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第1章『流浪の元聖女』
第12話「王陛下の下衆な企み」
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ここ数日も謁見の間は、良くも悪くもいつも通りだった。
不死者の迷宮の件は大きな関心事だったが、王都や王宮という場所はそういうものがあっという間に風化する場所でもある。新たな吉報を誰もが待ち望み、オルビアの将来に期待と憂いを感じていた。
ただ、一人の呑気で愚かな男だけはそうではなかったが。
その男はこの玉座の主人でもある。
ここ数日のクラウス王の関心事は、一貫して聖女フローラに向けられていた。
来る日も来る日も、『フローラはまだか?』だとか、『早く連れてこい』などと言っては家臣を困らせている。
そしてフローラの名を口に出すたびに、決まって気味の悪い笑みを浮かべている。
「フローラはまだ見つからないのか?」
最早、口癖なのかと思うほど、クラウス王はいつものようにフローラの消息を尋ねた。王の声音は決して悪い印象は感じない。それどころか浮ついているようにさえ感じられる。
クラウス王は機嫌が良さそうに口の端を釣り上げていた。
「北西の村で吉兆が現れたとの報告がありましたので……おそらくはその村にいらっしゃるかと」
フローラの聖水騒ぎの話だろう。
オルビアの国内が騒がしいだけに、あの聖水事件はあの後も大きな騒ぎに発展している。意図して起こしたわけではないので仕方が無いが、その影響でフローラの存在が大きく広まることになった。
「吉兆だと?」
側近の男が言った物珍しい言葉に、クラウス王は不思議そうにしている。
「はい、ある聖女が真水を聖水に変えたとか」
「何? そんなことができるのか。すごいな、その力があれば、衰退するオルビアの財政難も解決できるじゃないか」
どういう経緯なのかを側近の男が簡潔に答えると、クラウス王の表情は打って変わって不気味な笑みを浮かべる顔つきに変わっていた。
クラウス王の言葉通り、オルビアの経済状態は深刻な状態になりつつある。
「さようでございます。捜索隊の準備はできておりますが、如何なさいますか」
「派遣しろ」
さながら結果を確信している。そんな感じに見えるように王は短く命令を出した。
「畏まりました、直ちに部隊を送ります」
その場で一礼して、命令を受け取った。
「それから布告も出しておけ」
「聖女さまを神殿に戻すという内容で宜しいですね?」
「うむ。あの事についてはフローラに直接、伝えよう。そのほうが喜ぶはずだ」
プリシラが転落劇を演じて間もなく、王宮では空位になる聖女の座についての話し合いが繰り返されたが、結局、フローラを戻す以上の名案は、居並ぶ家臣たちの誰の口からも出てこなかったし、クラウス王自身がそれをとても強く望んでいた。
王の一言で『フローラを神殿に戻してやろう』ということになった。
「しかし、プリシラさまの件を考えますと……」
側近の男の言いたいこともわかる。
プリシラが仕出かした事を考えれば、フローラが快く応じるわけはない。
そういう思いはこの場の誰もが懸念していた事なのだが。
「心配するな、『オルビアの輝ける聖王』と呼ばれる私が相手になるのだぞ。うははははは!」
そんな呼び名など初めて聞いたぞ。クラウス王の相手をする側近の男は、内心でそう思っていた。王の勘違い癖は酷くなる一方で、この頃はおかしな言葉まで出てくる始末だ。
そういう時は何か言ってても気に留めないでおく、側近の男がずっと側近でいられるのは、王の世迷言をまともに取り合わない柔軟性だろう。
オルビアが建国以来の未曾有の危機を迎えるかもしれない。そういう時期だと言うのに、このクラウス王は呑気に自分の欲望を実現する為に、またよからぬ企みをはじめようとしている。
「さすがは陛下です。感服いたしました」
はあ、こうなったら何を言ってもはじまらんな。
しばらく放っておけば、陛下も気が済むだろうて……私は自分の仕事をするとしようかのう。
クラウスに気付かれない程度にため息を吐くと、側近の男は、謁見の間から姿を消した。
―――
「あの? ヴァージルさん……」
ううん。困りましたね。
ヴァージルさんのお気持ちはわかるのですが……
「はい。聖女さま」
あの一件以来、ヴァージルはすっかり態度が豹変してしまっていた。
聖水騒ぎが起きたその日までずっと邪険にしていた癖に、フローラの素性が知れた途端に、畏まって忠実な臣下が取るような態度で接している。
もとより堅苦しいのを好まないフローラは、居心地が良くないと感じていた。
ヴァージルのキャラバンは皆が家族や親しい友人のように、いつも仲良く過ごしている。
十年前に母親を、その一年後には父親を失ったフローラには、例え疑似的でも彼らを家族だと思えているのだ。
だからこそヴァージルには、彼らしい姿のままでいて欲しかった。
「あの、ですね……」
どう言えばいいのか、フローラは言葉を詰まらせていた。
彼女は表情でも、もどかしさや一抹の不安といったものを覗かせている。
今までのヴァージルなら気付いたはずだが、ここ1~2日の彼はそういう意味でも彼らしくなく、フローラの態度の変化に気付こうとしない。
「どうかなさいましたか?」
何やらもどかしい感じのフローラを、ヴァージルは不思議そうに見つめている。
「どうかじゃないよ!」
「そうだぜ? まったく見てらんねえなあ」
「そうですよ。ヴァージルさん」
やり取りを黙って聞いていた隊商の仲間たちが、こらえきれずにいろいろ言い出し始めた。
「なんだお前ら?」
「それはこっちの台詞だぜ。あんたさ、最近まで機嫌悪かっただろ」
「あれは……」
今度はヴァージルが言い淀んでいる。
「あ、あれは、私が言うことを聞かなくて……」
話しの流れが変わってしまったのを気にしたのか、フローラが会話に入ろうとした。だが、それをヴァージル自身が制した。
「フローラさまは悪くありません。あれは私の気持ちの問題ですから」
「カッコつけんなよ! 聖女さまが心配で心配で仕方ないってツラしてたくせによ! ぶはははは!」
「オルバの時の話だろ? ヴァージルの旦那ってば、自分の娘が居なくなった父親みたいだったねぇ」
見れば周りにはいつの間にか、隊商のほとんど全員が集まって大笑いしている。
ヴァージルを指差して大声で笑い飛ばしている。
「おまッ…! ば、馬鹿いうな! 自分の奴隷を心配して……」
図星を言われたのだろう、柄にもなく顔を染めて照れている。
「あ、そうだ、ヴァージルの旦那、奴隷の証文そのままにしとくのか?」
「そんなわけはないだろう」
ふうとひと息ついた。気持ちを落ち着かせた顔をして、ヴァージルは懐から一枚の紙を取り出した。
そしてフローラのほうに向き直ってこう言った。
「フローラさま、こちらが貴女さまの奴隷証文です」
そう言って証文をビリビリ、音を立てて、細かくなるまで千切って放り投げてしまった。
その様子にこの場のみんなが、首を大きく振って同意を示したり、拍手を送ったり、ヴァージルに喝采を上げたりして、まるで自分か大事な人の為に大喜びしている。
だが、当のフローラは何故なのかを、良く理解していないようだった。
「あの? ヴァージルさん、その、証文は……」
「証文はこの通り破いて捨てました。フローラさまはもう自由です。これからはご自分のなさりたいように、好きなようになさってください」
腰を折って深々と頭を下げ、ヴァージルはそう言った。
「しかし、私にはお返しするものが……」
「もうずっと前に、十分すぎるほどのお慈悲を頂いております」
不意にフローラは目頭が熱くなるのを感じていた。
そんな時だった。
突然、この場に出来ていた、人だかりの後ろのほうから怒声が発せられた。
「聖女フローラはここに居るのか!!」
野太い男の声がした。男の声は苛立ち混じりの声音をしている。
「貴様ら邪魔だ! どかんか!!」
見る間に人だかりが崩れていき、その向こうからは鎧姿の一団が姿を現した。
一団の先頭の男は、近衛騎士団の紋章をつけたサーコートを羽織っている。その紋章から判断するならば、彼らは王都から派遣されてきたと推測するのが自然だ。
近衛騎士の男が居丈高にこう宣言した。
「聖女フローラ、クラウス王陛下のご命令により、そなたを王都に連行する」
近衛騎士の宣言を聞くと、一団の兵士たちは剣や、槍を手にして、フローラを取り囲もうとしてきた。
ヴァージルの表情に決意の色が広がるのを見て、フローラは咄嗟に彼を抑えつけようとしていた。
いけない!
ヴァージルさんを止めないと……!
