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Ⅲ ロンドンへの道
14 初めてのキス
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クリスマスイブの日、彼女の家に招待された。
上等な赤ワインを三田島医師から勧められ、不覚にもリビングのソファーで寝てしまった。
どうも酒は強くなさそうだ。
朝、暗い内に目覚めると、毛布をかけられていた。この家で寝てしまったのは二回目だ。
あほ面の寝顔を二度も見られてしまった。
昨日、彼女から受け取ったプレゼントはランニングソックス。
神戸マラソンの副賞を貰ったから何もいらないと言われた。
一応『英語で読む格言集』の本をプレゼントした。
愛読していた本だが、少し固すぎたかもしれない。
女の子に何を渡したらいいのか見当もつかない。
まだ7時前なので、黙って帰りかけたが、少しだけでも由佳に会いたいと思った。
彼女の部屋に行くか迷った。まだ寝ている部屋に入っていいのかな?
もし両親に会ってしまったらばつが悪い。会いたい気持ちの方が勝った。
階段を静かに上り、彼女の部屋に向かう。
そっとドアを開けた。カーテンが閉められているので暗い。
ドアを閉めてベッドの横に立ち、彼女の寝顔を眺めた。掛布団で彼女の顔は半分隠れている。
胸の鼓動が早くなってきた。顔が紅潮してくるのが分かる。
おでこにキスくらいなら、と思って顔を近づけた。
突然彼女が目をあけた。
体が固まり動けなくなった。寝ていたはずなのに、俺の気配に気が付いたのか。怒るかな?
彼女は淳一の目を見つめている。見つめ合う時間だけが過ぎていく。
彼女が両腕を伸ばし、淳一の首に巻き付けた。引っ張られるようにベッドの上に倒れこんだ。
唇を近づけ目を閉じた。柔らかい唇。初めてのキスだ。
舌が絡まり合う。手が勝手に彼女の胸の膨らみを探して動く。下腹部が痛くなった。
何秒?いや何分もたった気がする。頭が真っ白になっている。
これ以上だめだ。苦しくなり体を離した。
カーテンの隙間から光が差していた。上気した顔の彼女が、寝たまま手を動かした。
「キスはクリスマスプレゼント?」
どういうことだ?ああ、さっきのキスがプレゼントかと聞いたのか。
思わず声を出して笑ってしまった。
しまった。聞こえてしまう。自分で口を押さえたが、まだ笑いがこみあげてくる。
とんだサンタさんだ。彼女に布団を掛け直した。
「起こしてごめん。もう一度寝るといい」
小さくうなずいた。手を振って部屋を出た。
やっと彼女とキスができた。
幸せな気分でリビングに行くと、母親にばったり出会った。
また息が止まった。
「おはよう。よく眠れた?ごめんね、お酒無理強いして。パパはご機嫌でまだ寝てるわ。あなたも朝早くから由佳と楽しそうだったね。笑い声が聞こえてたわよ」
「いや、あの、挨拶だけして帰ろうと思って。いつも迷惑かけてすいません」
「私の顔を見たら謝ってばかりね。そんなに怖いかな。朝ごはん食べて帰ってね」
母親と二人だけの朝食は、野菜サラダ山盛りとベーコンサンド。それに昨日のケーキの残り。
少し前に由佳とあんなことをした後で、何とも落ち着かない。
黙々と食べていると、母親が由佳のアルバムを何冊か持って来てくれた。
生まれた時から見ていくと、裸の彼女が出て来たので笑ってしまった。
2才をすぎると今の面影がある。可愛いのに笑顔の写真は少なく、意志の強そうな口元、利発そうな目が印象的だ。
「この子小さいころから元気すぎてね。補聴器をつけても嫌がって、外しては逃げていたのよ。お姉ちゃんはおとなしくて聞き分けがよかったのに。でも習い事はよく頑張ったわ」
「習い事ですか?」
「スイミングに柔道。習字やお絵かき。ピアノまでやった。ピアノはさすがに長続きしなかったけどね。続いたのは習字と算数教室くらいかな。スキーは去年2級が受かったけど、今年行くのは無理ね」
すごいお嬢さんと付き合っているんだな。
「あの子、聞こえないけど結構力を持っていると思うの。だからいろんな経験させて資格を取って、自立させたいと思ってきたの。だからね・・」
だから・・いつも聞かされる。どう答えたらいいのだろう。
リュックを背負って寺まで走った。
唇に彼女の感触がまだ残っている。何とも言えないふわふわした気分で、朝の静かな道を走った。
帰ったら、すぐに庭の掃除だ。
上等な赤ワインを三田島医師から勧められ、不覚にもリビングのソファーで寝てしまった。
どうも酒は強くなさそうだ。
朝、暗い内に目覚めると、毛布をかけられていた。この家で寝てしまったのは二回目だ。
あほ面の寝顔を二度も見られてしまった。
昨日、彼女から受け取ったプレゼントはランニングソックス。
神戸マラソンの副賞を貰ったから何もいらないと言われた。
一応『英語で読む格言集』の本をプレゼントした。
愛読していた本だが、少し固すぎたかもしれない。
女の子に何を渡したらいいのか見当もつかない。
まだ7時前なので、黙って帰りかけたが、少しだけでも由佳に会いたいと思った。
彼女の部屋に行くか迷った。まだ寝ている部屋に入っていいのかな?
