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Ⅳ オリンピック代表
15 銅から銀メダルに
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もう疲れ果てていたが、容赦なしのインタビューが立て続けにあった。
今まで大したサポートもしなかった大河原コーチが、人が変わったように愛想よくテレビ局の人と応対している。
質問は、今の気持ちとか、誰に感謝しているとか、ぶつかりそうになった時どう思ったかとか、同じことばかりだ。由佳との手話については聞かれなかったのでよかった。
2時近くになり、大河原さんに「もう帰ります」と言ったら怒り出した。
「テレビ局の取材がまだ二本残っている。腹が減っているんだったら、後でサポートセンターでたらふく食わせてやる。もう少しがまんしろ」
「3時から表彰式ですが、それはキャンセルしていいんですか」
「ああ、それは、・・・忘れていた。なんで早く言わん」
頭に来たが、もうインタビューは願い下げだ。
マラソンの表彰式が行われるスタジアムへ急いだ。閉会式の直前、メダルの授与がある。
やっと着いて、時間通りに表彰式があると思っていたのに、なかなか始まらない。
閉会式準備で、フィールドには大勢の人が機材を持って走り回っている。
観客席も八分くらい入っていて、華やかな雰囲気が盛り上がりつつあった。
由佳たちは閉会式のチケットが取れなかったので、ホテルのテレビで見ると言っていた。
淳一も閉会式には出ず、ホテルに向かうつもりだった。今朝、彼女と別れたきりだ。
早く会って喜びを分かち合いたい。
待機部屋に1位と2位の選手はいなかった。
フィールドが見える部屋にいるのも飽きて、トラックの端に座り込んだ。
そのうちに何となく座禅の姿勢になり、目を閉じた。
走るのを妨害されたのは悔しいが、その前にあいつを抜いとけばよかったのだろう。
結果がどうあれ全力は出し切った。やるべきことはやった。
彼女に渡せるメダルがあってよかった。
目を開けた。
金メダルは取れなかったが、自分自身の課題をやり遂げた気がする。
この結果を由佳は喜んでくれると思う。早く君にメダルを見せたい。
30分遅れてもまだ表彰式は始まらない。
もう夕闇が近付き、巨大な会場はほぼ人で埋まっていた。
セレモニーの準備も終わりかけ、もうすぐ閉会式が始まる時間になっている。
そこにフィールド種目担当のコーチが走って来た。
「ここにいたのか。確かに待ちくたびれたろう。いい知らせだ。2位の選手が君を妨害したことをIOCに抗議してね、さっきやっと決まったよ。1位はそのまま金メダル。2位選手の君への妨害行為が認められ、彼は失格した。銀メダルは君に繰り上がり、銅メダルは4位だった英国選手になったんだ」
2位の銀メダルか。
今となってはどちらでもいいような気がしてきた。
電光掲示板にマラソンの順位と名前が映され、3位イギリスと表示された瞬間、場内に大歓声がわき起こった。
今まで大したサポートもしなかった大河原コーチが、人が変わったように愛想よくテレビ局の人と応対している。
質問は、今の気持ちとか、誰に感謝しているとか、ぶつかりそうになった時どう思ったかとか、同じことばかりだ。由佳との手話については聞かれなかったのでよかった。
2時近くになり、大河原さんに「もう帰ります」と言ったら怒り出した。
「テレビ局の取材がまだ二本残っている。腹が減っているんだったら、後でサポートセンターでたらふく食わせてやる。もう少しがまんしろ」
「3時から表彰式ですが、それはキャンセルしていいんですか」
「ああ、それは、・・・忘れていた。なんで早く言わん」
頭に来たが、もうインタビューは願い下げだ。
マラソンの表彰式が行われるスタジアムへ急いだ。閉会式の直前、メダルの授与がある。
やっと着いて、時間通りに表彰式があると思っていたのに、なかなか始まらない。
閉会式準備で、フィールドには大勢の人が機材を持って走り回っている。
観客席も八分くらい入っていて、華やかな雰囲気が盛り上がりつつあった。
由佳たちは閉会式のチケットが取れなかったので、ホテルのテレビで見ると言っていた。
淳一も閉会式には出ず、ホテルに向かうつもりだった。今朝、彼女と別れたきりだ。
早く会って喜びを分かち合いたい。
待機部屋に1位と2位の選手はいなかった。
フィールドが見える部屋にいるのも飽きて、トラックの端に座り込んだ。
そのうちに何となく座禅の姿勢になり、目を閉じた。
走るのを妨害されたのは悔しいが、その前にあいつを抜いとけばよかったのだろう。
結果がどうあれ全力は出し切った。やるべきことはやった。
彼女に渡せるメダルがあってよかった。
目を開けた。
金メダルは取れなかったが、自分自身の課題をやり遂げた気がする。
この結果を由佳は喜んでくれると思う。早く君にメダルを見せたい。
30分遅れてもまだ表彰式は始まらない。
もう夕闇が近付き、巨大な会場はほぼ人で埋まっていた。
セレモニーの準備も終わりかけ、もうすぐ閉会式が始まる時間になっている。
そこにフィールド種目担当のコーチが走って来た。
「ここにいたのか。確かに待ちくたびれたろう。いい知らせだ。2位の選手が君を妨害したことをIOCに抗議してね、さっきやっと決まったよ。1位はそのまま金メダル。2位選手の君への妨害行為が認められ、彼は失格した。銀メダルは君に繰り上がり、銅メダルは4位だった英国選手になったんだ」
2位の銀メダルか。
今となってはどちらでもいいような気がしてきた。
電光掲示板にマラソンの順位と名前が映され、3位イギリスと表示された瞬間、場内に大歓声がわき起こった。
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