沈黙のメダリスト

友清 井吹

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Ⅱ 君とオリンピックに行きたい

5 県選手権大会

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次の週、講義の合間も時間があればグラウンドで走った。
じっとしておれない気分だ。足の痛みのことは忘れてしまっていた。
学食で昼食を食べていると、東田が隣に座った。

「倉本君、最近やる気満々だね」
「陸上のエリートさんか。この頃どんな練習しているの?」
「来週がレースだろう。今頃、長い距離を走ったって疲れがたまるだけだよ。僕は平日5キロくらいのジョグが中心で、今は体を絞るためウェイトトレーニングをやっている。やっぱり受験勉強で体重が増えたからもっと絞らないとな」
詳しくウェイトトレーニングの方法を教えてくれた。高校ではジムに通っていたそうだ。

次の日から空き時間があれば、部室の横で腕立てやスクワット、鉄アレイを使った運動を始めた。
昼食は、待ち合わせて東田と食べるようになった。陸上の練習法だけでなく、体調の維持の仕方、必要な食べ物。長距離での勝負所など丁寧に教えてくれた。
彼は、先月のユニバーシアード予選会にも出場し、惜しい所で中国大会の出場を逃したそうだ。

「知らないことが多すぎだ。ど素人のくせに陸上部に入部したのが恥ずかしいよ」
「伸びしろが一杯ってわけだ。とりあえず土曜日の県選手権大会でお披露目だね」

その土曜日、淳一たち1回生は朝からテント張りや場所取り、横断幕の準備で忙しかった。競技が始まると分担して出場選手の応援に行く。走り終わった選手に飲み物を渡したり記録を知らせたりで、ゆっくり食事をとる暇もない。午後になっても準決勝や決勝が始まるので目が離せない。

そのうちに1500mの召集時間になった。
全11組で東田は第1組。淳一は4分20秒でエントリーしたので第3組になった。高校生と大学生半々くらいだが、みんな速そうだ。

第1組の走りは、さすがにすごかった。中でも東田は2周まで先頭集団の中にいて、ラスト1周の鐘で猛然とダッシュ。あっという間に先頭を追い抜き、3分55秒でフィニッシュ。決勝進出確実だ。観客席に手を振って拍手を浴びている。やるなあ。

待機場所から、観客席のあちこちに目を走らせた。
スタート位置はバックヤード側なので、あの女性を探すのには遠すぎる。
走りながら探す余裕なんかあるかな。

号砲が鳴った。最初は様子見かと思っていたが、スタートからみんな速かった。
あっという間に抜かされ、最後尾になってしまった。2周目でようやく3人抜かし、3周目で真ん中あたりに来たが、先頭集団には追いつけなかった。
ラスト1周は思い切り飛ばして何とか5位になった。タイムは四分二十三秒。決勝は行けなかった。
まあ初めてとしたらこんなものだろう。

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