騒ぎを聞きつけた村人や、この場で呆然と事態の急変を眺める者たちは、フローラの為に何かをしてあげたいとは思っている。だが無力な彼らはただ、固唾を飲んで見守ることしかできなかった。
*****
七時間ほど寝落ちしてました(´ー+`)
*****
不死者の迷宮の件は大きな関心事だったが、王都や王宮という場所はそういうものがあっという間に風化する場所でもある。新たな吉報を誰もが待ち望み、オルビアの将来に期待と憂いを感じていた。
ただ、一人の呑気で愚かな男だけはそうではなかったが。
その男はこの玉座の主人でもある。
ここ数日のクラウス王の関心事は、一貫して聖女フローラに向けられていた。
来る日も来る日も、『フローラはまだか?』だとか、『早く連れてこい』などと言っては家臣を困らせている。
そしてフローラの名を口に出すたびに、決まって気味の悪い笑みを浮かべている。
「フローラはまだ見つからないのか?」
最早、口癖なのかと思うほど、クラウス王はいつものようにフローラの消息を尋ねた。王の声音は決して悪い印象は感じない。それどころか浮ついているようにさえ感じられる。
クラウス王は機嫌が良さそうに口の端を釣り上げていた。
「北西の村で吉兆が現れたとの報告がありましたので……おそらくはその村にいらっしゃるかと」
フローラの聖水騒ぎの話だろう。
オルビアの国内が騒がしいだけに、あの聖水事件はあの後も大きな騒ぎに発展している。意図して起こしたわけではないので仕方が無いが、その影響でフローラの存在が大きく広まることになった。
「吉兆だと?」
側近の男が言った物珍しい言葉に、クラウス王は不思議そうにしている。
「はい、ある聖女が真水を聖水に変えたとか」
「何? そんなことができるのか。すごいな、その力があれば、衰退するオルビアの財政難も解決できるじゃないか」
どういう経緯なのかを側近の男が簡潔に答えると、クラウス王の表情は打って変わって不気味な笑みを浮かべる顔つきに変わっていた。
クラウス王の言葉通り、オルビアの経済状態は深刻な状態になりつつある。
「さようでございます。捜索隊の準備はできておりますが、如何なさいますか」
「派遣しろ」
さながら結果を確信している。そんな感じに見えるように王は短く命令を出した。
「畏まりました、直ちに部隊を送ります」
その場で一礼して、命令を受け取った。
「それから布告も出しておけ」
「聖女さまを神殿に戻すという内容で宜しいですね?」
「うむ。あの事についてはフローラに直接、伝えよう。そのほうが喜ぶはずだ」
プリシラが転落劇を演じて間もなく、王宮では空位になる聖女の座についての話し合いが繰り返されたが、結局、フローラを戻す以上の名案は、居並ぶ家臣たちの誰の口からも出てこなかったし、クラウス王自身がそれをとても強く望んでいた。
王の一言で『フローラを神殿に戻してやろう』ということになった。
「しかし、プリシラさまの件を考えますと……」
側近の男の言いたいこともわかる。
プリシラが仕出かした事を考えれば、フローラが快く応じるわけはない。
そういう思いはこの場の誰もが懸念していた事なのだが。
「心配するな、『オルビアの輝ける聖王』と呼ばれる私が相手になるのだぞ。うははははは!」
そんな呼び名など初めて聞いたぞ。クラウス王の相手をする側近の男は、内心でそう思っていた。王の勘違い癖は酷くなる一方で、この頃はおかしな言葉まで出てくる始末だ。
そういう時は何か言ってても気に留めないでおく、側近の男がずっと側近でいられるのは、王の世迷言をまともに取り合わない柔軟性だろう。
オルビアが建国以来の未曾有の危機を迎えるかもしれない。そういう時期だと言うのに、このクラウス王は呑気に自分の欲望を実現する為に、またよからぬ企みをはじめようとしている。
「さすがは陛下です。感服いたしました」
はあ、こうなったら何を言ってもはじまらんな。
しばらく放っておけば、陛下も気が済むだろうて……私は自分の仕事をするとしようかのう。
クラウスに気付かれない程度にため息を吐くと、側近の男は、謁見の間から姿を消した。
―――
「あの? ヴァージルさん……」
ううん。困りましたね。
ヴァージルさんのお気持ちはわかるのですが……
「はい。聖女さま」
あの一件以来、ヴァージルはすっかり態度が豹変してしまっていた。
聖水騒ぎが起きたその日までずっと邪険にしていた癖に、フローラの素性が知れた途端に、畏まって忠実な臣下が取るような態度で接している。