もし両親に会ってしまったらばつが悪い。会いたい気持ちの方が勝った。
階段を静かに上り、彼女の部屋に向かう。
そっとドアを開けた。カーテンが閉められているので暗い。
ドアを閉めてベッドの横に立ち、彼女の寝顔を眺めた。掛布団で彼女の顔は半分隠れている。
胸の鼓動が早くなってきた。顔が紅潮してくるのが分かる。
おでこにキスくらいなら、と思って顔を近づけた。
突然彼女が目をあけた。
体が固まり動けなくなった。寝ていたはずなのに、俺の気配に気が付いたのか。怒るかな?
彼女は淳一の目を見つめている。見つめ合う時間だけが過ぎていく。
彼女が両腕を伸ばし、淳一の首に巻き付けた。引っ張られるようにベッドの上に倒れこんだ。
唇を近づけ目を閉じた。柔らかい唇。初めてのキスだ。
舌が絡まり合う。手が勝手に彼女の胸の膨らみを探して動く。下腹部が痛くなった。
何秒?いや何分もたった気がする。頭が真っ白になっている。
これ以上だめだ。苦しくなり体を離した。
カーテンの隙間から光が差していた。上気した顔の彼女が、寝たまま手を動かした。
「キスはクリスマスプレゼント?」
どういうことだ?ああ、さっきのキスがプレゼントかと聞いたのか。
思わず声を出して笑ってしまった。
しまった。聞こえてしまう。自分で口を押さえたが、まだ笑いがこみあげてくる。
とんだサンタさんだ。彼女に布団を掛け直した。
「起こしてごめん。もう一度寝るといい」
小さくうなずいた。手を振って部屋を出た。
やっと彼女とキスができた。
幸せな気分でリビングに行くと、母親にばったり出会った。
また息が止まった。
「おはよう。よく眠れた?ごめんね、お酒無理強いして。パパはご機嫌でまだ寝てるわ。あなたも朝早くから由佳と楽しそうだったね。笑い声が聞こえてたわよ」
「いや、あの、挨拶だけして帰ろうと思って。いつも迷惑かけてすいません」
「私の顔を見たら謝ってばかりね。そんなに怖いかな。朝ごはん食べて帰ってね」
母親と二人だけの朝食は、野菜サラダ山盛りとベーコンサンド。それに昨日のケーキの残り。
少し前に由佳とあんなことをした後で、何とも落ち着かない。
黙々と食べていると、母親が由佳のアルバムを何冊か持って来てくれた。
生まれた時から見ていくと、裸の彼女が出て来たので笑ってしまった。
2才をすぎると今の面影がある。可愛いのに笑顔の写真は少なく、意志の強そうな口元、利発そうな目が印象的だ。
「この子小さいころから元気すぎてね。補聴器をつけても嫌がって、外しては逃げていたのよ。お姉ちゃんはおとなしくて聞き分けがよかったのに。でも習い事はよく頑張ったわ」
「習い事ですか?」
「スイミングに柔道。習字やお絵かき。ピアノまでやった。ピアノはさすがに長続きしなかったけどね。続いたのは習字と算数教室くらいかな。スキーは去年2級が受かったけど、今年行くのは無理ね」
すごいお嬢さんと付き合っているんだな。
「あの子、聞こえないけど結構力を持っていると思うの。だからいろんな経験させて資格を取って、自立させたいと思ってきたの。だからね・・」
だから・・いつも聞かされる。どう答えたらいいのだろう。
リュックを背負って寺まで走った。
唇に彼女の感触がまだ残っている。何とも言えないふわふわした気分で、朝の静かな道を走った。
帰ったら、すぐに庭の掃除だ。
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