尊敬と恋愛、時々友情。

恋愛話

1時間目のチャイムがなった。

1時間目は英語。
若い女性の先生が入ってきた。私は女性の先生が苦手だ。女性の先生は甘ったるい声を出し男子に優しいという偏見を持っているからだ。

「今日からこのクラスの英語を担当する田邊と言います。初めて教師になって指導します、
よろしくお願いします。」

先生の自己紹介がされたあと、男子の声が飛ぶ。
「せんせー、彼氏いるんですか。」
「せんせー、大学どこですか。」
など飛び交う中、結局女の先生が来ると男子が盛り上がり教室がうるさくなるものだと思った。

早く授業が終わらないかと思う中、楓が話しかけてきた。
「美沙って彼氏いるの？」
当時、恋愛話が好きだった私は心の中でいい暇つぶしになると思った。

「いないよ。楓は？」　
「ええー、嘘～！美沙いそう。うちはいるよ。」

私はいつも彼氏いそう。って言われるが、人生で彼氏なんていたことなんてない。ましてや、告白しても振られるばかりだ。

彼女の彼氏はネットで知り合った人らしく、直接会ったことはないらしい。お互いに写真を見せあってはいるみたいだが、写真なんて本人かどうかも分からない。私も写真を見せてもらった。チャラいというよりもほぼヤンキーではないのかと思ってしまうほどであり、余計信用できなかった。
ただ彼女がそれで幸せであるのならそれでいいのだろう。

彼女の惚気話を聞いていると、予鈴がなった。
長い長い授業が終わったのだ。とりあえず授業の内容を余り聞いていなかった私は、自己紹介の文章をノートに書くことだけをしといた。

休憩時間になると、友梨がこっちに来た。

「さっきの時間ずっと寝てた～」
「うちらもずっと話してた～」
ふたりが話をし始めた時、話に入れない自分を憎んだ。けれども、今回は違う。

「美沙と恋愛トークしてた。ねっ。」　

楓、貴女は神様でないかと思ってしまうくらい話に入れてもらえたことが嬉しかった。

「そうそう。楓の惚気話聞いてキュンキュンした。」
と私が話すと楓は少し顔が赤くなっていた。
「楓、顔が赤っ！」
「本当だ。照れたの？」
「照れてない照れてないっ！！」
と恥ずかしがる楓を見て、友梨と茶化しながらも私も少し照れた。