35 / 139
Ⅱ 君とオリンピックに行きたい
5 県選手権大会
しおりを挟む
次の週、講義の合間も時間があればグラウンドで走った。
じっとしておれない気分だ。足の痛みのことは忘れてしまっていた。
学食で昼食を食べていると、東田が隣に座った。
「倉本君、最近やる気満々だね」
「陸上のエリートさんか。この頃どんな練習しているの?」
「来週がレースだろう。今頃、長い距離を走ったって疲れがたまるだけだよ。僕は平日5キロくらいのジョグが中心で、今は体を絞るためウェイトトレーニングをやっている。やっぱり受験勉強で体重が増えたからもっと絞らないとな」
詳しくウェイトトレーニングの方法を教えてくれた。高校ではジムに通っていたそうだ。
次の日から空き時間があれば、部室の横で腕立てやスクワット、鉄アレイを使った運動を始めた。
昼食は、待ち合わせて東田と食べるようになった。陸上の練習法だけでなく、体調の維持の仕方、必要な食べ物。長距離での勝負所など丁寧に教えてくれた。
彼は、先月のユニバーシアード予選会にも出場し、惜しい所で中国大会の出場を逃したそうだ。
「知らないことが多すぎだ。ど素人のくせに陸上部に入部したのが恥ずかしいよ」
「伸びしろが一杯ってわけだ。とりあえず土曜日の県選手権大会でお披露目だね」
その土曜日、淳一たち1回生は朝からテント張りや場所取り、横断幕の準備で忙しかった。競技が始まると分担して出場選手の応援に行く。走り終わった選手に飲み物を渡したり記録を知らせたりで、ゆっくり食事をとる暇もない。午後になっても準決勝や決勝が始まるので目が離せない。
そのうちに1500mの召集時間になった。
全11組で東田は第1組。淳一は4分20秒でエントリーしたので第3組になった。高校生と大学生半々くらいだが、みんな速そうだ。
第1組の走りは、さすがにすごかった。中でも東田は2周まで先頭集団の中にいて、ラスト1周の鐘で猛然とダッシュ。あっという間に先頭を追い抜き、3分55秒でフィニッシュ。決勝進出確実だ。観客席に手を振って拍手を浴びている。やるなあ。
待機場所から、観客席のあちこちに目を走らせた。
スタート位置はバックヤード側なので、あの女性を探すのには遠すぎる。
走りながら探す余裕なんかあるかな。
号砲が鳴った。最初は様子見かと思っていたが、スタートからみんな速かった。
あっという間に抜かされ、最後尾になってしまった。2周目でようやく3人抜かし、3周目で真ん中あたりに来たが、先頭集団には追いつけなかった。
ラスト1周は思い切り飛ばして何とか5位になった。タイムは四分二十三秒。決勝は行けなかった。
まあ初めてとしたらこんなものだろう。
じっとしておれない気分だ。足の痛みのことは忘れてしまっていた。
学食で昼食を食べていると、東田が隣に座った。
「倉本君、最近やる気満々だね」
「陸上のエリートさんか。この頃どんな練習しているの?」
「来週がレースだろう。今頃、長い距離を走ったって疲れがたまるだけだよ。僕は平日5キロくらいのジョグが中心で、今は体を絞るためウェイトトレーニングをやっている。やっぱり受験勉強で体重が増えたからもっと絞らないとな」
詳しくウェイトトレーニングの方法を教えてくれた。高校ではジムに通っていたそうだ。
次の日から空き時間があれば、部室の横で腕立てやスクワット、鉄アレイを使った運動を始めた。
昼食は、待ち合わせて東田と食べるようになった。陸上の練習法だけでなく、体調の維持の仕方、必要な食べ物。長距離での勝負所など丁寧に教えてくれた。
彼は、先月のユニバーシアード予選会にも出場し、惜しい所で中国大会の出場を逃したそうだ。
「知らないことが多すぎだ。ど素人のくせに陸上部に入部したのが恥ずかしいよ」
「伸びしろが一杯ってわけだ。とりあえず土曜日の県選手権大会でお披露目だね」
その土曜日、淳一たち1回生は朝からテント張りや場所取り、横断幕の準備で忙しかった。競技が始まると分担して出場選手の応援に行く。走り終わった選手に飲み物を渡したり記録を知らせたりで、ゆっくり食事をとる暇もない。午後になっても準決勝や決勝が始まるので目が離せない。
そのうちに1500mの召集時間になった。
全11組で東田は第1組。淳一は4分20秒でエントリーしたので第3組になった。高校生と大学生半々くらいだが、みんな速そうだ。
第1組の走りは、さすがにすごかった。中でも東田は2周まで先頭集団の中にいて、ラスト1周の鐘で猛然とダッシュ。あっという間に先頭を追い抜き、3分55秒でフィニッシュ。決勝進出確実だ。観客席に手を振って拍手を浴びている。やるなあ。
待機場所から、観客席のあちこちに目を走らせた。
スタート位置はバックヤード側なので、あの女性を探すのには遠すぎる。
走りながら探す余裕なんかあるかな。
号砲が鳴った。最初は様子見かと思っていたが、スタートからみんな速かった。
あっという間に抜かされ、最後尾になってしまった。2周目でようやく3人抜かし、3周目で真ん中あたりに来たが、先頭集団には追いつけなかった。
ラスト1周は思い切り飛ばして何とか5位になった。タイムは四分二十三秒。決勝は行けなかった。
まあ初めてとしたらこんなものだろう。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる