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聖騎士ロイ編
第10話 (4/4)
しおりを挟む神よ、申し訳ありません。
どうか、今日だけは目を逸らしてください。
貴方の剣として誓いを立てたこの身で――
今、勇者を、犯します。
彼の中に“別の誰かの痕跡”がある限り――俺は、どうしても、この手で“上書き”したい。
穢れてもいい。罰を受けてもいい。
ただ、あの中に、俺だけを残したい――。
気づいたときには、腰を押し付け、己を――ジークの中へ、突き立てていた。
「は……ああっ、ああぁぁぁっ……♡♡♡」
崩れ落ちるジークの身体を支えるように、両手で腰を掴む。
ごめん。
本当に、ごめんな、ジーク。
けれどもう止まれなかった。
背後から覆いかぶさり、首元に顔を埋める。甘い香りが脳に焼き付く。
「あ゛っ……は、ひっ……♡ ロイの……が……♡」
その声に、痺れた。
「そう……俺のだ……」
こみ上げる独占欲が、口をついて出る。
ジーク、お前は俺のものだ。
俺が守ってきた。
俺が、ここまで連れてきたんだ。
「その辺の男のじゃない……!」
細い肩を抱きしめる。
ベッドの上で重なり合った身体を固定したまま、腰を打ちつけ始めた。
ぬちゅ、ずちゅ、といやらしい音が響く。
「やっ……ロ、イっ♡ や、だっ♡♡」
やめられない。
もう、後戻りはできない。
「俺が、全部忘れさせてやる……!」
全部だ。
辛い記憶も、苦痛も、涙も――
全部、俺が上書きしてやる。
「中のもの……俺が、全部掻き出してやる……!!」
あの日、ジークを“勇者”に選んだのは神かもしれない。
だが、今日この身体を抱くのは――俺だ。
神にも、他の誰にも、絶対に奪わせない。
「ロイ……っ♡ ロイっ、ロイぃっ……♡」
名前を呼ばれるたびに、心臓が軋む。
「ジーク……もっと、奥まで……俺を、感じろ……!!」
快楽に任せて、ただ激しく、ただ深く、ただひたすらに打ち込む。
「ロイィィっ♡♡♡ きてっ、来てぇっ♡♡♡」
その声に導かれるように、俺は彼の最奥で達した。
熱い精が脈打つたび、ジークの内壁がきゅうと締まり――その快楽に、思わず声が漏れそうになる。
(――ジークも、少しは感じてくれていた……? せめて、これで心の傷が癒えれば……)
そんな願いとも、言い訳ともつかぬ思いを胸に、俺は必死にその余韻をやり過ごす。
ゆっくりと己を引き抜く。
こぽり、と零れた白濁が、ジークの内腿を伝ってシーツを汚す。
そこにあったのは、征服感ではなかった。
全身が脱力するような虚しさが支配していた。
(ああ……俺は、勇者を――ジークを、犯した)
聖騎士の名に泥を塗った。
勇者の旅に付き添う資格も、剣を掲げる資格も、もうどこにもない。
頭の中では、さまざまな後悔が次々と浮かんでは消えていく。
だが――
一番苦しかったのは、ジークの“心”を裏切ったという自覚だった。
俺は、彼を力任せに抱いてしまった。
だからせめて、彼の身体だけでも丁寧に扱いたかった。
タオルを取り、そっと清めるように拭いていく。
傷がつかないように、力を抜いて。
一拭き一拭き、丁寧に。
そして、部屋着に着替えさせ、毛布をかけた。
ジークは、もう眠りかけていたのか、静かに、ぼんやりと視線を寄越していた。
「……すまない、ジーク……本当に、すまない……」
俺は小さくそう呟いて、立ち上がった。
出頭しよう。
こんなことをしでかした俺が、騎士――ましてや、聖騎士であってはならない。
たとえ誰に責められずとも……俺だけは、自分を赦せない。
「……憲兵所、行ってくる」
扉に手をかけ、そう告げる。
ジークは、何も言わなかった。
もしかしたら、俺を許してくれるんじゃないか。
そんな甘えが、一瞬でも頭をよぎった――だからこそ、赦されてはならない。
その罪の重みを抱えたまま、俺は静かに部屋を出て、扉を閉じた。
——————
【補足】
・第10話の内容はロイの記憶から消えました。
・ジークが時間を巻き戻して一連の出来事自体が消えたため、ロイも酒場のおっさんも罪に問われていません。
・ジーク視点を再度見たい方は第6話へどうぞ。
・こちらは、主人公と周囲の人物たちとの思考の温度差を楽しむギャグ作品となっております。
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