もとより堅苦しいのを好まないフローラは、居心地が良くないと感じていた。
ヴァージルのキャラバンは皆が家族や親しい友人のように、いつも仲良く過ごしている。
十年前に母親を、その一年後には父親を失ったフローラには、例え疑似的でも彼らを家族だと思えているのだ。
だからこそヴァージルには、彼らしい姿のままでいて欲しかった。
「あの、ですね……」
どう言えばいいのか、フローラは言葉を詰まらせていた。
彼女は表情でも、もどかしさや一抹の不安といったものを覗かせている。
今までのヴァージルなら気付いたはずだが、ここ1~2日の彼はそういう意味でも彼らしくなく、フローラの態度の変化に気付こうとしない。
「どうかなさいましたか?」
何やらもどかしい感じのフローラを、ヴァージルは不思議そうに見つめている。
「どうかじゃないよ!」
「そうだぜ? まったく見てらんねえなあ」
「そうですよ。ヴァージルさん」
やり取りを黙って聞いていた隊商の仲間たちが、こらえきれずにいろいろ言い出し始めた。
「なんだお前ら?」
「それはこっちの台詞だぜ。あんたさ、最近まで機嫌悪かっただろ」
「あれは……」
今度はヴァージルが言い淀んでいる。
「あ、あれは、私が言うことを聞かなくて……」
話しの流れが変わってしまったのを気にしたのか、フローラが会話に入ろうとした。だが、それをヴァージル自身が制した。
「フローラさまは悪くありません。あれは私の気持ちの問題ですから」
「カッコつけんなよ! 聖女さまが心配で心配で仕方ないってツラしてたくせによ! ぶはははは!」
「オルバの時の話だろ? ヴァージルの旦那ってば、自分の娘が居なくなった父親みたいだったねぇ」
見れば周りにはいつの間にか、隊商のほとんど全員が集まって大笑いしている。
ヴァージルを指差して大声で笑い飛ばしている。
「おまッ…! ば、馬鹿いうな! 自分の奴隷を心配して……」
図星を言われたのだろう、柄にもなく顔を染めて照れている。
「あ、そうだ、ヴァージルの旦那、奴隷の証文そのままにしとくのか?」
「そんなわけはないだろう」
ふうとひと息ついた。気持ちを落ち着かせた顔をして、ヴァージルは懐から一枚の紙を取り出した。
そしてフローラのほうに向き直ってこう言った。
「フローラさま、こちらが貴女さまの奴隷証文です」
そう言って証文をビリビリ、音を立てて、細かくなるまで千切って放り投げてしまった。
その様子にこの場のみんなが、首を大きく振って同意を示したり、拍手を送ったり、ヴァージルに喝采を上げたりして、まるで自分か大事な人の為に大喜びしている。
だが、当のフローラは何故なのかを、良く理解していないようだった。
「あの? ヴァージルさん、その、証文は……」
「証文はこの通り破いて捨てました。フローラさまはもう自由です。これからはご自分のなさりたいように、好きなようになさってください」
腰を折って深々と頭を下げ、ヴァージルはそう言った。
「しかし、私にはお返しするものが……」
「もうずっと前に、十分すぎるほどのお慈悲を頂いております」
不意にフローラは目頭が熱くなるのを感じていた。
そんな時だった。
突然、この場に出来ていた、人だかりの後ろのほうから怒声が発せられた。
「聖女フローラはここに居るのか!!」
野太い男の声がした。男の声は苛立ち混じりの声音をしている。
「貴様ら邪魔だ! どかんか!!」
見る間に人だかりが崩れていき、その向こうからは鎧姿の一団が姿を現した。
一団の先頭の男は、近衛騎士団の紋章をつけたサーコートを羽織っている。その紋章から判断するならば、彼らは王都から派遣されてきたと推測するのが自然だ。
近衛騎士の男が居丈高にこう宣言した。
「聖女フローラ、クラウス王陛下のご命令により、そなたを王都に連行する」
近衛騎士の宣言を聞くと、一団の兵士たちは剣や、槍を手にして、フローラを取り囲もうとしてきた。
ヴァージルの表情に決意の色が広がるのを見て、フローラは咄嗟に彼を抑えつけようとしていた。
いけない!
ヴァージルさんを止めないと……!
騒ぎを聞きつけた村人や、この場で呆然と事態の急変を眺める者たちは、フローラの為に何かをしてあげたいとは思っている。だが無力な彼らはただ、固唾を飲んで見守ることしかできなかった。
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