生活が安定してから数え始めているので、今年で新暦297年と言うことになっている。
 【惑星ネオ・アース】では新暦300年を記念して、母なる星、【地球】への【再移民計画】もささやかれているという現状だった。
 【惑星ネオ・アース】の国は全部で、15カ国となっている。
 (01)【ホワイトステイト(白国家)】、
 (02)【ブラックステイト(黒国家)】、
 (03)【レッドステイト(赤国家)】、
 (04)【ブルーステイト(青国家)】、
 (05)【イエローステイト(黄国家)】、
 (06)【グリーンステイト(緑国家)】、
 (07)【パープルステイト(赤紫国家)】、
 (08)【ヴァイオレットステイト(菫国家)】、
 (09)【ライトブルーステイト(水色国家)】、
 (10)【ピンクステイト(桃国家)】、
 (11)【ブラウンステイト(茶国家)】、
 (12)【オレンジステイト(橙国家)】、
 (13)【グレイステイト(灰国家)】、
 (14)【ベイジステイト(ベージュ国家)】、
 (15)【セピアステイト(セピア国家)】、
 と言う色分けされた国名となっており、【国連】にあたる組織は【ワールドカラーズ】と呼ばれている。
 【吟撫】が住んでいるのは【ヴァイオレットステイト】であり、似ている色の国名と言う事もあり、【パープルステイト】とは良きライバル国と言うことになっている。
 【地球】上での国は【惑星ネオ・アース】では解体されており、【惑星ネオ・アース】の【統一言語】で主に会話がなされている。
 そのため、一般的に言葉が通じないなどの弊害は起きないとされており、人の名前も国別ではなく、好きにつけている。
 ただし、宗教など違いで起きる諍いは度々あるとされている。
 キリスト教やイスラム教などの【地球】上であった宗教の持ち込みは【惑星ネオ・アース】ではタブーとされている。
 それは開拓者達の【地球】は【地球】、【惑星ネオ・アース】は【惑星ネオ・アース】として、根本から変えて行こうと言う思いがそうさせていた。
 だが、やはり、口ではそう言っても開拓者達の中には宗教のそう言った教えを忘れられない者が居て、【キリスト教】や【イスラム教】の面影を残した【新宗教】も数多く見受けられる。
 やはり何千年にも渡って培われて来た信心と言うものは簡単には変えられないと言うことだろう。
 ちなみに【吟撫】は、【無宗教】だ。
 自由に生きて自由に死ぬ。
 そんな信念で生きている女性だった。
 彼女の住む場所は、【日本街(にほんがい)】と呼ばれる町だった。
 比較的、日本名を選択した人が多く住む町である。
 そのため、本来の【ダイアンサスシティー(撫子町)】と言う名称ではなく、【日本街】と呼ばれる事が多い町だった。
 その町で暮らしている【葦永 太郎】39歳、【花子】32歳、夫婦の養子として、暮らしている。
 【葦永】夫妻には子供が居ない。
 だが、養子縁組をして、三人の乙女を養女として迎え入れていた。
 血のつながりは無いが長女に当たるのが17歳、【琴花(きんか)】。
 三女に当たるのが15歳、【瞳良(どうら)】。
 そして、次女に当たるのが16歳、【吟撫(ぎんな)】だった。
 母親の【花子】はオリンピック選手になるのが夢だったが、挫折した経験がある。
 そんな彼女は、【金メダル】、【銀メダル】、【銅メダル】に強い憧れを持っていた。
 そのため、【太郎】が娘を三人引き取る事になった時、【金・銀・銅】からもじった【琴(金)花(きんか)】、【吟(銀)撫(ぎんな)】、【瞳(銅)良(どうら)】と言う名前を名乗る事を条件にしたのだ。
 【吟撫】は3人の娘の中で二番目の歳だったので必然的に【吟撫】と言う名前をもらったのだった。
 【吟撫】の両親は既に他界しており、孤児院に居たとき、【葦永】夫婦に拾ってもらったのだ。
 それは、【吟撫】が5歳の時の事だった。
 その後、【太郎】の母親である【神楽(かぐら)】に懐き、彼女は神話をよく聞きに行っていた。
 【吟撫】は、
 【冒険に出てみたい】――
 と言う【夢】を持っていた。
 だが、自分が【女】であると言う事がその【夢】を諦めさせていた。
 【男】なんかに負けない。
 そう思っても、世の中はそう見てくれない。
「あなたは女の子なんだから……」
「もう少し女の子らしくしなさい」
「力では男の子に勝てないのよ」
「女なんかにそんな事出来る訳がない」
「お前、女だろ?」
「小娘に何が出来んだよ」
 ~……そんな言葉が、いつも【吟撫】の【夢】の前に立ちふさがった。
 いくら、【吟撫】がものすごい事をやっても、
「何かインチキしたんじゃないの?
 タネとかあるんでしょ?」
「出来る訳がない。
 無理だ。
 それが可能なら詐欺だろう」
「嘘だ」
「出鱈目だ」
「まぐれだ」
「偶然だ」
「たまたまだ」
 ~……などの言葉で、正統には評価して貰えなかった。
 いつしか【吟撫】は、【他者】に認められる事を諦める様になって行った。
 年頃の子供のレベルを大きく超える【天才的】な【才能】を示しても、それを正しく評価してくれない。
 そんな思いが、彼女の心に強い影を落としたのだった。
 いつしか、彼女は【男】を【心の底から軽蔑】する様になり、表面上はおしとやかにしつつも、内面では【男】を小馬鹿にする様になっていたのだった。
 正統に認められなかったが故の歪んだ【心】。
 それが、現在の彼女だった。
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